![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/5e/fdae80fb555a7f1ad8bbf721f01be8c4.jpg)
指宿界隈で温泉めぐりをしていた某日、温泉ファンの間で評価の高い開聞温泉に入ってみたいなと思って現地まで赴いてみたら、源泉施設の不調のためか残念ながら長期休業中だったので(このページの下部参照)、第二候補だった「レジャーランドかいもん」を訪れてみることにしました。海岸沿いに建つ公営の古びた福利施設で、温泉浴場の他にプールやジなどが併設されているんだそうですが、水着を持っていないし、あんまり水泳したい気分でもなかったので、今回は入浴だけにとどめておきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/62/769da3f9f737f8276b86ca8047182a30.jpg)
目の前の海岸からは開聞岳を間近に眺めることができました。何度見てもこの見事な優美な円錐形には惚れ惚れします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/e6/f4c663abfc08463d2b84b85e078817d1.jpg)
海側の駐車場には貯湯タンクを発見。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/41/e8ae8d46da7a40e5ca425e276614ef07.jpg)
さて館内に入ってみると、訪問した時間帯の問題なのか、はたまたこの施設の特徴なのか、広く寒々とした館内は老人が数人うなだれているばかりで草臥れた空気がたれこめており、しかも節電のためかロビーが薄暗く、レジャーランドという横文字が有する明るく溌剌としたイメージが感じられません。いささかの不安を覚えながら料金を払って奥へと進みます。
脱衣所は温泉というより昭和のレジャープールを思い出させる造りで、床にはスノコが敷かれ、暗くて狭く、ロッカーも小さいものばかりであるため他の客をけん制しあいながらの着替えとなりました。尤も、この脱衣所はプールと共用であるため「昭和のレジャープール」の更衣室をを連想しても何ら不自然ではないわけですが。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/25/4f5a485d14f0b4f703f0ddce460fcc00.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/03/969402471982805b559227162651b7e8.jpg)
温泉というより規模の大きな病院に付帯している温浴リハビリ施設と表現したくなる、タイル貼りで機能面を優先した浴室で、温泉風情は微塵も感じられませんが、健康増進を施設の目的としているためか、一般的な温浴槽の他にもミストサウナやジェットバス・バイブラバス・寝湯など多様な設備を利用することができ、こうした選択肢の多さが支持を集めているのか、この日は多くのご老人が利用していました。なお洗い場の水栓はシャワー付き混合栓が8基設けられているのですが、訪問時はすべて埋まっており、空き待ちが発生しているような状況でした。それだけこのお風呂は人気なんですね。私のマイナス思考な第一印象なんてちっともあてになりません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/39/54b25943548fd53fc991e0fbd28a2d1c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/d1/06ec073ae845fcfed8a71cc0ebdf3792.jpg)
この施設では二つの源泉が引かれており、いくつかある温浴槽の中でも最も大きな主浴槽には無色透明でほぼ無味無臭の「湯津温泉」が使われています。源泉温度は32.5℃しかないため、浴槽のお湯は加温されたものが循環しているのでしょうが、これに加えて外側より突き出ているパイプから金気を帯びたぬるいお湯も落とされており、けだしこれは生源泉ではないかと思われます。浴槽内にはジェットバスが勢いよく噴出しており、騒々しいお風呂が苦手な私は敬遠させていただきましたが、ご老人方には大好評のようで、ひっきりなしに爺様方がこの前に座って、噴射される水流にヨボヨボな老躯を揺らしていました。
老人が多い施設だけあって、浴槽へ入るためのスロープが設けられている点は非常に素晴らしく、足腰が弱い方でもこれなら安心して利用できますね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/90/849a14b1993c1178e36632d1b0df9bef.jpg)
さてさて、このお風呂に対して期待していなかった私を大いに驚愕させたのがこちらの温泉槽です。主浴槽同様にスロープが設けられているのですが、スロープの先、つまり浴槽の中の様子が全く見えないほど、強い橙色に濁っているのです。五体満足で視力も両眼1.5の私ですら浴槽の中がどうなっているのかわからないため、安全のためにスロープを使って入浴したのですが、入った途端に肌へピリピリと沁みる刺激が走ったのです。もしかしたら・・・と思ってお湯を嘗めてみたら、案の定、海水のような強烈な塩味と鉄の赤錆味が口腔内で暴れ、赤錆臭が鼻へと抜けてゆきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/f0/f1e4b4a309a7a74cc29db8223f600107.jpg)
噴水のように垂直にお湯を吹き上げる湯口は、温泉成分の付着のために真っ黒。これがこの施設で使われている源泉の二つめである「恵美寿温泉」なのですが、まさか地味で殺風景で一昔前のクアハウス調の温浴施設で、こんな個性的なお湯に出会えるとは思わず、良い意味で期待を裏切られました。成分総計35230mg/kgという全体的な濃さもさることながら、マグネシウムが1279mgだなんて、国内でもなかなか見られないのではないでしょうか(ここを凌駕するのは和歌山の花山温泉あたりでしょうか)。こんな濃いお湯ですから、ちょっと入るだけでいきなりカウンターパンチを食らい、やがてストレートとジャブの応酬が続きヘロヘロとなり、そして湯上りもボディーブローが効いてすっかりダウンしてしまいました。ご老人の体には毒なのではないのかしら。いや、むしろリハビリ的な効果をもたらしているのかも・・・。
なお浴槽のお湯はスロープ入口のグレーチングや浴槽縁にあいた穴から排湯されているので、湯使いとしてはけだし放流式かと思われますが、こんな濃厚な食塩泉を機械で循環させたら、その機械は腐食でたちまち故障しちゃうでしょうね。掛け流しであっても配管内のスケールや管自体の腐食など、メンテナンスには御苦労なさっているのではないかとお察しします。
恵美寿温泉(川尻2号替堀)
ナトリウム-塩化物温泉 59.0℃ pH6.8 溶存物質35020mg/kg 成分総計35230mg/kg
Na+:10740mg(76.60mval%), K+:336.7mg(1.41mval%), NH4+:4.1mg(0.04mval%), Mg++:1279mg(17.25mval%), Ca++:564.2mg(4.62mval%),
Cl-:19030mg(91.47mval%),
H2SiO3:584.9mg, 遊離CO2:210.8mg,
湯津温泉
単純温泉 泉温32.5℃ pH6.9
JR指宿枕崎線・西大山駅より徒歩35分(2.8km)
鹿児島県指宿市開聞川尻5401 地図
0993-32-5584
10:00~21:00 水曜定休(祝日の場合は翌日休業)
温泉入浴のみ330円
ロッカー・ドライヤーあり
私の好み:★★
------------------------
●(追記)開聞温泉が休業中
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/cd/44adda03a864dab45e9bd3f6471e4473.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/b7/4ad4a1fcb63f5bda450c53bfe678e8b4.jpg)
上述しましたが、開聞温泉は現在休業中です。私が訪問したのは2011年12月でしたが、某情報筋によると今年(2012年)春の時点でも休業のままとのこと。敷地入口にはロープが張られており・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/a2/14ba6b780eaa27a1d16e59825e979995.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/0a/bdc9e1d552f5fd18c67db2bcaa2039a4.jpg)
建物のまわりは草がボウボウで荒れていました。
源泉設備の不調が休業の理由とのことですが、再開の見通しは立っていない模様です。