温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

布屋温泉 ホテルサンルート五所川原

2013年08月10日 | 青森県

6月初旬の某日、いつも五所川原での定宿にしているホテルに予約無しの飛び込みで訪問したところ、観光シーズンでも無いのになぜか満室。事情を伺ったところ、青森県の高校総体が開催中のために市内のホテルは学生で混雑しているとのこと。ならば近所で別の宿を目指そうということになり、偶々空きがあった市内中心部の「サンルート五所川原」で一泊お世話になることにしました。館内やお部屋はチェーンのビジネスホテルそのもので特筆すべき点はありませんから、今回の記事ではノータッチにしますが、こちらの大浴場には温泉が引かれており、なかなか主張の強いお湯ですので、今回ご紹介させていただきます。
実は以前にここの別館である「サンルート五所川原パティオ」に宿泊した際もこちらのお風呂を利用しておりますので、私にとっては2回目の入浴です(パティオ宿泊客も無料で本館の大浴場を利用可能)。

一般的に、チェーン(もしくはフランチャイズ)のビジネスホテルに付帯している大浴場は宿泊者専用としている場合が多いわけですが、公衆浴場をこよなく愛する青森県という土地柄ゆえか、こちらでは外来入浴も受け付けており、フロントにはちゃんと入浴券の券売機も設置されています。



エレベータで大浴場のある3階へ。宿泊客は各階のエレベーターホールに積んであるバスタオルとフェイスタオルを使えます。


 
こちらの大浴場は2005年にオープンしたんだそうでして、客室棟の躯体自体は結構草臥れているのですが、脱衣室内はまだまだ綺麗で明るい状態が保たれていました。室内には狭いながらもロッカーや洗面台など一通りの備品類が揃っています。浴室入口手前の中途半端に余ったスペースには、マッサージチェアが1台置かれていました。


 
お風呂は内湯のみで、典型的なビジネスホテルの大浴場そのもの。湯口の装飾以外は至って実用本位でして、基本的には限られた数の宿泊客を想定しているためか、「大浴場」と称しているわりにはかなりコンパクトです。長方形の浴槽は4~5人サイズ。洗い場にはシャワー付き混合水栓が4基並んでいます(沸かし湯が出てきます)。浴槽内ではジャグジーがボコボコ作動していて騒々しいのが残念なところ。館内表示によればお湯は循環ろ過を実施しているとのことですが、ジャグジーが噴き出る勢いを借りて、縁からお湯が溢れ出ていましたので、生源泉を投入しつつ循環も併用している、半循環に近い湯使いなのでしょう。オーバーフローしたお湯が流れる浴槽縁や床は、お湯に含まれる金気によって赤く染まっています。



口からお湯を吐き出している龍のようなものは、西北津軽の伝統行事である「虫おくり」の虫であります。「虫おくり」とは田植えを済んだ頃に五穀豊穣と無病息災を祈る民族慣習であり、木や藁でつくったドラゴンを彷彿とさせるデカイ神輿のような「虫」が農村集落を練り歩き、最終的には火祭りとして勢い良く燃やされ、以て悪い虫を退治するわけです。以前は五所川原の貴重な観光資源でもありましたが、近年は「立佞武多」にすっかり主役の座を奪われてしまったためか、観光アピールとしての「虫おくり」は存在感が薄れてきているような気がします。

湯口から吐き出されるお湯は、循環のお湯にしてはヤケに熱いので、もしかしたら湯口からは生源泉を落とし、槽内吸引&吐出によって循環させているのかもしれません(間違っていたらゴメンなさい)。そのお湯に関してですが、見た目は薄い黄緑色を帯びた暗い山吹色に弱く濁っており、湯船に浸かれば誰でも否応なくわかるほど強烈にしょっぱい味を有しています。上述のようにこちらではお湯を循環濾過させているそうですが、あんな塩辛いお湯を循環させたら機械がぶっ壊れないのか、と余計な心配をしたくなるほどです。ろ過させているとはいえお湯は濁っているのですから、ろ過させなければ相当強い濁りを呈するのでしょうね。
塩辛さの他には、弱い金気と弱い出汁味、そして磯のような臭素臭が感じられます。塩素系薬剤による消毒も行われているようですが、投入量が少ないのか、あるいはお湯の強い個性にかき消されてしまったのか、あまり塩素臭さは感じられませんでした。塩分が濃いため、入りしなは肌にピリっと刺激が走りますが、入浴中は食塩泉的な弱ツルスベ感がしっかりと得られ、湯上り後は汗が全然止まりません。典型的な「熱の湯」ですから厳冬期には最高でしょうけど、夏はかなりベタつきますから、湯船から上がったら、冷たいシャワーでお湯を洗い落とすことをおすすめします。
浴場としては面白みに欠け、しかも循環されていますから、あまり温泉ファンが触手を伸ばしたくなるようなお風呂ではないかもしれませんが、侮るなかれ、ヘビー級の浴感が味わえる力強いお湯ですので、もしこの界隈へおいでの際は、立ち寄って入浴してみるのも一興です。


ナトリウム-塩化物温泉 58.8℃ pH7.59 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質10.49g/kg 成分総計10.50g/kg 
Na+:3829mg(94.02mval%), Ca++:128.4mg(3.61mval%),
Cl-:5878mg(94.90mval%), Br-:17.2mg, I-:0.9mg, SO4--:282.9mg(3.37mval%), HCO3-:148.6mg(1.39mval%),
H2SiO3:42.7mg, HBO2:55.6mg,
源泉温度が高いため加水
衛生管理のため循環ろ過装置および塩素系薬剤を使用

五所川原駅より徒歩4分(300m)
青森県五所川原市布屋町25  地図
0173-34-8811
ホームページ

利用時間6:00~9:00、11:00~24:00
日帰り利用400円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント
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