温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

宝田温泉 宝の湯

2015年12月05日 | 熊本県
 
今回取り上げるのは、前回記事の「辰頭温泉」からわずか1キロほどしか離れていないご近所の宝田温泉「宝の湯」です。この界隈は合志川の畔に民家が点在する田園風景が延々と広がっているのですが、地図上では3つの市境が集まっており、風景としては変わりばえが無いにもかかわらず、1キロほどの短距離なのにいつの間にか市境を越えて、菊池市から熊本市北区へと入っていました。付近の県道沿いには温泉を示すたくさんの看板が立っており、路肩はもちろん、路地の角に位置するお堂の境内までにも立てられています。
草臥れたコンクリ瓦を戴く木造の渋い建物には整体院が併設されており、また物販を行うプレハブ小屋もたてられていました。駐車場には多くの車が停まっており、人気の高さが窺えます。


 
建物自体は年季が入っていそうですが、玄関まわりはきれいに修繕されており、初見のお客さんでも気軽に入れるかと思います。私の訪問時、玄関扉には「常設のボディーソープは無くなりました」と記された案内が掲示されていました。本当は値上げしたいのだけど、それを回避するべく経費を抑えて料金を据え置こうとする涙ぐましい努力が、この文言に表れているように思われます。なお石鹸類は番台で販売していますから、持参していなければ、番台で購入しましょう。



玄関を上がって右手には休憩用のお座敷があり、その手前に設置されている券売機で料金を支払い、券を番台に差し出して浴室へと入ります。

訪問時の館内は混雑していたため、画像はございません。文章のみでレポートさせていただきます。
脱衣室には有料(10円)のロッカーの他、床に積み上げられているプラ籠も使え、常連さんの多くはプラ籠を使っていました。室内の真ん中には休憩用のベンチが置かれ、洗面台は2台(もしくは3台)並び、ドライヤーも備え付けられています。わずか200円という湯銭の安さのためか、平日の昼間だというのに大勢のお客さんで賑わっていたのですが、その一方で脱衣室スペースは6畳あるか無いかという狭さであるため、実使用時には少々の窮屈さを覚えました。

木目の化成壁材張りの浴室は、左手に洗い場が、右手に浴槽が配置されています。洗い場にはシャワー付きカランが7基並んでおり。カランから出てくるお湯は源泉使用です。
浴槽は大小に2分割されており、いずれも赤い御影石で縁取られ、槽内は石板張りで、底は洗い出し仕上げです。手前側(脱衣室側)は3人サイズの小槽で、奥側(露天風呂側)はその3倍近い容量を擁する大きな槽です。小槽にある鉢の湯口からお湯が投入されており、小槽を充したお湯は、お隣の大槽へと流れており、大きな槽の縁からオーバーフローしていました。このようなお湯の流れであるため、小槽の方がやや熱めの湯加減となっていました。小槽の湯口にお湯を供給している塩ビ管は2本あり、うち1本は丁度良い湯加減、もう1本はややぬるめの温度で、この2本が同時投入されていたのですが、いずれも源泉のお湯でしたから、おそらく高温のお湯は加温されたものなのでしょう。



わずか200円の公衆浴場なのに、露天風呂が付帯しているのがありがたいところ。この露天風呂にも洗い場があり、源泉のお湯が出てくるシャワー付きカランが3or4基設けられています。上述のように内湯の浴室内には7基もカランがあるのに、私の訪問時、多くのお客さんは内湯ではなく露天のカランに集まる傾向がありました。開放的な環境のもとで体をきれいにしたいのでしょうか。

露天洗い場の隣には、奥へ細長い浴槽が据えられており、その奥行き(長辺)は約7m。底面にはレンガ色のタイルが敷き詰められ、ステップは洗い出しで、全体的に浅めの造りです(ちょっと寝そべると肩まで浸かれるような深さ)。男女両露天を仕切る塀に湯口の穴が2ヶ所あけられ、そこからお湯がふんだんに注がれて、浴槽の縁から惜しげも無くオーバーフローしていました。内湯と違って、こちらはいつまでも長湯したくなるぬるめの湯加減です。ご近所の「辰頭温泉」のような激しい泡付きこそ無いものの、長湯している全身が細かな気泡で覆われました。お湯の見た目はほんのり赤みや黄褐色を帯びた透明で、甘塩味・金気味・弱タマゴ味と、金気臭・弱タマゴ臭・有機肥料のような匂いが感じられます。湯使いに関する表示は見当たらなかったのですが、内湯・露天風呂ともにおそらく放流式かと思われます。ただ内湯では加温が行われているようですし、また各浴槽においてはカルキのような臭いがしたので、消毒剤の使用も行われているのではないかと推測されます。でもそんな些細なことがどうでもよくなるほど、湯中では重曹がしっかりと効いており、ツルツルスベスベの浴感が大変気持ち良く、湯上がりもさっぱり爽快な感覚が持続しました。



露天風呂の最奥には2人サイズの小さな槽があり、ここには(私の体感で)25℃くらいの水風呂となっているのですが、画像をご覧になればお分かりのように、ただの水ではなく、明らかに暗い山吹色(あるいは深緑色)を帯びて濁っています。見た目ばかりでなく、味や匂いも関しても主浴槽の温泉と同じようなものが感じられました。私個人としてはものすごく気持ち良く、すっかり気に入ってしまったので、湯上がり後、番台のおばちゃんへその感想を伝えるついでに、水風呂について訊いたところ、「源泉に水を加えたもの」と簡単に答えてくれましたが、それ以上のことはわからないと言わんばかりにお茶を濁されてしまい、詳しくは聞けず仕舞いでした。単に水を加えただけではあんなに濁らないはず。うーん、この水風呂の正体は一体何なんだろう…。


ナトリウム-炭酸水素塩温泉 42.6℃ pH7.35 溶存物質3292mg/kg 成分総計3443mg/kg
Na+:885.3mg(95.06mval%),
Cl-:238.7mg(16.84mval%), HS-:0.8mg, HCO3-:2009mg(82.41mval%),
H2SiO3:22.2mg, HBO2:85.2mg, CO2:140.5mg, H2S:0.4mg,
(平成12年9月14日)

熊本県熊本市北区植木町平井1641  地図
096-273-5558

5:00~22:00
200円
ロッカー(有料10円)・ドライヤーあり、石鹸類販売あり

私の好み:★★
コメント (2)
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