温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

北港渓温泉 北港渓八沙渡假村 (台湾中部)

2012年05月11日 | 台湾
北港渓温泉「北港渓八沙渡假村」は埔里の北方に位置している冷鉱泉が自慢のリゾート施設。ゲストハウスプリのオーナーさんがお気に入りだということで連れて行っていただきました。夕食を食べてから、埔里の街を車で出発してひたすら北上、道の両側にブドウ畑が広がる農村を通り過ぎ、夜は街灯も何もなければ人家から漏れる明かりも全くない真っ暗闇な山奥のワインディングを走り抜けてゆき、ちょっとした峠を越えた向こうの谷を流れる北港渓という川のほとりを目指します。こんなところに本当にSPAや宿泊施設なんてあるのかと不安になる程、真っ暗な田舎の真ん中に、ポツンと照明の光が輝いていました。敷地内には受付や食堂棟の他、戸建のロッジが沢山建ち並んでおり、SPAは敷地の奥方です。なお建物群の画像は撮っておりませんのであしからず。


 
SPAエリアの一番奥にシャワールーム兼更衣室があるので、そこで水着&水泳帽に着替えます。シャワーから出てくるお湯はタマゴ的な知覚(味・匂い)がはっきり感じられ、強いツルスベ感も有していました。
まずはこちらの目玉である鉱泉プールへ。プールサイドでは監視員のおじちゃんがしっかり見守ってくれています。辺りは淡い照明に照らされ、とっても良い雰囲気でした。
温度は25℃くらいでしょうか。ちょっとひんやりしますが、慣れてくるとたまらなく爽快。体も軽くなって、いつの間にか平泳ぎしていました。プールには「天然冷泉」と記されたパイプが突き出ており、そこから鉱泉の源泉がチョロチョロと注がれています。無色透明で微かにタマゴっぽい知覚が感じられます。さすがにプールでは源泉100%というわけにはいかないのかもしれませんが、パイプから落とされている鉱泉はおそらくシャワーと同じ源泉なのでしょうね。



鉱泉プールの温度は、夏季が23~28℃、冬季が18~22℃なんだそうです。


 
こちらは温浴ゾーン。屋根の下にいくつかの槽が据え付けられています。奥へ行くほど温度が上がる設定のようです。一応各浴槽とも縁からオーバーフローしていましたが、源泉投入の上での半循環ではないかと思います。温浴槽のお湯からは特にこれといった知覚的特徴は感じられませんでした。


 
画像左は全方向から「攻撃」されるシャワー的打たせ湯。画像右は一番奥のジャクジー槽で、42~3℃という熱いお湯が好きな日本人にはもってこいなお風呂です。鉱泉プールに入り続けて冷えた体を熱いお湯で温め、再び冷鉱泉へ・・・、という冷温を繰り返す入浴がとっても爽快。



 
SPAエリアから敷地入口まで、「夜中長城」と称する空中回廊を歩いてみました。夜はこのようなイルミネーションの中を歩くことができましたが、日中は北港渓の向こうに美しい稜線が広がる風光明媚な景色を眺望できるんだそうです。日中と夜間、それぞれ異なった情景が楽しめるわけですね。とても静かで空気もおいしい自然豊かな環境で、冷鉱泉浴と温浴の両方をノビノビと楽しめる、寛ぎと癒しのリゾート施設でした。


南投県国姓里北港村北原路34-1号  地図
(049)2461776
ホームページ

平日16:00~22:00
土休10:00~22:00
300元
ロッカー(10元)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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廬山温泉 温泉頭にある秘密のお風呂 (台湾中部)

2012年05月09日 | 台湾

「観月山荘」のヌルヌル白濁に歓喜した後、谷底の温泉街へ戻って廬山温泉の温泉頭へと向かうことにしました。温泉頭とは源泉地帯のこと。廬山温泉の旅館・ホテルはその多くが源泉地帯から引湯しているんだそうです。温泉街の施設で入浴しても良いのですが、どうせなら源泉で湧きたてのお湯に入りたいものですよね。ということで、源泉へ行ってみることにしたわけです。廬山温泉は日本時代に「富士温泉」と呼ばれていたそうでして、温泉街には当時のものと思われる建物が残っていました(復元したものかも)。


 
温泉頭は温泉街から川の上流へ向かってトレイルを数百メートル歩いた奥の方にあります。ここは温泉頭へと向かう歩道の入口。店を閉じちゃったのか、あるいはたまたま休業なのか、道沿いの商店は悉くシャッターを下ろしています。88水害以降、廬山温泉は客足がすっかり衰えてしまい、復旧工事が一通り終わって安全な状態へ戻っているにもかかわらず、「廬山温泉は災害に遭いやすい危険なところだ」という固定概念が台湾人の記憶にこびりついてしまい、いまだ客数が戻っていないんだそうです。この商店街はそうした惨状を体現しているかのようで、斜陽館たっぷりでした。また、廃業した宿の前では剥き出しのパイプから熱湯がボコボコ湧いていました。あぁ、もったいない…。


 
塔羅湾渓の断崖絶壁に設けられた歩道。崖をうまい具合にトラバースする感じで削られており、勾配はほとんど無く、とても歩き易いトレイルです。手摺りには引湯のホースがたくさん這わせてありました。



岩肌からお湯が染み出していました。


 
遠方に目的地である温泉頭の小屋が見えてきました。バラック然としており廃墟みたいですが、ちゃんと営業しているんですよ。



(全景は撮っていませんが)歩道途中には温泉卵を売るお茶屋さんがあり、その店の主人であるお爺ちゃんはダナさんのお知り合いで日本語も話せます。ということで、ちょっとお邪魔して、お茶とともに売り物であるはずの温泉卵を無料でいただきながら、30分ほどお喋りしました。この日の私は現地の方々の厚意に甘えっぱなしです。本当にありがとうございました。
なおお店には足湯があり、↑画像はその浴槽です。お湯は溜められていませんでしたが、パイプからドバドバ温泉が吐き出されていました。



温泉頭の小屋の100メートル程手前、歩道右手に細い滝が落ちていました。ダナさん曰く、この滝の左手(上流側)の岩盤に源泉が集中しており、右手ではほとんど湧いていないとのこと。つまりこの小さな滝より上流側が温泉頭というわけですね。


  
周囲には源泉を囲う枡が設置され、そこから温泉街まで引湯するためのホースが無秩序に伸びていました。



谷底から伸びる橋脚みたいな構造物も源泉井のひとつ。源泉から歩道の位置まで上げる引湯ホースをガッチリ保護する、櫓代わりの物なのでしょう。何が何でも源泉を確保したいという設置者の執念が伝わってきます。


 
さて歩道の突き当たりの小屋に到着です。湧きたての熱々源泉で温泉卵をつくれることが、この小屋の「売り」なんでしょうね。


 
小屋の内部は食堂兼カラオケ屋みたいな感じ。足湯や個室風呂では温泉頭から湧いた新鮮な源泉を楽しめるわけですが…。

でも、ここには秘密のお風呂があるのです。私が入浴を乞うと、店のおばちゃんは「シタ!、シタ!」と言いながら、店の下の方へ行けと指示します。店の入口の方へ戻ると、おばちゃんはおもむろに壁に取り付けられているスイッチを操作し、あたかもアラビアンナイトのアリババが「開けゴマ」と呪文を唱えたかのように、いままで下りきっていた電動シャッターが上がりはじめました。


 
シャッターの先には廃墟と化した浴室の残骸が広がっていました。温泉卵をつくる槽の跡も残っていましたが、ここは一体何なんだろうと戸惑っていると、おばちゃんは更に「シタ! シタ!」と連呼。あたりを見回せば、たしかにもっと下へ下る階段があるので、おばちゃんの指示通りに下りてゆくことに。


 
階段を下りきったところに待っていたのは…
おおお!! 温泉のお風呂だぞ!
大小の二つの浴槽があり、その周りをボロボロに朽ちた木のスノコが囲っています。


 
塩ビの湯口からは激熱の源泉が注がれているのですが、その周囲には自然の造形美とでもいうべき、もの凄い石灰ドームが形成されているのです! 北海道の二股ラジウム温泉や青森県の古遠部温泉、あるいはハンガリーのエゲルサロークやトルコのパムッカレを髣髴とさせる石灰棚が、台湾の地にもあったんですね。私は勝手に台湾のパムッカレと呼ばせていただくことにしました。 
ちなみに石灰棚に置かれている絵は台湾原住民のひとつであるアミ族を描いたものらしいです。



湯口から出てくるお湯は57.0℃という高温。完全掛け流しのお湯なので、浴槽はかなり熱いのですが、かき混ぜれば全く問題なく、むしろとっても気持ち良い湯加減。ほぼ無色透明で、しっかりとしたスベスベ感を有し、石灰らしい知覚も感じられます。


 
錆びて朽ちたまんまの鉄骨越しに塔羅湾渓を展望。吹きっ晒しなので実質的に露天風呂みたいなもんです。
当然ながらこの秘密の温泉も「ゲストハウスプリ」のオーナーさんに教えていただきました。
台湾の温泉って本当に奥深いんですね。


所在地:南投県仁愛郷精英村の廬山温泉の一番奥にある温泉頭
入浴可能時間など不明

私の好み:★★★
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廬山温泉 観月山荘 (台湾中部)

2012年05月08日 | 台湾
塔羅湾渓の河原に湧く野渓温泉「精英温泉」を満喫し、現地を案内してくださったセデック族のダナさんのご自宅でお昼ご飯までいただいた後は、路線バスが発着する廬山温泉の温泉街まで車で送ってくださるとのことですので、ご厚意の甘えてダナさんの軽トラに乗って往路のバスが登ってきた羊腸の狭隘路を下っていったのですが、車は谷底にある廬山温泉の温泉街を通り過ぎ、川を渡って対岸の山肌を登りはじめました。あれれ、どこへ向かっているのかしら。勝手のわからない私は助手席に座りながらそんな不安を抱いていると、軽トラはやがて一軒の民宿の駐車場に止まりました。

 
ここはどうやら「観月山荘」という民宿のようです。温泉街から急な山道を登ったところにあり、廬山温泉の一部であるものの、温泉街から若干離れた山の中にあるため、独立した一軒宿のような雰囲気すら感じられました。なかなか立派な客舎です。



温泉街を見下ろす高台に位置しており、駐車場からは温泉街や周囲の山々を一望できるのですが、敷地の一番奥には怪しげなコンクリ製の設備があり、そこからシューシューと音を立てて湯気が上がっています。ありゃ何だ!?


 
「ありゃ何だ!?」なんてわざとらしい表現でしたね。もちろんこれは温泉の源泉井であります。廬山温泉の旅館は川の上流にある温泉頭(源泉地帯)からホースで引湯しているそうですが、なんとこちらの民宿は自家源泉を所有しているのです。



源泉といっても中途半端なものじゃありませんよ。設備からは絶え間なく蒸気が噴き出され、煮え滾ったお湯がボコボコ漲っています。配管に取り付けられた温度計は73℃を指し示していました。


 
こんな源泉を見ちゃったからには、そのお湯に入ってみたくなるのが温泉ファンの心情。そんな私の心を読み取ったダナさんは、建物の裏手へと手招きします。招かれるままに行ってみると、なんとそこには露天風呂がありました。本当に裏庭みたいな目立たない場所にあるので、あらかじめ存在を知らないままここを訪れても、このお風呂には気付かないかもしれません。
更に奥にはシャワー室(兼更衣室)があるので、さっそく水着に着替えて入浴です。

浴槽には白濁したお湯が溜められており、塩ビのパイプからドバドバと源泉が供給されていました。白濁しているものの、いわゆる硫黄泉的な濁り方ではなく、いかにも炭酸カルシウムがたっぷり含まれていそうな感じの青白い濁りであり、若干砂消しゴムのような硫黄臭を帯びているものの、石灰的な知覚が圧倒的でした。カルシウム分が強い温泉は大抵引っかかる感じの浴感に傾く傾向にありますが、こちらの温泉はまるでローションの中に浸かっているかのような強いヌルヌル感が印象的で、白濁且つウナギ湯という感動的なコンビネーションのお湯に、私はしばし恍惚としてしまいました。



足湯をして寛ぐダナさん。この温泉も自分一人で廬山に来ていたならば、絶対に知らなかったでしょう。氏のご親切には頭が上がりません。



なお浴槽(プール)はもうひとつのありましたが、そちらは空っぽでした。

今回は露天の温泉プールのみの利用でしたが、ホームページを見る限りでは、館内はウッディな雰囲気に包まれており、客室には展望風呂も設けられているんだそうです。温泉街からちょっと離れた静かな環境で、独自源泉の温泉に入れるんですから、今度廬山へ来た時には宿泊してゆっくり過ごしてみたいものです。台湾には魅力的な温泉がたくさんあり、誘惑だらけで困ってしまいますね。


南投県仁愛郷精英村栄華巷152号  地図
049-2803206
ホームページ

利用可能時間や料金などは不明(今回はダナさんにすべてお任せしたため)

私の好み:★★★
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精英温泉(塔羅湾渓の河原に湧く野渓温泉) (台湾中部)

2012年05月06日 | 台湾
台湾で最も高い所に位置している温泉地は南投県の廬山温泉なんだそうですが、実際にはそれよりも高い場所で湧く温泉が何ヶ所かあり、廬山温泉から川を数キロ遡った河原には、その中のひとつである「精英温泉」という野湯が存在しています。旅行前にその情報を仕入れた私は、予めゲストハウスプリのオーナーさんに相談したところ、オーナーさんがわざわざ現地へ行って状況を調査してくださいました。その結果、地図で見る限りでは廬山温泉からあまり離れていないように見えるものの、実際には相当の距離があり、しかも集落がある山の上から野湯がある谷底に向かってものすごい標高差を往復しないといけないから、路線バスと徒歩によるアクセスはかなり難しい、とのことでした。そこでオーナーさんが温泉最寄りの集落に住む原住民の方に連絡してくださり、私はその原住民の方にガイドをお願いすることとなりました。



まずは埔里バスターミナルから8:15発の廬山行路線バスに乗車。廬山温泉へ行くバスなら1~2時間おきに運転されているのですが、温泉地から更に奥の廬山地区へ行くバスは一日4往復しかありません。



廬山温泉までの道は険しいワインディングながらも片側一車線が確保されているため、大型バスでも難なく通行できますが、温泉地を過ぎると道は俄然離合困難な狭隘路となり、途中バックして対向車をかわしながら、8:50に廬山バス停へ到着しました。


 
ここはセデック(賽克)族が暮らす集落です。バス停付近の小屋の壁には「生食はやめ、手をよく洗い、健康を維持しましょう」という標語が付された絵が描かれていました。


 
まずは今回精英温泉へ案内してくださるセデック族のダナ(達那)さんのお宅へ伺います。画像右がダナさん、左のデブおやじが私。ダナさんは簡単な日本語の単語ならわかるそうで、「上等でしょ」というフレーズを頻繁に口にしていました。なぜ日本語がわかるのかについては後述にて。


 
お宅のテラスからは、峻険な山稜が重畳する壮大な眺望が広がっていました。こんな絶景のテラスがあるお家って羨ましいですね。対岸の山にはダナさんの茶畑があるんだそうです。なお谷の一番底がこれから目指す温泉のある河原。この日はカンカン照りの暑い日でしたから、谷底まで歩いていったら干からびちゃうかも。


 
ダナさんの4WDの軽トラに乗って出発。茶畑が広がる山腹をひたすら下ります。急勾配が続き、路面もかなり荒れている悪路です。



出発して数分後、九十九折の坂の途中で後方を振り返ると、先程までいた廬山の集落が遠方に望めました。


 
車内で体が前後左右にピョンピョン跳ねてしまうデコボコ道を下り切って、集落から約4km、ようやく谷底の川「塔羅灣渓」に到達。目の前には吊り橋が架かっていますが、これは渡らず、橋の下をくぐって、車のまま川へ突っ込んで対岸(左岸)へ渡河します。なお谷底へ下りるまでなら普通車でも何とかなりますが、その先は4WDでないと走行不可です。



川を渡ってすぐのところに精英温泉があるはずなのですが、ダナさんはそのポイントを通過して更に上流へと軽トラを進めます。河原の礫が大きくなって車がこれ以上進めなくなったところで下車し、歩いて河原を遡ってゆきます。ビーチサンダルのダナさん、ヒョイヒョイと飛ぶような華麗な足運びで岩を飛んでゆくのですが、一体どこへ行くのかしら?


 
やがて目の前には立派な滝が姿を現しました。これを私に見せたかったのですね。狭い岩の切れ込みに大量の川水が集まって落ちているので、その滝の勢いは圧巻、なかなか壮観な景色です。ポーズを決めて滝の前に立ってご機嫌なダナさん。


 
ダナさんが私に紹介したかったのは滝だけではありませんでした。滝の右脇でちょろちょろ落ちている水を発見。周囲の岩は若干赤茶けており、ただの水ではなさそうです。もしかしたら…と思って訊いてみたら、ダナさんはシャワーを浴びるジェスチャーをしながら、これは打たせ湯みたいなもんだと説明してくれました。やっぱりこれは温泉なのです。この周辺の塔羅灣渓の河原一帯が大きな温泉湧出地帯のようです。



さて、第一目的である野湯に入るべく、河原を歩いて下流の吊り橋直下へと戻ります。



左岸の断崖下に大きな湯溜まりがありました。これがお目当ての「精英温泉」ですね。
大自然に抱かれた、本当に素晴らしいロケーションです。


 
温泉の湯溜まりを上流側に向いて撮影してみました。火山の噴気孔でもない普通の河原ですが、かなり大きな湯溜まりなのに、お湯の温度は46.6℃もあります。


 
湯溜まりの一番上(端)ではお湯がプクプク湧出していました。温度計を突っ込むと54.3℃という数値を計測。一般的に、川状の野湯は流れる方向へ下るに従い温度が下がってゆきますが、精英温泉はこの上流端のみならず、プール底のあちこちから湧出しているので、上流側も下流側もどこでも熱いんです。


 
砂利の下を潜って川の水が湯溜まりへ流れ込んでくるポイントが何ヶ所かあり、その水をブレンドさせれば丁度良い湯加減に調整することができるのですが、そのポイントでは先客が河原の礫で即席浴槽を作っていました。河原には水を求めて蝶々が次々に飛来してきます。



持参した着替え用ポンチョを身に纏いながら、その場で水着に着替えて、いざ入浴。
うひゃー! 極楽極楽!
お湯は無色透明無味無臭で癖の無い優しい泉質です。底から熱湯が湧いてきますから、適宜手でお湯をかき混ぜながら湯加減を調整しました。


 
3月とはいえ南国の日差しは強烈。ガンガン肌に突き刺してきますから、バッグから折り畳み傘を取り出し、これを日傘代わりにしながら入浴を続行。傘を持ってきて良かったわ。



お風呂から上がって集落へ戻った後、ダナさんのご自宅でお昼ごはんをごちそうになりました。初対面だというのに、こんなにもてなしてくださるとは! 
筆談と片言の中国語を交えながらご家族とお話ししたのですが、非常に興味深かったのは、セデック族の言葉にかなりの数の日本語が溶け込んでいること。日本統治時代を経ている台湾では、老人を中心にいまだ日本語が使われていることはよく知られていますが、日本時代の教育を受けたから日本語を話しているのとは別に、現在の日常生活で使われている原住民の言葉の語彙にすっかり日本語が吸収されているのです。言うなれば、英語をはじめとする横文字が日本語として使われているのと同様です。具体的には…
トウサン(父さん)・カアサン(母さん)・コップ・ハシ(箸)・チャワン(茶碗)・オートバイ・デンシャ(自転車の転訛)・タイヨウ(太陽)・リャカ(リヤカーの転訛)・セッカイ(石灰)
などなど。日本語における横文字のように、そもそも現地の言語に適切な概念や語彙が無かったために外来語をそのまま取り入れたのならともかく、植民地支配から解放されて60年以上経っているにもかかわらず、父さん・母さん・太陽など全人類にとって普遍的な事象ですらも日本語を借用しているのが意外でした。更に申し上げるならば、ダナさんのファーストネームは信(シン)さんなのですが、お父様は信一(シンイチ)さん、お母様は菊(キク)さん、40歳代と思しきお姉さんは華(ハナ)さんにフミコさんと、家族全員の名前が日本語読みなのです。セデック族といえば台湾最大の抗日暴動で知られる霧社事件で知られており、最近台湾で公開された映画『セデック・バレ』でもその様子が描写されていますが、諸々の過去を乗り越えて日本の文化を吸収し、自分たちの文化に昇華して現在に至っているんだろうと思われます。

 
もしご自分で廬山へ行かれる場合は、赤い民族衣装を来た女性の壁絵で右にそれる小道があるので、そこをひたすら道なりに進んで谷底を目指して下さい。


南投県仁愛郷精英村  地図

野湯につき無料。
施設などは一切ないので、着替えや入浴に必要なもの、食料や水は事前の用意が必要。
アクセスに関しては本文参照

私の好み:★★★
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ゲストハウスプリ (台湾中部)

2012年05月05日 | 台湾
※今回の記事に温泉は登場しませんが、台湾中部・南投県周辺の観光地や温泉巡りにとても便利なお宿をご紹介します。

 
(話としては前回記事の続きになります)
不老温泉「草地人温泉民宿」から炎天下の中をテクテク歩いて頂新発バス停へ戻り、路線バスで六亀へ。更に高雄行へ乗り継いで高鉄左営駅で下車しました。
この日は台湾中部・南投県で日本人の方が経営するゲストハウスに宿泊する予定でしたので、まず高鉄(いわゆる台湾版新幹線)で台中を目指します。


 
私はここ最近台湾へ来るたびにこの駅を利用しているかもしれないなぁ。勝手知ったる高鉄左営駅。この日も構内のあちこちから日本語による話し声が聞こえてきます。日本人が多いんですね。尤も私だってその一人なんですから、他人様のことを言えた義理じゃありませんが…。発車案内を見上げたら、タイミング良く(台中と板橋しか停車しない)速達タイプの列車が12分後(16:30)に出発するみたいです。すぐに券売機でチケットを購入。構内の売店で駅弁を買って列車へ乗り込みました。


 
高鉄の開業以来、私は西部における都市間では必ずと言ってよいほど高鉄のお世話になっていますが、ここ数回は専ら商務車(日本のグリーン車と同等)を利用しています。日本のグリーン車に比べたら遥かに安い価格設定にもかかわらず、グリーン車と同じゆとりのあるシートに座れ、しかも無料のシートサービスまでついてくるので、比較的安いながらかなり優雅な気分に浸れるのです。普段日本のグリーン車には乗れない己の貧乏な境遇の憂さ晴らしにもなったりして。


 
瞬時に後ろへ去ってゆく車窓を眺めながら、乗車直前に買った駅弁を腹へ掻っ込みます。内容は台湾の駅弁によくあるタイプ。パッケージには高鉄限定の「台鉄便当(弁当)」と書かれていますが、高鉄と台鉄って別経営のライバル同士ですよね。これって東海道新幹線限定の「近鉄アーバンライナー弁当」と言ってるようなもんじゃないかしら。まぁどうでもよい屁理屈なんですけど。


 
17:12に高鉄台中へ到着。わずか42分ですから速いですね。そういえば、この駅も何度も利用しているなぁ。


 
私はコーヒー中毒にもかかわらず昨日からまともなコーヒーを飲んでいなかったため、数時間前から禁断症状が出始めておりました。このため改札を出たら一目散に駅構内のスタバへと駆け込みます。トールのラテを低脂肪乳・ショット追加で注文。手渡されたカップを見たら、そこには「日本」という二文字が書かれていました。私の素性がバレバレですね。思わず笑っちゃいました。


 
高鉄駅1階のバスターミナルから埔里行の直行バス(南投客運)に乗車。


 
高速道路経由で約50分、すっかり日が暮れた夜の埔里に到着です。南投客運と棟続きになっている國光客運のバス乗り場には馬英九と肩を組む国民党候補の写真がデカデカと貼られていました。



バスターミナルから徒歩8分で、この日の宿「ゲストハウスプリ」に到着。呼び鈴を押すとオーナーさんが出迎えてくださいました。



夜の画像じゃわかりにくいですよね。ということで、翌朝改めて撮影した宿の外観です。



1階 玄関・ラウンジ。
ゲストハウスに対して抱いてしまうマイナスイメージを悉く払拭した、綺麗で洒落た室内にビックリ。観光ガイドブックやパンフが用意されているのは勿論、PC・冷蔵庫・キッチン、そして洗濯機などいろんな備品が自由に使えます(洗濯機は深夜不可)。Wi-Fiが飛んでいるのも嬉しいわ。



ゲストハウスですからドミトリーが基本なんでしょうが、個室も利用可能。今回は1階の個室を用意していただきました。反復表現になってしまいますがゲストハウスとは思えない綺麗なフローリングお部屋です。ホテルと異なりルームメイキングは無く、布団はセルフで敷くことになりますが、連泊などで寝具が湿ってきたら交換してもらうことも可能。室内にはトイレやシャワーも完備されているので、プライベートな空間が確保できて快適に利用できました。しかも1泊1100元(一人の場合)。ブリリアント!



ドミトリーがある3階にはこんな雰囲気の良いテラスも。
ここでもWi-Fiが使えるので、滞在中はここで自分のパソコンを開きながら夕涼みしていました。


オーナーのWさんは横浜出身の日本人で、台湾在住14年、すっかり現地人に同化していらっしゃいます。温泉が大好きなんだそうでして、オフの時間は温泉巡りをなさっているそうです。それゆえ、オーナーさんの趣向と私の旅の目的が見事に一致。実に有意義なお話や情報を伺えました。
日本語が使える上、綺麗で使い勝手が良くて安い。これだけでも十分ありがたいのに、オーナーさんは、埔里の観光案内をして下さった他、私が行きたい温泉について調べて下さったり、現地へ手配してくださったり、夜にはお勧めのレストランやバーへ連れていってくださったりと、手とり足とり、いろんな面倒を見てくださいました。次回以降の記事で取り上げる予定の南投県の温泉は、オーナーさんにお世話にならなければ巡ることができなかったところばかりです。この場を借りて感謝致します。台湾旅行の際には是非おすすめしたいお宿です。
(※たまたまお客さんが少ない日に利用したので、オーナーさんは色々とお世話して下さったのかと思います。オーナーさん含め1~2人で全てを回している宿ですから、その点はご承知置きを)


ゲストハウスプリ
南投県埔里鎮東栄路303巷6号  地図
ホームページ
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