文化逍遥。

良質な文化の紹介。

D'Addario-EFT16(semi-frat Phosfphor Bronze,012-053)

2013年04月27日 | ギター
25日、田端義夫さんが亡くなった。94歳だった。
懐メロ歌手というイメージが強いが、実はギターもうまい人だった。ある友人の話によると、古いカントリーブルースも弾きこなした、という。いつか生の演奏に触れてみたかったが、その機会は無くなってしまった。ドキュメンタリー映画『オース、バタヤン』が近く公開されるということなので、ぜひ観てみたい。合掌。


さて、弦の話。
Eft16

これは、フォスファー・ブロンズながら表面をセミフラットに特殊加工してある弦。音質は、普通のフォスファー・ブロンズよりメローな落ち着いた感じになる。フィンガー・ノイズがほとんど出ないのが大きな特徴で、録音やスライド奏法に向いている。仕事のないときに録音作業をしているので、メインのギブソンやソニードなどに張っている。ただ、どうしても値段が高くなる。標準的なブロンズ弦に比べ倍近い。エリクサーなどのコーティング弦でもフィンガー・ノイズはかなり少ないので、入手しやすいことや耐久性を考えればコーティング弦の方が使い勝手が良いと言える。
留意すべき点がひとつある。それはマーチン系の「鈴鳴り」といった音を好む人には、この弦はこもった感じにも聞こえるかもしれないのでお薦めできないこと。ある意味、音質よりも使用目的を重視して設計された弦と言えるだろう。


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映画『野のユリ』、『夜の大捜査線』

2013年04月20日 | 映画
シドニー・ポアチエ主演の古い映画のDVDがタワーレコードで安かったので買ってきて観ていた。

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1963年制作の『野のユリLillys of the Field』。ドイツから来た修道女の暮らす一軒家にたどり着き、教会を建てるはめになる黒人青年。それを取り巻くのは、街に暮らすヒスパニック系のスペイン語を話す人達や白人の建築会社の社長、そして街にやってくるアイルランド系の牧師。最終的にはそれらの人々が絡みあう中で手をとり合い教会が完成する。
以前、テレビで見たいた時は気づかなかったが、この映画は複雑な民族の融和と理解を深める可能性を示唆しようとしたのだと感じた。それは下の映画1967年制作の『夜の大捜査線In the heat of the night』でも同じことがいえるような気がする。時代は公民権運動真っ盛りの時だった。

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こちらは、北部の黒人刑事(シドニー・ポアチエ)が帰郷するために立ち寄った南部ミシシッピーのとある町で殺人事件の捜査をすることになる、という設定。黒人に対する差別が日常化している南部で、殺されそうになりながらも執拗に犯人を追う刑事バージル。それを複雑な思いで見守ることになる地元警察の署長ビル(ロッド・シュタイガー)。名優ふたりの絡み合うような演技はみごと。

どちらも名作。この頃のアメリカ映画は、何か安定感があるような気がする。そしてそれは、アクション物から3Dに至る映画史の中で、徐々に無くしていったもの。「機械に任せず人の手でやらなければならないことがある」、それをこの2本の映画は語っているような気がする。


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亀井 宏著『ドキュメント 太平洋戦争全史』上下2013/3講談社文庫

2013年04月13日 | 本と雑誌
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すでに戦後68年近くたち、当時戦闘に参加した人の多くが亡くなっている。この本は、多くの太平洋戦記を手がけてきた1934年生まれの著者が長年の取材に基づいて独自の視点から書き上げた集大成。3年9カ月にわたる太平洋戦争の細かい記録を文庫本二冊で描き切れるべくもないが、独時の取材と視点でターニングポイントになる戦闘に絞り、そこから全体を俯瞰するという手法で時間をかけてまとめあげている。取材により、記録や当時の兵士の記憶から新たに掘り起こされている事実も多い。重く苦しいテーマに向き合わなければならないが、反面こういう時間をかけた労作に接すると不思議な安心感がある。仕事をするうえで手を抜かず最後までやり抜くことが大切なのだ、と教えてくれる本でもある。


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