文化逍遥。

良質な文化の紹介。

『青銭大名』東郷 隆著、2012朝日新聞出版

2012年10月28日 | 本と雑誌
首都圏でも朝晩はだいぶ冷え込むようになってきた。
通勤電車内では、早くも薄手のコートを羽織っている女性を見かける。
一方、男性では夏のクールビズの延長でネクタイをしていない人も今だに多い。
わたしはネクタイが嫌いなので以前からほとんど締めない。上着を着てネクタイを締めないと何やらだらしなく見えるので、襟元には気を使っていた。が、不思議なもので背広を着てもノーネクタイの人が多いと、それが普通になって最近は違和感が無くなってきた。ネクタイ屋さんには悪いが、ノーネク派にはありがたい。

さて、中世を背景にした歴史小説を読んだので少し書いておきたい。

Aozenidaimyou

この小説は、昨年朝日新聞の夕刊に連載されていたもので、今年2月単行本で出版された。わたしも新聞では読んでいたのだが、一部読み落とした所もあるし改めて読み直したくなって書店で見つけて買い求めた。著者の東郷 隆(りゅう)氏は1951年生まれ。この作品は織田信長の父信秀の頃の話だが、良く資料にあたっているなあ、と感心させられた。ただ、物語を面白くするための脚色が強過ぎるような感は否めないようにも思えた。
中世の歴史については、これまであまり重要視されてこなかったような感じがするが、実は応仁の乱前後が日本の歴史、特に文化的に大きな転換点だったと見る事が出来る。江戸期に比べて史料が少ないのだろうが、これから研究が進むことを期待したい。


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やっと秋

2012年10月21日 | 日記・エッセイ・コラム
10月も下旬になって、やっと秋らしくなってきた。最近は9月までが夏、という感じ。

暑いと冷房による室外機の熱が出るので、全体のエネルギー消費量がさらに増えるという悪循環に陥る。
本来、夏は自然エネルギーをうまく使えば消費量が減るはずなのに、困ったもんだ。
せめて、商業施設などの大型空調機だけでも室外機を水冷に出来ないものだろうか。


最近、このブログのアクセスを解析していたら、検索から「レコード棚」を見てくれる人が多いことに気付いた。
ただし、ほとんどの人が5分以内に出てしまうようだ。
1件書くのに半日かかるのに5分で出ねーでくれよ、とも思うのだが・・・そこが名も無い者の悲しさ。
でもまあ少しでも参考にしてくれる人がいることは喜ばしい。
春になって、仕事が暇になったら又続きを書いてみたい。


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古今亭 円菊師匠を悼んで

2012年10月14日 | 落語
13日、古今亭 円菊師匠が亡くなった。84歳だった。

もう10年以上前になるだろうか、上野の鈴本で真打(トリ)をとったときに「唐茄子屋」をかけて演芸場がずいぶん湧いていたことを思い出す。けっして、うまい噺家さんではなかったが、独特の味わいがあった。これは、落語の方の符牒で「フラ」と言うらしい。「芸は人なり」という。その「人」の部分が、結局はフラなのだろう。

これで、五代目志ん生の直弟子と言える人はいなくなった。
昭和はすでに遠い。


Iwasigumo
秋の夕暮れ前の鰯雲。13日、携帯で撮影。
昼の日差しはまだ強いが、季節は移りゆく。
今週から仕事が忙しくなる。ありがたいことだ。ただ、ブログの更新は滞るかも。


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『葉菊の露』 澤田ふじ子著、中公文庫1987

2012年10月08日 | 本と雑誌
先日、神保町の古本屋で買い求めた文庫本だが、心に残る歴史小説だったので、ここで書いておく。

Hagikunotuyu

作者の澤田ふじ子氏については、以前『深重の橋』(2010、中央公論新社)という応仁の乱を背景とした作品の他数冊を読んでおり、その力量は知っていた。
この作品は、幕末から明治に至る激動期に存立を賭けた美濃郡上藩の武士たちの歴史に翻弄される姿を描いた長編。初出は、1983年7月から翌1984年の7月まで『中日新聞』に連載されたものという。
初期の作品で、エッセイを組み込んだりして文体を模索しながら書き進んでいるような所もあるが、よく取材されていて完成度が高く佳作と思った。
ただ、視点を旧幕府軍に置き過ぎていて、武士および武家の女達の矜持を美化しすぎているようにも思われた。
それでも、もう一度読みかえしてみたくなる作品と言える。


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追悼 島田和夫氏

2012年10月03日 | 音楽
訃報がつづく。

もと憂歌団のドラムス島田和夫氏が亡くなった。58歳だった。一部の報道では、自殺の可能性が強いとしている。

あくまで個人的な感想だが、日本人でシャフルをしっかりと叩ける数少ないドラマーだった。
憂歌団の解散後の事はよく知らないが、今朝(10/3)の新聞によると神戸あたりのライブハウスを中心に活動を続けていたらしい。

氏のようなミュージシャンがもっと認知されてしかるべきと思うのだが、この国の音楽を取り巻く環境はどうも貧しいように感じられる。残念だ。

早すぎる死を悼み、合掌・・・


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