温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

麗しの埔里でのんびりサイクリング その1 (台湾中部)

2012年05月17日 | 台湾
※今回の記事に温泉は登場しませんのであしからず


台湾中部の埔里滞在中は宿で自転車を借りて埔里の街や近郊を周遊してみました。ガイドブックではあまり詳しく取り上げられることのない街ですが、実際に巡ってみたら、実に魅力的で見所が満載、短期の滞在では全くまわりきれないほど観光ポイントが多い街でした。しかも街からちょっと離れたら、まるで絵画の世界に紛れこんだかのような麗しの田園風景が広がっており、風光明媚な景色の中でのんびり佇んでいたら、心の隅々まで洗われるようでした。
まずは台湾屈指の規模を誇る道教の廟「地母廟」へ行ってみます。

●地母廟

廟への参道にはいくつかの門を潜ります。これは大通りとの十字路に立っている一つ目の門。


 
二つ目の門は乾坤門。参道沿いにはマコモダケの田んぼが広がっています。


 
3つめの門が廟の核心エリアの入口に当たるもの。門前にはお供え用の造花などを売る屋台が並んでいました。平日の朝だからか、参拝客はまばらで、お店の人もやる気ゼロ。


 
門を潜った正面で頭を出しているのは九龍神。



山の斜面に建てられているためか、廟は多層的な構造になっており、すべてを巡ろうとするとかなりの階段を登り降りしないといけません。


 
さほど段を登らずとも参拝できるお宮。広場ではお兄さんが太極拳の真っ最中。



境内からは絶えず一定リズムで太鼓や鐘の音が響いてくるのですが、その太鼓をよく見てみると、なんと機械仕掛けで鳴らされていました。


 
神農殿。中華圏らしい鮮やかな色使いが印象的。


 
テラスからは埔里の街並みを俯瞰することもできました。展望もさることながら、廟の緑色した瓦屋根が独特な景観をつくりだしています。


●18度C巧克力工房(18℃チョコレート工房)
 
続いて台湾女子のハートを鷲掴みにしている18℃チョコレート工房(ホームページ)(台湾ナビ内記事)へ。おっさんのくせに甘いものに目が無い私は、ここを訪れることが楽しみで仕方ありませんでした。人気を集めている繁盛店らしく、この時も観光バスで来店する団体客や、何台かの車に分乗してやってきた大学生らしきグループが駐車場で思い思いにお店のスイーツを頬張っていました。こちらの主力商品は生チョコレートですが、ちょうど太陽が頭上で燦々と輝き始め、肌に汗が滲み始めてきた頃だったので、私はジェラートをいただくことに。


 
日本の店舗デザインや接客スタイルを取り入れているというこちらのお店は、スタッフの方も常に笑顔です。若いスタッフばかりなので片言の英語も大丈夫。ジェラートは甘さ控えめで素材の味を存分に引き出しており、とっても美味くて大満足です。


●台湾地理中心
 
埔里は台湾島の地理的な中心なんだそうです。紙に台湾島の輪郭を印刷し、それをはさみで切って重心を求めたら、そのポイントがちょうど埔里にあたるのでしょう。そんなわけで当地には地理中心を記念した公園があるので行ってみました。



これが台湾地理中心の碑。



園内には壺から水が注がれるモニュメントがありました。説明を発見できなかったので意味はわかりかねますが、埔里は名水の産地でもあるので、けだしその関係ではないかと思います。


 
更に奥に立っているのが「山清水秀」碑。地理中心に関して説明している碑文がはめ込まれています。



実際に地理中心があるのは公園内ではなくて、そこから山道を延々登った先にある虎子山の東経120度58分22秒・北緯23度58分32秒地点。山を自転車で登っても良いのですが、脆弱な私は公園で満足することに。でも実はこの日の朝、ゲストハウスプリのオーナーさんのバイクにニケツして山の上に広がるハンググライダー場へ連れて行ってもらっていました。ここからは盆地状になっている埔里の街を一望することができ、市街の観光名所の場所を把握することができるのです。この景色を地図を見比べ、ここが●●で、あそこが△△、という感じでオーナーさんから説明を受けてから、この日サイクリングを実行しました。御蔭で道に迷うことはありませんでした。


●ビーフンでランチ

埔里はビーフンの名産地でもあります。私はビーフンに目が無いので、この日のランチはビーフンの専門店へ。場所は次に紹介する「埔里酒廠」の傍です。


 
店内には袋詰めの埔里米粉が陳列されていました。ここではワンタン入りスープビーフン、そして韮とモヤシのボイルを注文。日本の外食に慣れていると、埔里のお店の味は若干薄く感じてしまうかもしれませんが(逆に、台湾人は日本の味付けを塩辛いと表現することが多いようです)、素材の持ち味がとてもよく引き出されているため、じっくりゆっくり味わうと旨みがしっかり伝わってきて、飽きが来ない後味の良い美味さが楽しめました。思わず舌舐めずりしたくなるほど美味しかった!


●埔里酒廠

水が清らかな埔里は紹興酒の名産地でもあります。ビーフンを食べた後、店の斜め前にある酒造工場「埔里酒廠」に行ってみました。


 
エスカレータで2階へ。無料で入場できます。館内に入った途端、紹興酒の匂いが鼻を突いてきました。館内は資料展示が中心でして、当地における醸造の歴史や製造過程を学ぶことができます。


 
日本の統治下で本格的な醸造工場として発展したため、展示物には日本時代の資料や固有名詞がたくさん登場していました。


 
紹興酒の甕を展示。同じように見える甕にもいろんな個性や識別があるんですね。


 
甕を積み上げて造られたトンネルは圧巻です。



酔酒体験室。床が斜めになっているなど、ブース内に入ると泥酔して平衡感覚が失った状態を体験できるみたいですが、実際に入ってみても大して…(以下省略)。やっぱり泥酔状態ならば、頭痛や嘔吐が伴わないとね…。


次回に続く・・・
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北投温泉 新北投温泉浴室 (台湾北部・北投)

2012年05月16日 | 台湾
 
日本へ帰る日、北投の強烈な青磺泉に入ってから飛行機に乗ろうと思い立ち、大きな荷物を台北駅のコインロッカーに預けてからMRTに乗って新北投へと向かいました。松山空港を出発する便ですと、出発時間ギリギリまで台北市街でゆっくりできるのが嬉しいところです(もう桃園は使いたくないなぁ)。今回お邪魔したのは地熱谷の入口に位置している「新北投温泉浴室」です。



個人池(一人用個室風呂)の利用を乞うと、店番のおばちゃんは入浴券を機械に通して時刻を打刻してから、その券を私に手渡してくれました。一応40分という時間制限があるので、券面に記された時刻に留意しながら利用するわけです。


  
壁一面に所狭しといろんな貼り紙が。日本語もありますね。
車庫でよく見かけるようなのようなアルミの戸を左へ引いて奥へと進みます。



細長い廊下の左側には個人池の個室が並んでいます。奥には雙人池(二人用)や家族池などがあるみたいですが、今回はそこまで行きません。


 
どの部屋も同じような造りなのですが、任意の個室を使ってよいとのことなので、自分が5月生まれであることに因んで5番の部屋をチョイスしました。狭い室内の横幅いっぱいに一人サイズの小さな浴槽が据えられています。浴槽の前にはスツールと桶がひとつずつ。浴槽は耐酸性の塗料によってコテコテにコーティングされていますが、色はともかく、こうした耐酸性の塗料が分厚く塗られてテカテカしている浴槽は、草津や蔵王など強酸性の温泉地でよく見られますね。


 
浴室には小さな棚とフックがあるだけ。大きな荷物は個室内に持ち込みにくい構造です。硫化水素中毒を防ぐため、天井では換気扇がフル回転。


 
浴室内にも張り紙がたくさん。この温泉施設の特徴や営業案内が列挙されているほか、大小便するな、使用後はお湯を流して、退出時には水栓を閉め電気を消して、などの注意書きも記されています。



浴槽にお湯を溜めているところ。一般的に台湾の個室風呂にはデッキブラシかタワシが用意されており、お湯を溜める前に自分でゴシゴシ槽内を洗うのが流儀ですが、なぜかこちらのお風呂には清掃用具が無かったので、仕方なく桶で万遍なく槽内にお湯をかけて汚れをササっと流してから、お湯を溜めることにしました。
バルブを開くとお湯が勢いよく吐水され、ものの数分で十分な嵩まで溜まってくれました。お湯のバルブから出てくる源泉はそれほど熱くないので、熱いお湯に耐性のある人だったら加水無しで、普通の方でも若干加水すれば丁度良い湯加減で入れるかと思います。お湯は若干黄色みがかったような透明で典型的な青磺泉、匂いはあまりないものの湯面で鼻をクンクン鳴らせば酸っぱい匂いが嗅ぎとれます。匂いは弱くてもさすがに暴力的な泉質である青磺泉、ちょっと嘗めるだけでもえげつないほど超強烈な酸味と塩味によって、口腔内はたちまち収斂、大パニックに陥ります。そしてお湯に身を沈めると、虫さされ跡や傷口など皮膚が弱いところにピリピリとした刺激が走ります。お肌が繊細な人でしたらかなり荒れちゃうかもしれませんね。でもこの凶暴さこそ北投温泉・青磺泉の特徴ですから、個性の強いお湯を楽しみたい方にはもってこい。強酸性のお湯ならではのヌルヌルやツルツルなどの浴感も得られます。日本ですと秋田の玉川・山形蔵王・上州の草津などへ行かないと入浴できない強酸性のお湯を、台北では都市近郊で手軽に楽しめるのですから、台湾という土地は本当にうらやましい限りです。悔いが残らないよう、制限時間いっぱいまでこのお湯を堪能させていただきました。
本音を言うと、湯上がりにベタつきや刺激が残ることがあるので、上がり湯をかけたかったのですが、こちらにはそのような設備がないため、温泉の濃厚な成分を付着させたまんま、虫さされ跡にヒリヒリとした若干の違和感を覚えつつ、松山空港へと向かったのでありました。


捷運(MRT)新北投駅より徒歩10分弱(約700m)
台北市北投区中山路28-6号  地図
(02)28976538

9:00~24:00
個人池130元/40分
ドライヤーあり、シャンプーや石鹸は使えない(中和しちゃう)

私の好み:★★★
コメント (4)
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行義路温泉 紗帽谷温泉餐庁 (台湾北部・北投)

2012年05月15日 | 台湾
(2017年3月補記)※こちらの施設は、2016年の春頃に一旦閉業したようですが、隣接する「皇池」によって(買収した?)、「皇池3館」として営業を再開しています。

 
とある日曜日の黄昏時、台北の天母でコーヒーを飲んでいたら、近くにある行義路(紗帽山)温泉へ夕食を兼ねて行ってみようと急に思い立ち、とりあえず路線バスに乗って行義路三のバス停で下車してみました。バス通りの東側に広がる谷には何軒もの温泉浴場付きレストランが営業しており、どこに行こうか迷ってしまいますが…


 
今回はその中の一つである「紗帽谷温泉餐庁」へ入ってみることにしました。


 
電飾の階段を下りて谷底へと向かいます。下りきると大規模なレストランへと導かれますが、建物のつくりから察するに、どうやら裏口から入っちゃったみたい。店内は大きな丸いテーブルばかりがずらりと並んでおり、日曜日の夜だからか7~8割方のテーブルはグループ客によって埋まっているという大盛況。1人で訪れた私は思いっきり場違いな客だったようですが、ホールの兄ちゃんにどこへ座ったら良いか尋ねたところ、ステージや生簀などが傍にある妙に目立つ席へと案内されました。


 
席に座ってメニューを見てから、さっきの兄ちゃんにオーダーを伝えたところ、兄ちゃんはその内容を伝票に書き、すぐにその伝票を私に返して「まず帳場で料金を払ってくれ」とのこと。なるほどここは料金先払いなんですね。帳場にて支払いを済ませると、支払済のスタンプが捺された伝票とともに入浴券が手渡されました。行義路(紗帽山)温泉の各温泉レストランでは一定以上金額(大抵は400元以上)の料理を注文すると入浴券がオマケでもらえるというシステムをとっていますが、こちらも同様です。ひとりで400元の食事をするのはけっこうな贅沢ですが、こういうレストランは単価が高いので、2品プラス飲み物を選べば簡単に400元を超えてしまいます。今回は空心菜のスパイシー炒めと茹で豚のガーリックソース掛け、そしてコーラを注文しました。料理は文句なしに美味い!


 
目の前のステージでは、アマチュアに毛をはやしたような若い男性が一人でキーボード弾き語り、テーブルの横にある生簀ではブクブクとポンプの音が絶え間なく響いて魚も飛び跳ねるという、なかなか騒々しい賑やかな店内で美味しく食事をいただきました。


 
さて食後にお風呂へと向かいましょう。こちらが正面玄関。やはり私が先程入ってきたのは裏口なんですね。付近には足湯らしき設備を見つけましたが、現在は使われていないようです。



温泉浴場は道路を挟んだ向かい側。回転バー式の入口ゲートをグルンと回して中へ入ると、受付ではおばさんがアンニュイな面持ちを浮かべながら座っていました。活気あふれるレストランとは見事なまでに対照的な雰囲気。受付の前ですぐに男女が分かれており、男湯は左側、女湯は右側です。


 
内部はとても混雑していたため写真撮影しませんでした。そのかわりレストラン内にあった看板の画像を映しましたので、これでご勘弁を。日曜の夜ですから混雑していて当然なのかもしれませんが、ザッと見回しただけでも30人近いお客さんが露天風呂を利用していました。こちらの露天風呂はいわゆる日式であり、全裸で入浴するのですが、台湾でこれほど混雑してしまうほど日本式の全裸入浴が市民権を得ていることに、温泉を愛する日本人として感慨ひとしおだったとともに、30人もの台湾人が全裸でうろうろしている光景が何とも不思議でたまりませんでした。

撮影できなかったので文章で場内の様子を簡単に説明しますと、まず男湯の暖簾を潜ってすぐに下足場です。下足エリアと裸足(入浴)エリアがフラットになっているため足元がドロドロ&ビショビショな状態になってしまっているのは、台湾ではよく見られる光景なのでこれは致し方ないところ。下足場から反時計回りに見た場合、隣に位置するのがロッカー&更衣スペース。ロッカーがコの字形に配置されているため、利用客同士で干渉してしまい、更衣できるスペースが空くのを待つお客さんが発生していました。
ロッカー&更衣スペースの隣はシャワーブース。シャワー付き混合栓が9基設置されており、シャンプーやボディーソープが使えるのは嬉しいところ。シャワーブースから若干間をあけてマッサージ&アカスリ室の小屋が並び、その隣にはジャクジーの温浴槽(真湯)、デッキチェアーが用意された休憩スペース、ベンチが置かれた休憩小屋と続きます。この休憩小屋が一番奥にあたり、そこから手前側へ折り返して、ドライサウナ、スチームバス、温泉打たせ湯、副浴槽、水風呂、そして主浴槽と並んで、これでようやく一周です。よりどりみどり、いろんなお風呂が楽しめるわけでして、人気を集めるのも頷けますね。しかも全体的に木々の緑で覆われており、まるで庭園の中にいるかのような落ち着ける環境であることも、人気を集めるファクターのひとつかもしれません。

主浴槽は形状が楕円形、約15人サイズで40℃くらいの温泉が張られています。一方、副浴槽はまん丸い形状で約10人サイズ、頭上には緑と黄色が縞になったネットが張られており、湯加減はここのお風呂の中で最も熱い43℃程です。打たせ湯は台湾お馴染みの強力タイプで、生半可な気持ちで打たせようものなら体がバラバラになりそうなほどの勢いでお湯が噴射されています。ゴツい岩によって3人分にセパレートされているのですが、その岩の内側は温泉成分に依るのかベージュに着色しており、思わず目が惹かれました。なおこの打たせ湯槽のみならず、主副各浴槽も槽内はベージュ色に染まっています。
この打たせ湯を含め、主浴槽や副浴槽など温泉が張られている各浴槽は他施設より一段高くなっており、周囲の植栽の緑と相まって、この温泉エリアはガーデンテラスのような雰囲気を漂わせていました。なお各浴槽とも槽内で注湯と排湯が行われており、オーバーフローは見られず、どのような湯使いになっているかは不明。



レストランの帳場に置かれた天然温泉の証。
露天風呂入口に貼ってあった説明には青磺泉と白磺泉を使用していると書かれていたのですが、これって青磺泉と白磺泉を混合させているということなのでしょうか(よくわかりません)。実際に温泉浴槽で引かれているお湯は、青白く強く濁っており、訪問時は夜だったためか底まで光が届かず、混雑したお風呂では気を付けないと他人の脚を踏んづけてしまいそうでした。お湯からははっきりとしたやや刺激のある硫黄臭が漂っており、湯上り後もしばらくは全身から硫黄の匂いがプンプンしていたほどです。白濁の硫黄泉ですが酸味は意外にも弱く、その代わりにほんのりとした苦みと明瞭な石膏味を有し、泥湯にも似た粉っぽいサラサラ浴感が楽しめました。なお温泉槽のお湯は各槽とも同じお湯が引かれていました。

緑に囲まれた環境の中、裸で露天風呂に入浴でき、しかもいろんなお風呂が楽しめる、なかなか魅力的な温泉施設でした。多くのお客さんで賑わっているのも頷けます。ただ使い勝手が良いわけでも清潔感が保たれているわけでもないので、万人が満足できるかどうかは微妙かもしれません(特に神経質な日本人でしたら評価は分かれるかも)。尤も私は最混雑時間帯に利用してしまったためマイナス面が目についてしまったのですが、そうしたタイミングを避ければ気持ち良く湯あみできるのではないかと思います。ついでに言えば、場内では屈強な体つきな男性客が他のお客さんに対して目を光らせていました。もしかして、ここってハッ●ン場なの? おぉ怖い…。


●余談 源泉地帯を散策
 
湯上りに体をクールダウンさせるべく、行義路(紗帽山)温泉の源泉地帯を簡単に散策してみました。当温泉地では小さな川の対岸の山肌にある地獄谷のような噴気帯の源泉地から温泉を引いて利用していますが、数年前まではいくつもの温泉配管が無秩序に伸びて景観を台無しにしていました。この配管類や地盤を民国98年(2009年)に行政側が整備し、源泉が湧出している様子を観察できる160メートルの木道を設けて、景観の回復に努めています。

 
参考までに、工事がはじまる直前(3年前)に私が撮った当地の画像をご覧ください。安物のデジカメで望遠したため鮮明な画像ではなくて申し訳ないのですが、あたかも体内に大量発生した寄生虫のように、山肌に何本もの配管が無秩序に這っており、これによって景観が損なわれるばかりでなく、山肌崩落などの危険性も高まってしまいます。従ってここの整備は急務だったわけですね。


 
噴気帯の荒々しい岩肌に沿って伸びる歩道。


 
露出した岩肌のあちこちで湯煙を上げながら温泉が湧出しています。源泉溜りからはホースが伸び、温泉地内の各施設へと引湯されています。



歩道の途中で温泉街を展望。どの施設も多くのお客さんで賑わっているようでした。温泉はすっかり台湾人の生活に溶け込んでいるんですね。
自治体が立てた説明プレートによれば、この一帯の温泉は磺渓嶺温泉と称するみたいです。行義路温泉、紗帽山温泉、そして磺渓嶺温泉…。どれが本当の温泉名なのかな。景観整備の次は、名称の整理・統一をお願いしたいところです。


65℃ pH5.9 総溶解固体量281mg

捷運(MRT)・石牌駅から508・535・536系統の路線バスで「行義路3」下車、徒歩2~3分
台北市北投区行義路300巷底  地図
(02)28626199
ホームページ

24時間営業・年中無休
400元以上の食事で入浴料無料
(入浴のみの利用も可能)
ロッカー(有料・10元×2枚)、シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★

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北投温泉 水舎銀光 (台湾北部・北投)

2012年05月14日 | 台湾

台北の北投温泉でゆっくりくつろぎたかった某日、捷運の新北投駅から温泉街の公園を歩いて通り抜け、台北善光寺の参道に当たる銀光巷へと向かいました。銀光巷の入口には温泉街各宿泊施設の道標と並んで、古めかしい石碑が立っているのですが…


 
碑文の表面には「消除三垢冥 廣濟衆厄難」と彫られています。これは無量寿経というお経のなかの「四誓偈」という一節にあるもので、三垢(貪欲・瞋恚(しんい、憎悪感情のこと)・愚痴)の闇を消し去って広く遍く厄難を救済する、という意味になるでしょうか。裏面には「昭和十年十月仏縁日完成 誓圓山法王院台湾善光寺」とありますから、信州長野の善光寺さんによって台北に善光寺が建立された3年後にこの碑が立てられたことになります。なお「昭和十年」あたりの文字は光復後にコンクリで埋められていましたが、年月とともに風化して文字が再び現れるようになったみたいです。


 
銀光巷のダラダラ坂を上ってゆくと、やがて左手に「亜太温泉生活館」が目に入ってきます。こちらは料金こそちょっと高めながら、ゆっくり寛いで温泉入浴が楽しめると日本人にも評判だったので、この日はここを目的地にしていたのですが、入口ゲートは閉鎖され、建物は廃墟のような無残な姿を晒していました。台湾では開業したと思ったら数年で廃業しちゃう施設が結構ありますから、この状況を目にしても別段驚くこともありませんが、後程ネットで調べたところ、この「亜太温泉生活館」は2012年末まで休業中であり、それ以降にリニューアルオープンするんだそうです。スケジュール立案がルーズな台湾のことですし、実際の現地の様子を見ても前向きな工事が行われているような感じが伝わってきませんでしたから、2013年に再開してくれるかは微妙でしょうね。



「亜太温泉生活館」の向かいにはかなり新しい「水舎銀光」という施設を発見。日帰り入浴は果たして可能なのか? 可能だとしても料金はいくらか? 何もわからないまま飛び込んでみることに。


 
アプローチの途中にある踊り場には綺麗な蘭が飾られていました。


 
南国リゾートとシノワズリをミックスさせたような小洒落た雰囲気。温泉施設というより山の中の個人所有別荘へお邪魔したかのようです。画像を見ただけでは、あたかも民家のようであり、温泉宿泊施設には見えませんよね。



1階の受付には誰もいなかったので、2階へ上がってみることに。


 
ラグジュアリ感が漂う館内。奥の方のバーカウンターに男性スタッフがいたので「入浴は可能?」と訊いたところ、彼は引出しの中から日本語メニューを取り出して、「大衆湯」と書かれたところを指さします。そこには$500というかなりエクスペンシヴな金額が記されており、一瞬たじろいでしまいましたが、お風呂への好奇心には勝てず、気付けば自分の手が勝手に100元紙幣5枚をカウンターの上に置いていました。


 
支払いを済ませると、いつの間にどこからやってきたのか、別の男性スタッフがカギを手にしながらお風呂の方へと案内してくれました。鬱蒼とした木々に囲まれた緑豊かな環境です。大規模な建物があるのではなく、小さな棟がいくつも分散して、それぞれが緑の中に身を潜めているかのような佇まいでした。



なお個室風呂もありますが、一人で利用するには料金が高すぎるので今回はパス(大衆湯の3倍以上するんですもの…)


 
スタッフは斜面を登って何も書かれていない木の扉の前に立ち、その扉を開錠して私を中へ案内します。扉の向こうにはパウダールーム、そしてその奥に白いお湯が張られた露天風呂が目に入ってきました。なるほど、ここが露天風呂か。でも誰かに案内されないと存在に気付かない上、未使用時は施錠されているんですね。木々に隠れるような建物といい、このお風呂のつくりといい、隠れ家的な雰囲気を大切にするのがこちらの施設のコンセプトのようです。



案内してくれたスタッフはロッカーキーを私に手渡し、扉を閉めてその場を去ってゆきました。ロッカー内にはタオルとミネラルウォーターが入っています。こちらの露天風呂は裸で入浴するいわゆる日式なので、心置きなくスッポンポンになりました。


 
パウダールーム内の様子。アメニティが一通り揃っています。室内は木目や石材など自然素材の質感を活かし、また間接照明を多用することによって、シックで落ち着いた大人の空間が作り出されていました。なおロッカーも鏡台も、用意されている数は少なく、全体的なスペースも少々狭いのですが、おそらく少人数での利用を前提にしているのではないかと思われます。寛ぎを重視するなら、少人数の方がいいですもんね。


 
浴槽はひとつ。水風呂やサウナ、そして台湾の温泉ではおなじみの打たせ湯など、諸々のお楽しみ設備はありません。ただこの湯船に浸かって温泉と向き合うのみです。
露天風呂ですが全体を半透明のテントで覆われています。日本でしたらこのテントを取っ払いたいところですが、頭上には木々の梢がせり出しており、また南国の太陽もカンカンに照りつけているため、落ち葉や日光を遮る意味で非常に大切なのであります。



洗い場にはシャワー付き混合栓が3基。


 

平らな岩を摘んだ湯口から白濁した源泉が落とされるお風呂。北投温泉には大きく分けて青磺泉、白磺泉、鐵磺泉の3種類の源泉が存在していますが、こちらに引かれているお湯は白磺泉です。わずかに緑色を帯びているようにも見える灰白色の強濁湯は透明度約20cm、湯面からはっきりとした硫黄臭が漂い、弱い酸味(収斂)と砂消しゴムのような硫黄的知覚が感じられ、泥湯を思わせるような粉っぽい(あるいは泥っぽい)浴感も相俟って、お湯の持つ硫黄らしさがより濃く体に伝わってきます。温度計には41.8℃と表示されていましたが、実際にはそれより0.5~1℃ほど低かったように思います。お湯は浴槽からオーバーフローすることなく、槽内側面の穴から排湯されており、湯使いの程はよくわかりませんが、お湯の濃さや近くの強さから推測するに、放流式かそれに近い状態ではないかと思われます。



お湯に飽きたらデッキチェアーに寝転び、バスタオルを肌掛け代わりにして、小鳥の囀りを耳にしながらひと眠り。木々を抜けて葉を揺らす微風がやさしく体の上を吹き抜けてゆきます。台湾の温泉施設にありがちなスピーカーから音楽が流されることもなく、温泉街からかなり外れた立地ゆえ、非常に静かで環境の中でゆっくりのんびり寛ぐことができました。とりわけこの日は私以外にお客さんが来なかったので、利用中は露天風呂を一人で独占、とっても優雅な時間が過ごせました。お風呂はバラエティさに欠け、しかも料金設定も高いのですが、裸で露天に入れ、お湯の質はまずまずですし、綺麗でおしゃれで緑が溢れる隠れ家的なつくりがとっても良い雰囲気ですから、ラグジュアリ感を楽しみたい方や女性の方にはおすすめです。


捷運(MRT)新北投駅より徒歩20分(1.5km)
台北市北投区温泉路銀光巷22号  地図
(02)28928288
ホームページ

入浴受付時間不明
大衆湯(露天風呂・裸で入浴)500元
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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埔里箱根温泉生活館 (台湾中部)

2012年05月12日 | 台湾

埔里と霧社を結ぶ幹線道路のちょうど中間に位置する獅子頭という集落付近に、誰しもを虜にしてしまう魅惑のアワアワな温泉があると聞き、その手の温泉が大好きな私は行ってみることにしました。当地では10年ほど前に温泉開発が行われた結果、見事源泉を掘り当てることに成功したんだそうです。つまり比較的新しい温泉なのですね。



今回訪れたのは「埔里箱根温泉生活館」。箱根とは全然縁もゆかりもない土地ですが、温泉開発に当たって日本の資本が入っていること、また台湾では日本の固有名詞のイメージが良いこと、などの理由によって日本の有名温泉地である箱根の名前が使われているのかと思われます。
こちらの施設はどういう訳か、平日の日帰り入浴受付は17時以降となっているため、訪問の際には時間に要注意。


 
敷地内には宿泊棟などいくつかの建物がありますが、日帰り入浴でまず訪うことになるのは、SPAの受付棟や更衣室などがあるこの建物です。カウンターには天然温泉の認証札が誇らしげに置かれていました。
受付で入浴したい旨を申し出て料金を支払うと、レンタルのフェイスタオルと使い捨ての(薄手のビニール製)シャワーキャップが手渡されます。私が日本人だとわかると、受付のおばちゃんは「裸で入浴したいのか?」という意味で「Strip?」と訊いてきました。まさかこの単語をお風呂やプールなどの施設で耳にするとは思わず、ちょっとたじろいでしまいましたが、なるほど、確かにストリップには違いありませんね。
受付棟を出てすぐのところにある下足場でスリッパに履き替えます。受付に隣接して更衣室がありますが、こちらは水着着用ゾーンを利用する人のためのもの。裸入浴のみでしたら、ここはパスします。



露天SPA区は全面的に水着着用ゾーン。非常に良く整備されており綺麗なのですが、平日だからか誰も利用していません。監視員のお兄ちゃんがとても退屈そうでした。


 
こちらは同じく露天SPA区(水着着用ゾーン)にある温泉池。今回はここもパス。


 
私のお目当ては露天SPA区の奥の方にある建物です。ここは裸湯区、いわゆる内湯でして全裸で入浴できるのです。中に入ろうとすると係員のお兄ちゃんが丁寧に利用方法について説明してくれたのですが、不可解だったのが、全裸で入浴するにもかかわらず、水泳帽かシャワーキャップの着用が求められること。台湾のSPAでは水泳帽を被ることが一般的なマナーですが、まさか日式の全裸入浴にもその習慣が持ち込まれるとは! 文化の違いとはいえ、不合理なこのルールだけはかなりイライラしました(全身すっぽんぽんなのに、帽子だけをかぶっているのは、なかなか間抜けな恰好なんですよね)。

建物内はログハウス調で木材のぬくもりがそこかしこから伝わってくる良い雰囲気です。そればかりではなく、台湾の温泉では珍しいことに、下足場、脱衣所、入浴エリアがそれぞれ画然と分かれており、足元がビショビショ・ドロドロになることもなく、とても清潔な状態が保たれていました。またそれぞれが広くて使い勝手が良好なのもうれしいところです。

入浴エリアには奥から、中温の大きな主浴槽、源泉槽、水風呂、サウナ、シャワーの順に配置されています。主浴槽は38℃くらいの温度設定なのでゆっくり長湯ができ、また強力な打たせ湯も3~4本設置されているので、副交感神経と交感神経の両方をひとつの浴槽で働かせられる面白い浴槽でした。また室内の約半分(男湯の場合は左半分)はデッキチェアーなどが置かれてのんびり寛げる空間になっていました。



こちらのお風呂で素晴らしいのがこの源泉槽。壁に「原湯原味」と書かれているように、源泉がそのまま注がれているそうでして、浴槽の温度は42~3℃と台湾にしてはやや熱め。放流式の湯使いなのか、ステップに穿たれた切り欠けからオーバーフローしています。無色澄明で清らかなこのお湯からは、弱いタマゴ的知覚とともに重曹味が感じられ、とても柔らかい質感が伝わってきます。何よりもブリリアントなのが体に付着する夥しい気泡でして、お湯に体を沈めて1分もしないうちに(30秒ほどで)全身の(うぶ毛を含む)体毛は泡だらになってしまいました。拭っても拭ってもまとわりついてくる気泡には思わず大興奮。しかも重曹の働きによりスベスベ浴感とともに湯上りの爽快感がすばらしく、湯船から出ようと思っても、体が言うことを聞かずにお湯の中から出ようとしないほど、かなり後を引く気持ち良さでした。これで無意味な帽子着用さえ無ければ最高なのに…。埔里の街から比較的近く、バスの便も比較的便利なので、帽子なんて気にならないという方は、埔里へ訪れた時に立ち寄ってみることをお勧めします。


碳酸氢钠泉(Na-炭酸水素塩泉) 48.1℃ pH8.2 溶存物質395mg? 
HCO3-:379mg 

埔里から南投客運バスで霧社方面へ行くバスに乗車、獅子頭バス停下車、徒歩2分
南投県埔里鎮中山路一段62号  地図(049)2920899
ホームページ(繁体字中文・音楽が流れます)

SPA利用可能時間
平日17:00~22:00
土日8:30~22:00
300元
ロッカー(有料10元)・シャンプー類・ドライヤーあり
裸で入浴するエリアでも水泳帽(またはシャワーキャップ)の着用必要

私の好み:★★★

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