徳光と書いて「とっこう」と読みます(トクミツじゃないんですね)。どうやら正しくは「岡児ヶ水区温泉」と称するようでして、前回紹介した浜児ヶ水に対してこちらは岡児ヶ水(はまちょがみず)ですから、浜と岡で対を為しているのですね。岡児ヶ水という地区内に徳光と称する集落があり、その集落の外れに位置するのがこの共同浴場です。入口前には地元の農家の方が畑仕事を終えて泥だらけになった足元を洗うための足洗い場がありました。まさに地元密着型の温泉なんですね。
建物の横には源泉井と思しき高さ2mほどのコンクリート構造物があり、私はその脇にレンタカーを駐車しました。湯屋の前には3台分の駐車場があります。一番風呂を狙うべく、オープン時間の10分前に現地へ到着したところ、既に入口の前では4~5人のお客さんが待っていました。普段は若干フライング気味に開けるのでしょうけど、この日はまだ入口の戸に鍵が閉まっており、お客さんは口々に「今日って休み?」などと不安げな様子。しばらくその場で待っていると、15:30ぴったりに管理人の奥さんが車に乗ってやってきて、「おまたせ~」と言いながら戸のカギを開けてくれたのでありました。
カレンダーや手書きの注意書きが目立つ脱衣所は年季が感じられる共同浴場らしい造りです。大して広くないのですが天井が高いので圧迫感がありません。
壁に貼りつけてある古い温泉分析表は文字が殆ど消えかけていました。この他にちゃんと活字で出力された分析表も掲示されていますよ。
期間により営業時間が細かく設定されているのですが、4月第1日曜が「休み花見」として定休日に設定されているあたりは、管理人さんご夫婦で運営されているがゆえの微笑ましい特徴であるように思いました。
浴室内はかなり広く、周囲をガラス窓に囲まれているため採光もバッチリ。でもザッと見回したところ照明らしきものがあまり見当たらなかったので、日が沈むと一転して薄暗くなっちゃうのかしら。男湯と女湯を仕切る壁に古典的な押しバネ式水栓が並んでいるのですが、常連さんはそれを誰も使おうとせず、みなさん浴槽から桶で直接汲んで掛け湯していました。
浴室の真ん中には、中央で二分されている小判型の浴槽が据えられています。二分されているものの仕切りの下方にあいた穴で貫通しており、両者にあまり違いは無いようでしたが、両方にバルブ付きの源泉パイプ、そして加水用の水道蛇口が設けられていることから、利用者の好みに応じて「こっちは熱め、あっちはぬるめ」という感じで湯加減を調整できるようになっているのかと思います。
浴室の片隅には上がり湯用のぬるい槽がありました。この槽は主浴槽と異なり分厚い橙色のコーティングに覆われているのですが、注がれている温泉は主浴槽と同じもの。なんで同じお湯なのに違いがみられるのかしらん。
湯の華キャッチャー(ネット)が被せられている湯口の太いパイプからは、浴室内に音がこだまするほど源泉がドバドバ大量に注がれており、浴槽から惜しげもなく溢れ出ています。ツルスベ浴感が心地よいお湯はオロナミンCのようなくすんだ山吹色に弱く濁り、塩味+弱金気味+石膏味、そして石膏臭が感じられます。ご近所の「浜児ヶ水温泉」とはかなり異なる個性的なお湯です。やっぱり大量掛け流しのお湯って見ても入っても、実に気持ち良いものですね。
上述のようにオープン待ちの人がいるほど地元のみなさんから愛されているこの温泉。地元の人とふれあいながら、ジモ専らしい飾りっけの無い湯屋で手が加えられていない源泉を思う存分楽しめる、すばらしいお風呂でした。
伏目・児ヶ水12号
ナトリウム・マルシウム-塩化物温泉 55.0℃ pH7.9 溶存物質3778mg/kg 成分総計3778mg/kg
Na+:947.3mg(70.35mval%), Ca++:183.2mg(15.60mval%),
Cl-:1698mg(82.84mval%), SO4--:279.7mg(10.07mval%), HCO3-:27.5mg(32.72mval%)
H2SiO3:239.2mg
鹿児島県指宿市山川岡児ヶ水 地図
4~10月→16:00~20:00、11~3月→15:30~19:30、大晦日→15:00~18:00、1月2・3日→8:30~12:00
毎月1・10・20日及び4月第1日曜定休
120円
備品類なし
私の好み:★★★