温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

塩原・福渡温泉 塩原グリーンビレッジ 福の湯

2012年06月19日 | 栃木県
 
ログハウスやキャンプ場などアウトドアを中心にしたリゾート施設「塩原グリーンビレッジ」内にある温泉入浴施設「福の湯」を利用してきました。福渡温泉の一番手前に位置しており国道沿いにわかりやすい看板も立っているので、以前から興味はあったのですが、ついその先の方の温泉に関心が向いてしまい、塩原で湯巡りするたびに目の前を通過するばかりで、なかなか訪れる機会をつくることができませんでした。しかし、半年前の某日に会津方面から自宅へ帰る途中、すっかり日が暮れて辺りが闇に包まれた時間帯にたまたま目の前を通ったので、高速へ乗る前にひとっ風呂浴びていこうと思い立ち、利用してみたわけです。
玄関では両側に置かれた石の招き猫がお出迎え。下駄箱のカギはフロントへ預けます。


 
3~4年前にグリーンビレッジの全面改装が行われたらしく、この「福の湯」の館内はフローリング床、格子状の衝立や壁面覆いなど木材を多用しつつ、コントラストをはっきりさせたとてもシックな内装となっていました。館内には休憩スペースや軽食の食堂が設けられています。



無料のロッカーがズラリと沢山並んでいる脱衣室。休憩室や食堂と異なり、こちらはあまり改装の手が加えられていないようですが、よく手入れされて清潔な状態が保たれており、快適に利用できました。



広い空間と大きなガラスのおかげで開放的な印象を受ける浴室。室内にはとっても広い大風呂とごく普通のサウナがそれぞれ1つずつ。



洗い場にはシャワー付き混合栓が7基と、立って使うシャワーが3基設置されていました。



窓に立てかけられたプレートには「温泉は、空気に触れない均等対流が効果的な為、浴槽中央の底部より噴出させております」と書かれている通り、浴槽の底から源泉が投入されており、湯面近くに口を開けた吸込口から排湯されていきます。槽内の一部には泡風呂の吹き出し口が底に埋め込まれていましたが、訪問時には使用されていませんでした(個人的には泡風呂が好きではないので、停止していてくれて助かりましたが)。また、お湯が汚れている場合は循環消毒するそうですが、それ以外は完全掛け流しの湯使いを実施しており、おそらく訪問時は掛け流し状態だったかと思われます。お湯は館内表示によれば自家源泉とのことで、見た目は無色透明、口に含むと微塩味・弱金気・弱石膏そしてほんのりとした甘さが、湯面に鼻を近づけると弱金気と石膏の匂いが、それぞれ感じられました。一応こちらは福渡温泉に含まれるエリアですが、重炭酸土類泉の特徴がはっきり出ている福渡温泉よりは、知覚面で若干マイルドになっているように思われます。


 
露天風呂は歪んだ小判のような形状で、底には鉄平石が敷かれ、その一角にはデカい岩が鎮座しています。また一部には屋根もかかっています。内湯同様、露天も内湯に近い底から源泉が供給されており、浴槽脇の排水口へと溢れ出てゆきます。この日は寒かったためか、外気の影響を受けて露天のお湯はややぬるくなっていましたが、おかげでじっくり長湯することができました。


塩原開発3・4号混合泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 47.5℃ pH6.5 溶存物質1.404g/kg 成分総計1.614g/kg
Na+:307.7mg, Ca++:96.1mg,
Cl-:286.7mg, SO4-:187.7mg, HCO3-:395.1mg,
H2SiO3:86.8mg, 遊離CO2:209.6mg,
源泉掛け流しの範囲では汚れが取りきれなくなった場合にろ過循環装置を使用。ろ過装置を使用する場合に限り塩素消毒(いずれも大風呂のみ)

栃木県那須塩原市塩原1230
0287-32-2751(塩原グリーンビレッジ)
塩原グリーンビレッジのホームページ

10:00~21:00
700円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (2)
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塩原・畑下温泉 ホテルぬりや (ついでに畑下を散策)

2012年06月19日 | 栃木県

箒川が大きく湾曲する内側の、半島のように突き出た一角に肩を寄せ合うようにして民家や小規模旅館がひしめき合う畑下温泉。その温泉街の中に位置する鉄筋造の小規模旅館「ホテルぬりや」さんにお邪魔してひとっ風呂浴びてきました。畑下温泉は立ち寄り入浴不可な施設が比較的多いのですが、湯巡手形を呈示して日帰り入浴をお願いすると、女将は愛想よく丁寧に対応してくださいました。浴室は1階帳場の奥にあり、男湯は右側です。


 
やや古めかしいながらもよく手入れされており綺麗な脱衣室。旅館らしくアメニティー類も一通り揃っています(もちろん宿泊客用なので私は使用を遠慮しましたが)。



川に面した浴室。窓を開けるとすぐ目の前に箒川が流れています。



洗い場には混合水栓が4つ設けられており、うち2つはシャワー付きです。なおお湯は真湯が出てきます。



浴槽は6人サイズで、湯加減はやや熱め。立方体のタイルを積み重ねたような湯口から源泉が注がれており、浴槽手前の切り欠けから排湯されています。源泉温度から察するにおそらく加水されているかと思われますが、湯使い自体はしっかり放流式で循環などは行われていません。



お湯はうっすらと橙色に笹濁り、湯口まわりにはトゲトゲした析出がこびりついています。浴槽全体や排湯の流路は赤く染まっており、析出によってところどころが凸凹になっていました。お湯を口にしてみると、微かな塩味とともに金気味や石膏味が舌に伝わり、金気臭や石膏臭、そして何かをローストしたような香ばしい匂いが嗅ぎ取れました。

お宿の名前は、かつて箒川に沿って塩原を抜けていった会津塗りの行商人たちがこちらへ度々泊まったことから名付けられたんだそうでして、建物こそ違うものの、草鞋がけで険しい峠道を歩きぬいた往時の行商人たちが、このお湯で長旅の疲れを癒したのかと想像しながら湯あみしてみたら、えも言われぬ風情と古の旅の面影が伝わってくるような気がきました。派手さも豪華さも無いものの、女将が温かく迎えてくれる、こじんまりした宿ならではの優しさが嬉しい施設でした。


畑下源泉
ナトリウム-塩化物温泉 77.8℃ pH6.5 224.0L/min(動力揚湯) 溶存物質2413mg/kg 成分総計2563mg/kg 
Na+:583.1ng(75.76mval%), Ca++:123.1mg(18.35mval%),
Cl-:860.0mg(70.16mval%), SO4-:266.3mg(16.03mval%), HCO3-:283.2mg(13.42mval%),
H2SiO3:179.3mg, 遊離CO2:150.2mg,

那須塩原駅もしくは西那須野駅からJRバスの塩原温泉行で「畑下」バス停下車、徒歩3~5分
栃木県那須塩原市塩原454  地図
0287-32-2340
ホームページ

日帰り入浴時間13:00~16:00
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品帳場預かり

私の好み:★★

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●ついでに畑下を散策

往来の激しい国道400号からちょっと離れるだけで、喧騒から無縁の世界へとエスケープすることができる鄙びた温泉街畑下。この地区にはたくさんの小さな地元専用共同浴場(以下「ジモ専」)があり、いずれも外来者は利用できませんが、生活と温泉が古くから結びついているその鄙びた佇まいを目にするだけでも温泉ファンとしては嬉しくなります。
国道からちょっと路地を入るだけでもこんな共同浴場(「高砂の湯」)を見つけることができました。草臥れていて風情たっぷり。あぁ、入ってみたいなぁ…。



湯屋にはお湯汲み場も付帯していました。


 
川の対岸にもジモ専の湯屋(「下田の湯」)を発見。屋根に湯気抜きがあるので、一発で湯屋だとわかりますね。



湯小屋から画面左下の河原へ、下膨れのJの字のように延びているコンクリの先にあるのは、おそらく源泉でしょう。


 
今回の目的地「ホテルぬりや」の斜め前にも小さな小さな湯屋を発見。本当にこの地区にはジモ専が多いですね。


 
「ホテルぬりや」裏手を流れる箒川には吊り橋がかかっており、対岸の橋の袂にはかつて無人の露天風呂「青葉の湯」がありました。


 
しかしながら、現在は「楓の湯」と改称されて宿泊施設所有のお風呂となっており、その施設の宿泊客以外は入浴できなくなってしまいました。残念です…。入口前には「不動の湯」や「岩の湯」で見られるような円筒形の料金入れが、口に封をした状態でまだ残されており、これがかつての「青葉の湯」の名残と言えるでしょう。
コメント (4)
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