温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯田中温泉 白樺の湯

2015年12月14日 | 長野県
 
今回から長野県・北信地方の温泉を連続して取り上げてまいります。長野電鉄の特急「スノーモンキー」(成田エクスプレスのお下がり)に乗って、終点の湯田中駅へとやってまいりました。さぁ、気合を入れて湯田中の温泉をハシゴするぞ!!


 
まず一軒目は湯田中駅から最も近い共同浴場「白樺の湯」から。駅の目の前にはお湯汲み場があり、当地を訪れたことのある人なら、一度はこの光景を目にしたことがあるはずです。


 
湯田中温泉の共同浴場は基本的に地元住民専用ですから、普段は施錠されていますが、毎月26日(風呂の日)だけは一部の浴場が開放され、外来者でも入浴が可能です。もう長年にわたって実施されていますから、ご存知の温泉ファンも多いかと思います。もちろん私もこの26日を狙って当地へ訪問したわけで、「白樺の湯」の窓の格子には「外湯開放中」の幕が下げられていました。この幕が掲示されていれば外来者でも入浴可能。
出入口は男女別に分かれており、男湯は左側。解錠されている戸を開けるとすぐに脱衣室です。棚だけしかない至ってシンプルな構造で、せいぜい2人同時利用が精一杯の狭さです。


 
浴室も6畳あるかないかといった小ぢんまりとしたもので、床や壁の立ち上がり1メートルまではタイル張りという実用的な造りなのですが、2方向がガラス窓であるために室内は比較的明るく、清掃もきちんと行き届いてるので、おかげさまで気持ち良く使うことができました。地元の方々の共同浴場に対する愛情が伝わってきます。
狭い室内ながら洗い場は二手に分かれており。脱衣室から見て正面奥左側にお湯と水のカランのペアが1組、そして右手手前側に水道のみの水栓が1基、それぞれ取り付けられていました。


  
地元の方が毎日の汗を流す生活と密着した実用本位のお風呂ですが、歴史ある温泉地としての意地なのか、浴槽は立派な総木造で、入り心地も良く、温泉風情がしっかりと感じられました。大きさは目測で1.2m×1.5m程度、2~3人サイズといったところです。室内を這う配管からとても熱いお湯がトポトポと注がれ、浴槽を満たしたお湯は縁の切り欠けから絶え間なくオーバーフローしており、私が入ると縁の全辺から豪快にザバーッと溢れ出ました。放流式の湯使いですが、源泉温度が高いため加水されています。

私が入室した時には先客の組合員さんが湯浴みしていらっしゃり、この方が加水と攪拌をしっかりしてくれたおかげで、湯船は(体感で)44℃くらいにまで下がっていましたので、私は何もせずに入浴することができましたが、湯口からはアツアツなお湯が常時注がれているわけですから、本来ならば湯船はそのままでは入れないほどの熱さになっているものと想像されます。
こちらの浴場に引かれているお湯は「共益会12号ボーリング」源泉で、ここのみならず、温泉街の各旅館や共同浴場にも配湯されている湯田中温泉の主要源泉であり、以前拙ブログで取り上げた共同浴場「綿の湯」旅館「翠泉荘すぎもと」でも同源泉が使われています。見た目は無色透明で、お湯を口に含むと微かな塩味と弱い芒硝のような風味が感じられます。湯中には焦げ茶色の木屑みたいな浮遊物が大量に舞っていたのですが、これは湯の花なのか、もしくは浴槽から剥がれた破片なのか、はたまたその両方が混ざっているのか…。トロミのあるお湯に浸かるとスルスベと引っかかりが混在する浴感が得られ、熱めの湯加減だけあって、しっかりと温まります。

なおこの源泉の分析書には、硫化水素イオンが1.1mg、そしてチオ硫酸イオンが0.7mgと記されています。つまり総硫黄が1.8mgも含まれているわけで、あと0.2mgあれば硫黄泉を名乗れるほどの数値であり、他の温泉だったら十分に硫黄感が体感できるはずなのですが、この源泉に関しては、当浴場でも他のお風呂でも、実際にはその数値が幻かと思われるほど硫黄らしさがほとんどありません。貯湯している間に飛んでしまうのかな。

普通の人にはちょっと熱いかもしれませんが、温泉地の共同浴場がビックリするほど熱いのはよくある話ですから、風呂の日にあやかって共同浴場を利用することは、ご当地の温泉文化を体験する良い機会かと思います。また、ヒートショックプロテインという現象もあるそうですから、熱いお湯で身を引き締めることは、ご自身の美容にもよいのかも。


共益会12号ボーリング
ナトリウム-塩化物温泉 96.2℃ pH8.2 100L/min(掘削自噴) 溶存物質1.986g/lg 成分総計1.986g/kg
Na+:453.4mg(77.07mval%), Ca++:74.6mg(14.55mval%),
Cl-:741.8mg(79.63mval%), Br-:3.6mg, I-:1.0mg, HS-:1.1mg, S2O3--:0.7mg, SO4--:200.6mg(15.89mval%), HCO3-:40.5mg,
H2SiO3:263.3mg, HBO2:115.4mg,
加水あり(源泉温度が高いため)

長野電鉄・湯田中駅より徒歩1分
長野県下高井郡山ノ内町平穏2994  地図

毎月26日の9:00~15:00のみ外来者利用可能(「外湯開放中」の幕が下がっている時間のみ)
外湯開放時は無料で利用可能
備品類なし

私の好み:★★
コメント
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