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弘前の中心部から田舎館や黒石方面へ向かう際、私はしばしば県道268号線でショートカットするのですが、この県道を走ると否応無く目に入ってくるロードサイドの「平川温泉」でひとっ風呂浴びてきました。青森県の温泉銭湯はえてして旅館も併設されていますが、御多分にもれずこちらも同様でして、2つある建物のうち右側は旅館棟、おでこに「公衆浴場平川温泉」と書かれた左側の建物が浴場棟と分かれております。土地が余っているのか、駐車場はとっても広々。
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いかにも銭湯らしいロビー。番台にいるおばちゃんに直接料金を支払って浴室へ。番台の左が女湯、右が男湯。
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渋くて古臭い外観とは裏腹に、脱衣室はオフホワイトでまとめられており、失礼ながら意外と明るくて綺麗です。適宜改修しているのかもしれませんね。天井にはシーリングファンが設置されており、湯上りのクールダウンに使えます。窓下の棚には、各枠にギリギリ入るサイズのプラ籠が収められていました。脱衣室と浴室はガラスで仕切られており、相互間は丸見えです。壁や床のクロスのみならずガラスサッシもやけに新しいので、やっぱり最近リニューアルされたのでしょう。
室内の中央に置かれた長椅子では、風呂から上がったばかりの爺様が汗だくになりながらグッタリしていたのですが、その状況から察するに相当熱い湯加減なのかも…。
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浴室の中央には大きな浴槽が据えられ、周囲に洗い場が設置されている、青森県の温泉銭湯では一般的に見られるレイアウトです。室内はよく手入れされていてとっても清潔。洗い場のカランは青森県標準の押しバネ式カランと固定式シャワーの組み合わせが16セット。カランから出てくるお湯には源泉が、冷たい水には後述する水風呂と同じ鉱泉が、それぞれ引かれています。
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四角くて大きな浴槽は大小に2分割されており、大きな方は8~10サイズでやや熱め(44℃前後)、小さな方は6人サイズで激熱(46~7℃)。大きな方ですら44℃近くはありますので、先ほど脱衣室で湯上りのお爺さんがグッタリしていたのも納得です。両浴槽の縁からはお湯がふんだんに溢れ出ていました。勿論掛け流し。
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大小両浴槽にはそれぞれ温泉源泉を吐出する水栓があり、温泉成分の付着のためか、水栓金具は白くなっています。大きな方には水道水も投入されていますが、小さな方は源泉オンリーで加水が無いため、福島県飯坂や秋田県十和田大湯にも匹敵するほどの熱い湯加減になっているんですね。
お湯の見た目はほぼ無色透明ですが、ごくわずかに黄色を帯びているようであり、また槽内に用いられているタイルの色の影響を受けて若干緑色っぽく見えることもありました。お湯からは弱タマゴの味と匂い、そして微かなゴムのような風味が感じられ、特に湯口やカランではタマゴ感がはっきりしていました。熱いので長湯できませんが、入浴中はツルスベの気持ち良い浴感が得られ、鮮度感も良好。湯上り直後は先客の爺様のように火照って汗が噴き出しますが、熱の抜けが良いために、しばらくすれば汗もすんなりと引いてくれました。
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浴室内にはサウナも併設されているのですが、その前に据えられている小さな水風呂が特徴的。金気が多い鉱泉なのか、浴槽まわりは赤茶色に染まっており、実際に明瞭な金気の味と匂いが感じられました。この鉱泉(井戸水)は上述のように洗い場のカランでも用いられています。津軽の温泉施設は、温泉のみならず水風呂も面白いところが多いですね。
夏の暑い日にお湯だけ入浴するのは辛そうですが、この水風呂に入れば、その爽快な冷たさに全身がシャキッと冴えわたること間違いなし。
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風呂上がりに、浴場の裏手へ回ってみました。この辺りは津軽平野の米どころ。広大な水田が広がっています。
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浴場裏には源泉井などがあり、櫓から伸びている配管からは、ドバドバと大量のお湯が用水路へ捨てられていました。あぁ、もったいない…。
大袋2号泉
アルカリ性単純温泉 49.5℃ pH8.74 393L/min(動力揚湯) 溶存物質0.499g/kg 成分総計0.499g/kg
Na+:101.1mg(94.22mval%),
Cl-:70.1mg(42.86mval%), HCO3-:106.6mg(37.88mval%), CO3--:23.4mg(16.88mval%),
H2SiO3:185.3mg,
弘前駅(および弘前バスターミナル)より弘南バスの黒石駅前行もしくは尾上駅前行のバスで「大袋入口」バス停下車すぐ
青森県南津軽郡田舎館村大袋樋田3 地図
0172-58-2160
6:30~22:00 不定休
300円
ロッカー(50円有料)・ドライヤー(有料30円/5分)あり、基本的な入浴グッズは番台で販売
私の好み:★★