温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯田川温泉 甚内旅館

2013年10月29日 | 山形県
※残念ながら2019年に閉館しました。

 
庄内・鶴岡の有名な温泉地といえば、海岸沿いの湯野浜温泉と内陸部の湯田川温泉の2湯を思い浮かべますが、私個人としては田園地帯の静かな環境に囲まれた湯田川温泉の方が肌が合っています。今回はそんな湯田川温泉の中心部に位置する「甚内旅館」で立ち寄り入浴してまいりました。温泉街のメインストリート沿いに建っており、当地では標準的な中規模旅館と言えましょう。


 
館内は和風な趣きながら、どこかアットホームな空気感も漂っています。玄関の三和土で日帰り入浴を乞いますと、奥から年配の男性スタッフが2人やってきて、対応してくださいました。玄関からまっすぐ進んだ右側に男女別の内湯が一室ずつあり、手前側が男湯です。
脱衣室には竹を模した内装材が貼られており、和テイストが全面に表されています。棚は市松模様のような造りになっているのですが、これはおそらく壁の向こう側の女湯と互い違いになっているのでしょうね。


 
暖色系の脱衣室とは打って変わって、浴室はモノトーンの色調で占められており、室内の上半分はモルタル壁に白ペンキ塗り、下半分は紺地に黒や白の縦ラインが入ったタイルで統一されています。床の石タイルは昭和30~40年代に流行った懐かしいタイプの意匠です。そんなこぢんまりとした空間に、蹄鉄型の浴槽がひとつ、そして洗い場にシャワー付き混合水栓が2基用意されています。



窓の外は坪庭が誂えられ、控えめに和の趣を醸しだしていました。


 
浴槽はおおよそ4人サイズ。美しい曲線を描く縁にはコバルトブルーの細かなタイルが、そして槽内にはターコイズブルーのタイルが敷き詰められています。また槽内にはコンクリのブロックが沈められており、これがステップ代わりに用いられています。
丸い石の湯口は女湯側と半々になっているものと思われ、そこには純白の析出がこびりついており、湯船へ滔々と注がれている無色透明で綺麗に澄んだお湯は湯船を満たした後、縁からしっかりと溢れ出て、洗い場の床を洗うように流れ去っていました。こちらに引かれているのは1号源泉であり、放流式の湯使いを実践しています。

湯口に置かれた竹筒で飲泉してみますと、芒硝と石膏の味および匂いが半分ずつバランスよく感じられ、石膏的な甘さが後味として口の中に残りました。また湯船に入って腕を掻くとトロミがあり、肌を擦ると引っ掛かりのある浴感が得られました。そして湯上がりには実力のある硫酸塩泉らしく、しっかりとした温浴効果が持続しました。
決して大きくないお風呂ですが、それゆえ一人で入った時のホールド感や安心感が優れており、鮮度感のある掛け流しのお湯に浸かりながら、レトロな雰囲気の中で落ち着いたひと時をすごすことができました。


湯田川1号源泉
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 42.6℃ pH8.4 蒸発残留物1256mg/kg 溶存物質1287mg/kg
Na+:224.1mg, Ca++:176.3mg,
Cl-:56.4mg, SO4--:737.7mg,
H2SiO3:52.6mg,

鶴岡駅より庄内交通バスの湯田川温泉・坂の下・越沢行で「湯田川温泉」バス停下車、徒歩1分
山形県鶴岡市湯田川乙16  地図
0235-35-2151
ホームページ

※残念ながら2019年に閉館しました。
日帰り入浴9:00~17:00
400円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
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