温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鰺ヶ沢 海のしずく(旧ぽっかぽか温泉)

2013年08月30日 | 青森県
 
一旦は閉鎖されてしまった鰺ヶ沢町の旧「ぽっかぽか温泉」が、運営母体変更の上で「海のしずく」と改称されて復活することを、拙ブログで2ヶ月ほど前にお伝えしましたが(その時の記事はこちら)、その後の6月10日にめでたくオープンにこぎつけ、ネット上でも少しずつレポートが上がり始めていますので、そんな機に乗じて私も先日実際に現地へ訪問してきた際のレポートを、今回アップさせていただきます。かつては国道101号に面して「5-11」という某大手チェーンの名称をパクったコンビニが営業していましたが、店舗の跡こそ残っているものの、コンビニの方は今回の温泉復活に際しても再開されないままのようです。



玄関入って右手の小型券売機で料金を支払い、左手のカウンターにいるお婆ちゃんに券を手渡します。そのカウンターは新しい施設とは思えないような、内部に販売品の入浴グッズが陳列されている、小型でガラス製の懐かしい感じのものでした。券売機の後ろの立つ衝立の向こうは家族風呂の入口でして、今回新設された家族風呂が建物に内包されたことに伴い、従前は離れで運営されていた「ぽっかぽか」時代の家族風呂が使用停止となった模様です。


 
大型テレビや複数台の自販機が設置された休憩スペース。壁の掲示板には分析表をはじめとしていろんな案内が貼り出されていたのですが、そんななかで「浴槽内の沈殿物及びタイルの汚れは湯の花です」と記された張り紙に目が留まりました。オープンしてまだ2ヶ月しか経っていないのに、もう成分付着による着色が発生しているのか?


 
さすが全面的に改装されただけあって、脱衣室はとっても綺麗です。天井ではシーリングファンが回っていました。全体的なレイアウトとしては青森県の温泉銭湯によくある凡庸なスタイルであり、この画像を見ただけはどの浴場なのか、私には特定する自信がありません。


 
お風呂は内湯のみでして、浴室は「ぽっかぽか」時代のレイアウトを踏襲しているような感じですが、洗い場のシャワー付き混合水栓はピッカピカの新品でして、真ん中の島に10ヶ所、左側の壁に沿って12ヶ所、計22ヶ所設置されています。なおカランから出てくるお湯は真湯です。
休憩スペースの掲示で説明されていたように、確かに洗い場の床タイルには既に茶色い跡がこびりついていました。



浴室内には、手前側からサウナ・水風呂・小浴槽・大浴槽の順でL字形に並んでおり、そのうち温泉が張られているのは小浴槽・大浴槽の2つです。なお水風呂で使用されている冷水は、ごく普通の水道水かと思われます。


 
まずは手前側の小さな浴槽から。小さいと言っても6~7人は入れそうな容量があり、かなり熱めのお湯(44℃前後)が張られています。湯口から吐き出されるお湯は湯面で泡立っており、湯船を満たしたお湯は縁から常時溢れ出ていました。このオーバーフローが床を茶色に染めているわけですね。


 
一方、奥にどっしりと据えられている大きな浴槽は小浴槽の2~3倍はありそうなキャパを擁し、41~2℃と万人受けする適温がキープされており、小浴槽同様に湯口から落とされたお湯は湯面で白い泡を立てています。湯船のお湯は、無人時には縁の浅い切り欠けから洗い場へ静かに流下していますが、人が湯船に入ればザバーっと縁の全辺から勢い良く溢れ出ていました。

お湯はやや黄色みを帯びた焦げ茶色を有しており、色が濃くて透明度が低いために浴槽底は見えません。両浴槽とも湯口には湯の華キャッチャーが被せられていますが、小さく熱い浴槽では大きな湯の華が浴槽内でたくさん沈殿あるいは浮遊している一方、大きな適温槽では沈殿浮遊ともにあまり目立っていませんでした。「海のしずく」という名前が示すようにこの温泉は化石海水由来でありますから当然ながら塩辛く、加えてニガリの味も有しており、臭素臭+微アンモニア臭+アブラっぽい匂いが湯面から放たれ、それらの匂いは浴室内にも漂っていました。なお味・匂いともに大きな浴槽よりも小さな浴槽の方が強く明瞭に感じられたのですが、上述の沈殿や浮遊物の件を含めて推測するに、小さな高温槽の方がお湯が濃いように思われます。大きな浴槽の湯口から吐出されるお湯は熱くなったりぬるくなったりを繰り返していたので、適宜加水して温度を調整しているのかもしれません。なお両浴槽とも循環加温は行われておらず、しっかり放流式の湯使いです。入浴中は濃い食塩泉らしいツルスベ浴感が肌を包み込んでくれるのですが、湯上がりは塩分がこびりつくため肌がカピカピし、またベトつきも残ります。



厳冬期でしたら湯船から出てそのまんまお風呂から上がっちゃえば、熱の湯である食塩泉ならではのパワフルな保温効果が期待できるのですが、暑い夏は却ってそれが災いして、なかなか汗がひかないどころか、肌の突っ張りやベトつきも気になってしまうところです。そんな浴感を見越しているのか、浴室入口には真湯が注がれている上がり湯の瓶が用意されていますので、浴後の不快感が気になる方は、お風呂あがり直前にこの上がり湯を体に掛けて、余計な塩分を洗い流してしまいましょう。

今回私は、鰺ヶ沢の「はまなす公園」から帰ってくる海水浴客で国道が軽く渋滞していた時間帯に訪れたのですが、国道沿いというわかりやすいロケーションゆえに、浴室内は海水浴帰りの客で混雑しているかと覚悟していたら、そのような客の姿はあまり見られず、洗い場に2~3人の常連さんがいる程度で、むしろ拍子抜けするくらいに空いていました。オープンして2ヶ月が経過し、少しずつ常連客が根付いても良さそうですが、鰺ヶ沢や森田・木造などの中心部から中途半端に離れているためか、あるいはまだまだ存在が知れ渡っていないのか、盛況と呈しているとは言えない状況のようです。せっかく復活を成し遂げたのですから、是非頑張って集客して、経営を安定させていただきたいものです。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 47.6℃ pH8.4 140L/min(動力揚湯) 溶存物質1.487g/kg 成分総計1.487g/kg
Na+:395.5mg(93.02mval%), NH4+:4.7mg,
Cl-:317.1mg(46.71mval%), Br-:1.3mg, I-:0.5mg, HCO3-:555.9mg(47.55mval%), CO3--:27.0mg,
H2SiO3:142.5mg,
(平成25年5月14日)

青森県西津軽郡鯵ヶ沢町北浮田町字平野206-23
0173-72-7222

6:00~22:00 第1木曜定休
350円
ロッカー(100円リターン式)・ドライヤー(無料)あり、入浴グッズ販売あり

私の好み:★★+0.5
コメント (7)
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