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秋田市郊外、太平山南西麓のいで湯「貝の沢温泉」を数年前に利用したとき、その特徴的なお湯と浴感の良さが強く記憶に残ったので、それ以来、車で秋田を訪れる際には屡々こちらへ立ち寄ってひとっ風呂浴びてから秋田市街へと向かうようにしています。私は地理的感覚に自信があって、殆どの場所は一度行けば次回以降は地図を見ずに辿り着けるのですが、この温泉を利用する時は大抵日没後であり、しかも途中からは真っ暗な山中の細い路地をクネクネと進んで行くため、悲しい哉、いまだにカーナビ無しでは到達できていません。
この時も日帰り入浴の営業時間終了1時間前に伺ったのですが、駐車場には私のような他県ナンバーを含めて多くの車がとまっており、この温泉の人気の程がうかがえました。純然たる和風建築の本棟の他、山門やお地蔵さんなど敷地内にはお寺を思わせるものが配置されており、しかも広大な敷地内の森を散策するにあたって必要な料金を入山料と称していますので、余計にお寺っぽい感じがします。源泉を掘削する際に山中から泥に埋もれた観音様の仏像が発掘され、その後良質のお湯が温泉井戸から湧きだしたそうですから、貝の沢温泉としては観音様に感謝すべく、全体をお寺チックにしているのかもしれませんね。
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玄関前の大きなつくばいでは、中央から温泉の熱いお湯がアブラ臭を放ちつつ音を立てながら勢い良く噴き上がっており、これから入浴しようとする利用客に期待を抱かせてくれますが、これって実はお湯の出の開閉が可能でして、閉館時間に近づくとお湯は止まってしまうんですね。
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古い湯治宿のような佇まいの帳場で入浴料金を支払って館内へと入ります。長い廊下の左側には食堂があり、その脇を真っ直ぐ奥へ進んでゆきます。今回訪問時は既に食堂の営業時間外でしたが、こちらは食堂も結構人気があるんですよね。廊下にはソファーがたくさん置かれており、湯上がりのお客さんがこちらに腰を掛けてゆっくりと寛いでいらっしゃいました。
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彫刻や掛け軸などが飾られている板の間が浴室入口で、女湯は左側、男湯は右側。額に納められた書の類もあったりして、やっぱりどこかしらお寺っぽいんだよなぁ。
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ウッディーな脱衣室は実用本位のごく一般的な造りで、そこそこの広さも確保されていますから、多少混雑していてもストレスなく利用できるかと思います。室内の壁には掛け流しをアピールする貼り紙が掲示されていました。
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お風呂は内湯のみで、室内に入った途端、アブラ臭と臭素臭を足して2で割ったような、独特の刺激臭が鼻孔を突いてきました。節電のためか一部の照明が消されて薄暗くなっているのですが、これが却って落ち着く雰囲気を作り上げていました。大きなガラス窓に面して湯船が据えられており、大きな窓や高い天井のおかげで室内ながらもしっかりとした開放感が得られます。一方、床には緑色凝灰岩と小さなタイルを組み合わせたものが敷き詰められています。
壁に沿ってL字型に配置された洗い場にはシャワー付き混合水栓が計10基設置されており、そのシャワーと並んで上がり湯槽も設置されています。この上がり湯槽には温泉が注がれているのですが、さっぱりとした湯上がりを実現させるべきか、このお湯には加水されているようでして、かなりぬるめとなっており、味や匂いも後述する湯船の湯口よりもマイルドになっていました。
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浴槽は15人以上同時に入れそうな余裕のあるキャパシティで、紅色の御影石的な石材で縁取られており、槽内には水色系のタイルが貼られています。湯船の一部ではジャクジーが稼働していて少々騒々しいのですが、これを好んで湯浴みするお客さんもたくさんいらっしゃいますので、数回しか利用していない私如きは文句を言えた義理ではありませんね。
浴槽にお湯を注ぐ湯口の箱の中を覗いてみますと、吐出口には固形物を濾し取るための布が巻かれており、そこから直に触れそうにないほど熱いお湯がトポトポと流れ出ていました。浴槽の大きさの割には投入量が少ないように感じられるのですが、これはおそらく加水無しで湯加減を調整すべく、投入量を絞っているものと思われ、実際の湯船は実に入りやすい41℃前後となっていました。
この湯口のお湯をちょっと口にしてみたところ、塩辛くはないものの明瞭な塩味を有しており、出汁味や重曹的なほろ苦みも含まれていました。また上述のようにお湯からはアブラ臭と臭素臭を足して2で割ったような独特の刺激臭が放たれています。分析表を見ますとチオ硫酸イオンが1.8mgですので、あともうちょっとで硫黄泉を名乗れそうな感じです。食塩泉であるとともに、泉質名には含まれていないものの結構な量の炭酸水素イオンが含まれているため、入浴中はツルツル感が楽しめ、湯上がり後はお肌のスベスベ感が良好です。食塩泉なので汗が引きにくいかと思いきや、実際にあたたまりが強いものの、意外と汗の引きも良く、寧ろ清涼感すら兼ね備えているようでした。消毒に関する県の指導が厳しい秋田県ですから塩素消毒が実施されているのは致し方ないところですが、独特の刺激臭に紛れてしまうためか消毒に関しては全く気にならず、それ以外の加温加水循環は行われていない、れっきとした放流式の湯使いであります。
敢えて失礼な表現をすれば、この貝の沢温泉はとても辺鄙でわかりにくい山中に位置しているのですが、そんな場所でも多くのお客さんがやってくるのですから、いかに良いお湯であるかは自明であります。今後も機会があれば利用させていただきます。
2号泉
ナトリウム-塩化物温泉 56.7℃ pH7.9 溶存物質8590.0mg/kg 成分総計8590.0mg/kg
Na+:3106mg,
Cl-:4281mg, S2O3--:1.8mg, HCO3-:947mg,
H2SiO3:69.9mg, HBO2:56.4mg,
加水加温循環なし
衛生管理のため塩素系薬剤を使用
秋田駅より秋田中央交通(バス)の太平線で「貝の沢口」バス停下車、徒歩18分(1.4km)
秋田県秋田市太平山谷長坂66-96 地図
018-838-3838
ホームページ
日帰り入浴8:00~20:00
420円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカーの存在は確認し忘れ
私の好み:★★★