その1のつづきです
●白猿の湯
藤三旅館といえば、日本一深い自噴の岩風呂でとても有名なこの「白猿の湯」ですね。私があれこれ述べると蛇足になりそうなので、このお風呂に関しての記述は簡潔に済ませます。既に多くの方によって紹介されていますので、詳しく知りたい方は他の素晴らしいサイトをご覧ください。
まずは旅館部からアプローチした場合の入口廻りの様子を撮影。
一方、こちらは反対側にある湯治部側の入口。明るく近代的な和風の旅館部側入り口と異なり、こちらの方が古くて趣きがあるような気がします。
今から約600年前に、白猿が桂の木の根元に湧くお湯でケガを癒していたところをキコリが見つけたのが、鉛温泉の歴史のはじまりなんだそうですね。入口脇に立つ柱にはかわいらしい白猿のワッペンらしきものが貼ってありました。
入口からいきなり階段で地下へおりてゆくわけですが、上述のように入口は旅館部側と湯治部側にそれぞれひとつずつ計2ヶ所あって、中央の浴槽を軸にしてシンメトリな構造となっており、こうした造りが非常に特徴的で、一度来たら忘れることができません。
階段を下りた先に簡素な脱衣スペースがあり、その上には縦書きの大きな温泉分析表が掲示されています。浴室内にカランなどはないので、桶で湯船のお湯を汲んで掛け湯します。
天然の岩を刳りぬいて作った小判型の浴槽。165cmの私の場合は胸の高さまで浸かるほどの深さがあるんですね。子供はもちろん、小柄な女性でも溺れちゃいそうだ…。
足元湧出がこのお風呂のご自慢ポイントですが、それだけでは不足するのか、他の2源泉からもお湯を引いており、中央にはその供給口と思しきSUS製の穴があって、その近くの岩付近のお湯がやけに熱くなっていました。完全掛け流しのお湯は、浴槽の縁から常にしずしずと溢れ出ています。
そのお湯は無色澄明、薄い褐色の湯の華が浮遊しており、ごく薄いタマゴの味と匂いや弱い芒硝感を帯びています。癖の無いさっぱりとしたお湯で、すっきりすべすべ気持ち良い浴感です。また、画像にちょこっと写っていますが、主浴槽の脇には一人サイズで25℃くらいの丸い水風呂があり、お湯で火照った体をこの水風呂で一気に冷やすと滅茶苦茶爽快、病み付きになっちゃいました。
※このお風呂は混浴ですが、6:00~7:00、14:00~15:00、19:30~21:00はは女性専用です(金曜10:00~14:00は清掃のため利用不可)
●桂の湯
「白猿の湯」と通路を挟んで向かいにあるのが、内湯と露天風呂の両方が楽しめる「桂の湯」。
綺麗で整然とした脱衣所は、その1で取り上げた「白糸の湯」に似た内装ですが、こちらの方がやや建築年としては先輩に当たるようで、スペース自体も「白糸の湯」と比べると若干狭めです。
内湯は大きな岩盤を穿ったような豪快な造りで、やや熱めのお湯が張られており、ふんだんにオーバーフローしていました。洗い場はシャワー付き混合水栓が4基設置されています。
お湯は無色澄明、薄い褐色の湯の華が少々漂い、弱い芒硝感があるもののほとんど無味無臭で、スベスベ感を有する優しい浴感が得られました。
露天風呂は川をせせらぎを目の前にして湯あみができる絶好のロケーション。こちら浴槽も内湯と同様な感じの造りで、お湯の影響か槽内は薄ら黄色っぽく見え、また外気の影響か内湯より湯加減が若干下がっており、いつまでも長湯したくなるちょうどいい塩梅となっていました。
露天の浴槽から一段下りた目立ちにくい河岸に、まるで隠し風呂のような、もうひとつの小さな露天浴槽が設けられており、川の流れが目の前に迫る位置で野湯に入っているような野趣あふれる湯あみが楽しめました。ちょっとでも増水すれば忽ち濁流に飲み込まれてしまいそうな場所です。このお風呂の存在に気付かず帰ってしまうお客さんも多いようです。
こちらの浴槽は上の浴槽から流れてくるお湯を受けているために、結構ぬるめの湯加減ですが、このおかげでいつまでも入っていられるので、私はここがすっかり気に入ってしまい、ちょっとした野湯気分を堪能させてもらいました。
●河鹿の湯
最後は、湯治部のお風呂「河鹿の湯」へ行ってみることに。
旅館部と湯治部との境には「白銀荘」と書かれた扁額が掛かっており、自炊する湯治客のための売店が設けられていました。そこから先の廊下には独居房あるいは病院を思わせる個室が両側に並んでおり、老舗らしい優雅な風格が感じられる旅館部と同じ施設であるとは思えないほどの高低差がそこには存在していました。両者の間には料金に大幅な差があることは知っていましたが、まさか施設自体もこんな天と地の違いがあるとは…。「高低差ありすぎて耳キーンなるわ」。
こちらは湯治部の玄関。いかにも自炊宿らしい風情ですね。玄関の壁には縦書きの温泉分析表が掲示されていました。
館内の案内表示に従って更に奥へ。浴場入口から中に入ると、そこは湯治部の宿泊客の共用流しとなっており、更に男女の浴室へ分かれていました。
まるで共同浴場のような、棚しか無い脱衣室。鮮やかな水色のペンキが眩しいです。
室内に貼ってあるスリッパに関する案内には思わず苦笑してしまいました。というのも、客の利用形態によってスリッパに厳然とした格付けがあり、その客がどんなスリッパを履いているかで、上客か否かが一目瞭然なのであります。この時私が履いていたスリッパはヒエラルキーの最上位にあたる旅館部の青スリッパだったので、普段肩身を狭くして世渡りをしている鬱憤を晴らすべく、ここぞとばかりに肩で風を切りながら廊下を泰然と歩いたのでした(おぉ、醜い…)。
全面タイル貼りで公衆浴場然とした浴室内。極めて実用本位です。「白糸の湯」や「桂の湯」と同様に川に面したロケーションなのですが、窓を開けたら蜘蛛の巣が張られており、川の展望という面でも格差があるみたいです。なお洗い場にはシャワー付き混合水栓が3基設置されています。
お風呂は旅館部と月とすっぽんほどの差がありますが、湯口から注がれるお湯は実力伯仲、なかなか素晴らしいクオリティでして、投入量もオーバーフロー量も多くて立派です。無色澄明で僅かな硫化水素的な知覚と弱い芒硝感が得られ、湯船に身を沈めると、お湯がやさしく全身を包んでくれる非常に上品な浴感でした。私の個人的な感想として、お湯の質感はこの河鹿の湯(下の湯)が一番気に入りました。
・白猿の湯
白猿の湯+桂の湯+下の湯(混合)
単純温泉 40.9℃ pH8.0 溶存物質0.3868g/kg 成分総計0.3881g/kg
Na+:103.3mg(93.34mval%),
Cl-:30.8mg(18.24mval%), SO4-:113.4mg(49.48mval%), HCO3-:79.1mg(27.25mval%),
H2SiO3:45.2mg,
浴槽温度を適温にするため源泉「白猿の湯」に源泉「桂の湯」と源泉「下の湯」を加えています。
(季節・天候・時間によっても多少異なりますが、源泉「桂の湯」を30~40%程度および源泉「下の湯」を20~30%程度加えています
・桂の湯
桂の湯+下の湯(混合)
単純温泉 41.7℃ pH8.0 溶存物質0.3938g/kg 成分総計0.3952g/kg
Na+:104.8mg(93.44mval%),
Cl-:30.7mg(17.42mval%), SO4-:110.3mg(47.13mval%), HCO3-:85.4mg(28.69mval%),
H2SiO3:45.6mg,
浴槽温度を適温にするため源泉「桂の湯」に源泉「下の湯」を加えています。
(季節・天候・時間によっても多少異なりますが、源泉「下の湯」を20~30%程度加えています)
・河鹿の湯
下の湯
単純温泉 47.1℃ pH8.1 溶存物質0.3953g/kg 成分総計0.3965g/kg
Na+:105.5mg(93.29mval%),
Cl-:30.0mg(17.31mval%), SO4-:110.3mg(46.84mval%), HCO3-:91.4mg(30.55mval%),
H2SiO3:42.8mg,
(成分に影響を与える項目、該当事項無し)
岩手県花巻市鉛字中平75-1
0198-25-2311
ホームページ
日帰り入浴時間7:00~21:00(浴室により清掃時間が異なるので、委細は公式サイトで要確認)
700円
貴重品ロッカーは白糸の湯・銀の湯・桂の湯にあり
シャンプー類やドライヤーは白猿の湯以外に備付あり
私の好み:★★★
●白猿の湯
藤三旅館といえば、日本一深い自噴の岩風呂でとても有名なこの「白猿の湯」ですね。私があれこれ述べると蛇足になりそうなので、このお風呂に関しての記述は簡潔に済ませます。既に多くの方によって紹介されていますので、詳しく知りたい方は他の素晴らしいサイトをご覧ください。
まずは旅館部からアプローチした場合の入口廻りの様子を撮影。
一方、こちらは反対側にある湯治部側の入口。明るく近代的な和風の旅館部側入り口と異なり、こちらの方が古くて趣きがあるような気がします。
今から約600年前に、白猿が桂の木の根元に湧くお湯でケガを癒していたところをキコリが見つけたのが、鉛温泉の歴史のはじまりなんだそうですね。入口脇に立つ柱にはかわいらしい白猿のワッペンらしきものが貼ってありました。
入口からいきなり階段で地下へおりてゆくわけですが、上述のように入口は旅館部側と湯治部側にそれぞれひとつずつ計2ヶ所あって、中央の浴槽を軸にしてシンメトリな構造となっており、こうした造りが非常に特徴的で、一度来たら忘れることができません。
階段を下りた先に簡素な脱衣スペースがあり、その上には縦書きの大きな温泉分析表が掲示されています。浴室内にカランなどはないので、桶で湯船のお湯を汲んで掛け湯します。
天然の岩を刳りぬいて作った小判型の浴槽。165cmの私の場合は胸の高さまで浸かるほどの深さがあるんですね。子供はもちろん、小柄な女性でも溺れちゃいそうだ…。
足元湧出がこのお風呂のご自慢ポイントですが、それだけでは不足するのか、他の2源泉からもお湯を引いており、中央にはその供給口と思しきSUS製の穴があって、その近くの岩付近のお湯がやけに熱くなっていました。完全掛け流しのお湯は、浴槽の縁から常にしずしずと溢れ出ています。
そのお湯は無色澄明、薄い褐色の湯の華が浮遊しており、ごく薄いタマゴの味と匂いや弱い芒硝感を帯びています。癖の無いさっぱりとしたお湯で、すっきりすべすべ気持ち良い浴感です。また、画像にちょこっと写っていますが、主浴槽の脇には一人サイズで25℃くらいの丸い水風呂があり、お湯で火照った体をこの水風呂で一気に冷やすと滅茶苦茶爽快、病み付きになっちゃいました。
※このお風呂は混浴ですが、6:00~7:00、14:00~15:00、19:30~21:00はは女性専用です(金曜10:00~14:00は清掃のため利用不可)
●桂の湯
「白猿の湯」と通路を挟んで向かいにあるのが、内湯と露天風呂の両方が楽しめる「桂の湯」。
綺麗で整然とした脱衣所は、その1で取り上げた「白糸の湯」に似た内装ですが、こちらの方がやや建築年としては先輩に当たるようで、スペース自体も「白糸の湯」と比べると若干狭めです。
内湯は大きな岩盤を穿ったような豪快な造りで、やや熱めのお湯が張られており、ふんだんにオーバーフローしていました。洗い場はシャワー付き混合水栓が4基設置されています。
お湯は無色澄明、薄い褐色の湯の華が少々漂い、弱い芒硝感があるもののほとんど無味無臭で、スベスベ感を有する優しい浴感が得られました。
露天風呂は川をせせらぎを目の前にして湯あみができる絶好のロケーション。こちら浴槽も内湯と同様な感じの造りで、お湯の影響か槽内は薄ら黄色っぽく見え、また外気の影響か内湯より湯加減が若干下がっており、いつまでも長湯したくなるちょうどいい塩梅となっていました。
露天の浴槽から一段下りた目立ちにくい河岸に、まるで隠し風呂のような、もうひとつの小さな露天浴槽が設けられており、川の流れが目の前に迫る位置で野湯に入っているような野趣あふれる湯あみが楽しめました。ちょっとでも増水すれば忽ち濁流に飲み込まれてしまいそうな場所です。このお風呂の存在に気付かず帰ってしまうお客さんも多いようです。
こちらの浴槽は上の浴槽から流れてくるお湯を受けているために、結構ぬるめの湯加減ですが、このおかげでいつまでも入っていられるので、私はここがすっかり気に入ってしまい、ちょっとした野湯気分を堪能させてもらいました。
●河鹿の湯
最後は、湯治部のお風呂「河鹿の湯」へ行ってみることに。
旅館部と湯治部との境には「白銀荘」と書かれた扁額が掛かっており、自炊する湯治客のための売店が設けられていました。そこから先の廊下には独居房あるいは病院を思わせる個室が両側に並んでおり、老舗らしい優雅な風格が感じられる旅館部と同じ施設であるとは思えないほどの高低差がそこには存在していました。両者の間には料金に大幅な差があることは知っていましたが、まさか施設自体もこんな天と地の違いがあるとは…。「高低差ありすぎて耳キーンなるわ」。
こちらは湯治部の玄関。いかにも自炊宿らしい風情ですね。玄関の壁には縦書きの温泉分析表が掲示されていました。
館内の案内表示に従って更に奥へ。浴場入口から中に入ると、そこは湯治部の宿泊客の共用流しとなっており、更に男女の浴室へ分かれていました。
まるで共同浴場のような、棚しか無い脱衣室。鮮やかな水色のペンキが眩しいです。
室内に貼ってあるスリッパに関する案内には思わず苦笑してしまいました。というのも、客の利用形態によってスリッパに厳然とした格付けがあり、その客がどんなスリッパを履いているかで、上客か否かが一目瞭然なのであります。この時私が履いていたスリッパはヒエラルキーの最上位にあたる旅館部の青スリッパだったので、普段肩身を狭くして世渡りをしている鬱憤を晴らすべく、ここぞとばかりに肩で風を切りながら廊下を泰然と歩いたのでした(おぉ、醜い…)。
全面タイル貼りで公衆浴場然とした浴室内。極めて実用本位です。「白糸の湯」や「桂の湯」と同様に川に面したロケーションなのですが、窓を開けたら蜘蛛の巣が張られており、川の展望という面でも格差があるみたいです。なお洗い場にはシャワー付き混合水栓が3基設置されています。
お風呂は旅館部と月とすっぽんほどの差がありますが、湯口から注がれるお湯は実力伯仲、なかなか素晴らしいクオリティでして、投入量もオーバーフロー量も多くて立派です。無色澄明で僅かな硫化水素的な知覚と弱い芒硝感が得られ、湯船に身を沈めると、お湯がやさしく全身を包んでくれる非常に上品な浴感でした。私の個人的な感想として、お湯の質感はこの河鹿の湯(下の湯)が一番気に入りました。
・白猿の湯
白猿の湯+桂の湯+下の湯(混合)
単純温泉 40.9℃ pH8.0 溶存物質0.3868g/kg 成分総計0.3881g/kg
Na+:103.3mg(93.34mval%),
Cl-:30.8mg(18.24mval%), SO4-:113.4mg(49.48mval%), HCO3-:79.1mg(27.25mval%),
H2SiO3:45.2mg,
浴槽温度を適温にするため源泉「白猿の湯」に源泉「桂の湯」と源泉「下の湯」を加えています。
(季節・天候・時間によっても多少異なりますが、源泉「桂の湯」を30~40%程度および源泉「下の湯」を20~30%程度加えています
・桂の湯
桂の湯+下の湯(混合)
単純温泉 41.7℃ pH8.0 溶存物質0.3938g/kg 成分総計0.3952g/kg
Na+:104.8mg(93.44mval%),
Cl-:30.7mg(17.42mval%), SO4-:110.3mg(47.13mval%), HCO3-:85.4mg(28.69mval%),
H2SiO3:45.6mg,
浴槽温度を適温にするため源泉「桂の湯」に源泉「下の湯」を加えています。
(季節・天候・時間によっても多少異なりますが、源泉「下の湯」を20~30%程度加えています)
・河鹿の湯
下の湯
単純温泉 47.1℃ pH8.1 溶存物質0.3953g/kg 成分総計0.3965g/kg
Na+:105.5mg(93.29mval%),
Cl-:30.0mg(17.31mval%), SO4-:110.3mg(46.84mval%), HCO3-:91.4mg(30.55mval%),
H2SiO3:42.8mg,
(成分に影響を与える項目、該当事項無し)
岩手県花巻市鉛字中平75-1
0198-25-2311
ホームページ
日帰り入浴時間7:00~21:00(浴室により清掃時間が異なるので、委細は公式サイトで要確認)
700円
貴重品ロッカーは白糸の湯・銀の湯・桂の湯にあり
シャンプー類やドライヤーは白猿の湯以外に備付あり
私の好み:★★★