温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯の沢温泉 藤里町農村環境改善センター

2013年10月22日 | 秋田県

秋田県北部の藤里町は、町域の約4分の1が白神山地の世界自然遺産登録地域にあたるんだそうです。そんな藤里町にも湯ノ沢温泉というお湯が湧いており、数軒の旅館や入浴施設が営業しております。今回はその中でも町営の「農村環境改善センター」で入浴してきました。名称から何となく想像できちゃいますが、所謂過疎地向けのハコモノの一種であり、すなわち地域の集会所的な役割に加えて宿泊機能などを兼ね備えた福祉施設でして、その機能のひとつとして温泉浴場も含まれているわけです。


 
平日の午前中に訪れたのですが、館内には管理人のお爺さん以外にどなたもいらっしゃる気配はなく、四方を取り囲む山から響いてくるセミの騒がしい鳴き声が、昭和の空気感漂う玄関ロビーで木霊していました。受付の事務室でお爺さんに料金を支払って中へと入ります。


 
いかにも昭和の公共施設らしく館内は地味で無味乾燥としており、浴室へと続く廊下はさながら30~40年前の学校のような雰囲気です。奥へ伸びる廊下をどんどん奥へと歩き、途中で左へ折れた突き当りにお風呂の暖簾がかかっていました。


 
お風呂は男女別の内湯のみ。脱衣室はこぢんまりとしており、棚・籠や洗面台など必要最低限の設備しかありませんが、ちゃんとお手入れされているので、ストレス無く利用できました。



浴室もコンパクトな造りで、これといった装飾もなく、モルタルの壁には白い塗装が施され、床はオフホワイトのタイル貼りという、極めて実用的な趣向です。室内にはお湯から放たれているほのかなアブラ臭がふんわりと漂っていました。


 
洗い場は浴室の左右に分かれて配置されており、その内訳は左側に3ヶ所、右側に1ヶ所で計4ヶ所なのですが、そのうちシャワー付きは3ヶ所です。カランから出てくるお湯はボイラーの沸かし湯(真湯)でして、(失礼ながら意外にも)お湯はすぐに吐出されました。


 

浴槽は縁取りが黒い御影石で槽内はタイル貼り、逆台形のような形状の5~6人サイズです。竹筒を模した横に潰れている楕円の湯口から、トポトポとお湯が注がれており、左側の洗い場に向かって静々ながらしっかりとお湯がオーバーフローしていて、私が湯船に入るとザバーっと豪快に溢れ出ました。

お湯は無色透明で、若干の出汁味が含まれている明瞭な塩味を有し、少々の渋みを伴うほろ苦みを伴っていました。臭覚に関してはアブラ臭と臭素臭を足して2で割ったような匂いを放っており、湯口に鼻を近づけるとアブラ臭の方が強く感じられました。なお館内表示によれば塩素系薬剤による消毒が行われているそうですが、特に消毒臭さは気になりませんでした。
湯船は41~2℃という丁度良い湯加減がキープされており、ややトロミを有するお湯の中では食塩泉的なツルスベ浴感が肌に伝わってきます。味や匂いともにマイルドですが、れっきとした食塩泉(熱の湯)であることには変わらず、湯上がりは汗が引きにくく、いつまでも温浴効果が続きました。厳冬期に入浴すれば熱の湯らしい恩恵をしっかりと享受できることでしょう。お風呂としては面白みに欠けますが、静かな環境で実力派のお湯を堪能できる、質実剛健な温泉浴場でした。


湯ノ沢温泉2号井
ナトリウム-塩化物温泉 43.6℃ pH8.7 20L/min
塩素系薬剤で消毒

能代駅・東能代・二ツ井駅より秋北バスの真名子行で「湯の沢温泉」バス停下車
秋田県山本郡藤里町藤琴字上湯ノ沢16
0185-79-1379

9:00~21:00
300円
コインロッカーあり、他備品類なし

私の好み:★★
コメント
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