九月二十八日、古今亭志ん五 師匠が亡くなった。六十一歳だった。
二十九日の朝刊の片隅に小さく訃報が掲載されていたが、芸のランクはとても高いものがあったと私は思っている。
大師匠である志ん生の芸風を受け継いだとぼけた人物描写が巧みで、ささやかな庶民生活の中の豊かさとおかしみを表現できる貴重な噺家さんだった。
2008年9月に上野の鈴本で『風呂敷』を聞いたのが私の見た最後の高座になった。これからという時に、かえすがえすも残念である。それにしても、噺家さんが名人と言われる域に達することの何と難しいことだろう。うまいと思う若手の噺家さんや芸人さん達はいくらでも見てきたが、芸に迷うのかいま少しのところで歩を進めることが出来なかったり、病にたおれてしまう。
「長生きも芸のうち」とは、先代の桂文楽の言葉だったか。今一度、この言葉の意味を噛みしめてみたい。
二十九日の朝刊の片隅に小さく訃報が掲載されていたが、芸のランクはとても高いものがあったと私は思っている。
大師匠である志ん生の芸風を受け継いだとぼけた人物描写が巧みで、ささやかな庶民生活の中の豊かさとおかしみを表現できる貴重な噺家さんだった。
2008年9月に上野の鈴本で『風呂敷』を聞いたのが私の見た最後の高座になった。これからという時に、かえすがえすも残念である。それにしても、噺家さんが名人と言われる域に達することの何と難しいことだろう。うまいと思う若手の噺家さんや芸人さん達はいくらでも見てきたが、芸に迷うのかいま少しのところで歩を進めることが出来なかったり、病にたおれてしまう。
「長生きも芸のうち」とは、先代の桂文楽の言葉だったか。今一度、この言葉の意味を噛みしめてみたい。