文化逍遥。

良質な文化の紹介。

追悼 玉川スミ師匠

2012年09月29日 | 落語
音曲の玉川スミ師匠が9月25日に亡くなった。92才だった。

何度か高座に接したことがある。
最後に接した高座は、師匠が「来年は90才」とおっしゃっていた様な記憶があるので、3年ほど前になろうか。
師匠の高座には、強い印象がある。

それは、ピッチの正確さだった。

三味線を弾きながら歌舞伎のような七五調の漫談(山手線の駅名をセリフに組み込んだもの)を入れるという芸をされていた時の事。長い芸で、それでなくとも三味線は絹糸を弦にしているのでとても緩みやすく、こまめな調子合わせが必要になる。それを、笑い声が渦巻く演芸場で表情ひとつ変えずに正確にやってのけるのだから、正直言って涙が出るほど感動した。

亡くなったことは残念だが、長寿を保たれて最晩年まで90年近くに渡り心に残る芸を見せてくれたことは素晴らしいことだし、後世への遺産となるに違いない。

ご冥福をお祈りしたい・・・合掌・・・


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神田すずらん通り

2012年09月23日 | 本と雑誌
秋の雨が降っている。
この夏の少雨で関東の水瓶は底をつきそうなので、恵みの雨になってくれるといいのだが。


9/18(火)は仕事が早めに終わったので、神田の書店街を歩いてきた。
いまでも年に4~5回は行くのだが、そのたびに街の様相が変わるのには驚かされる。

今回は、すずらん通りの「東京堂書店」の変わりように特に驚いた。ここに来ると不思議な安心感をおぼえるので、学生時代から利用している。なので、かれこれ30年以上にもなるか。その間、何度かの店内の改装を見てきたが、今回のような大掛かりなものは初めてだ。
まず、通りに面した側を1階から3階まで全て喫茶スペースにし、減った展示スペースを補うため各階にあったレジを1階だけとしている。昔のように多くの本を並べる展示ではなく、選りすぐりの本を書棚をわざとずらして展示する方法を採っている。
散歩する感覚で書店内を歩く感じで、疲れたり買った本をすぐに読みたい場合は横の喫茶スペースでお茶を飲めるというわけだ。ちなみに、コーヒーなどは一杯200円ほどなので、書店内の喫茶室としてはかなり安く抑えている。

思い切ったことをやったものだなあ。

それが正直な感想。あるいは経営母体が替わったのかもしれないが、やはりマイナーな作家やテーマの本は少なくなったのは否めないし、死角が多く、これでは万引きの被害も増えるだろう、と人ごとながら心配になった。
電子書籍リーダーが普及すれば、本そのものがレコードやテープのようにその役割を終えるかもしれない時代を迎えている。そうなって欲しくは無いが、出版関係の仕事に携わる人たちにとっては生き残りをかけた工夫を凝らさなければならなくなってきているのが現実なのだ。
個人的には、毎月スマートフォンにかけるお金があるならその分を本代に回した方が良いと思うのだが・・・こんなこと言うと若い人に笑われそう。


さて、買ってきたのは『アラン・ローマックス選集、アメリカン・ルーツミュージックの探究1934~1997』(みすず書房2007年刊)。
二段抜き380ページ、CD付きで6300円は高いとは思わないが、少しフトコロには響く。
内容は濃く、ルーツミュージックに関心のある人にとっては貴重な一冊だ。ローマックス父子についてはいずれ改めて書くつもりなので、その時にこの本についても取り上げることにしたい。


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夏の終わりに

2012年09月17日 | 日記・エッセイ・コラム
暑かった今年の夏もやっと終りが近くなってきたのか、朝晩は風に秋を感じるようになってきた。
仕事もなんとか自分の責任分担をこなすことが出来、ホッとしているところ。この連休で気持ちが緩んだのか、溜まっていた疲れが出て夏バテ気味。軽い腰痛もある。
そこで、リラックスする為に昔の名人の落語のテープを聴くついでにCD-Rに落としていた。不思議なもので、すぐれた噺家の芸は声を聞いているだけで安心感がある。「芸は人なり」。

先週書いたブログに加筆しておいたので、アメリカンフォークミュージックに関心がある人は参考にしてください。


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Woody Guthrie centennial collection

2012年09月17日 | わたしのレコード棚
ウディ・ガスリーの生誕100年を記念してSmithsonian Folkwaysから出た『Woody At 100』(SFW40200)。日本での発売元は「ライス・レコード」で、RICE FLR-7201。おもな解説の翻訳は付いているが、基本的には全て英文。
CD3枚に、LP盤の大きさで150ページ程の解説、本人の素描、過去のLP盤ジャケット写真などかなり内容の濃いものになっている。

Guthrie1
大きさがわかりやすいようにCDを一枚横に置いてみた。

Guthrie2
ウディ・ガスリーは絵もうまい人だったようだ。これを見るまで知らなかった。

Guthrie3
フルカラー印刷で、なかなかきれいでしっかりした本に仕上がっている。

Guthrie4
あんまり見せてしまうと著作権上問題があるといけないのでこのくらいにしておこう。


実は9/9現在、CDは全部聴き終わっていない。今週は写真だけで、続きのCDりビューは来週加筆予定。では・・・

9/17加筆
あらためてこの録音を聴いてみて感じた事は、日本語と英語の基本的な「歌」の相違だった。
バラッド(ballad)と言われるが、民間伝承の物語歌謡で、言葉が機関銃のように後から後から出てくる。そして、織り込まれる「韻」。
日本の民謡にも「口説き節」と言われる民話などを物語るものがあるが、基本的にはメロディが無いものだ。
日本語では、韻を踏むことは基本的に無理だと個人的には思っている。漢詩のようにきれいに韻を踏もうとするとどうしても不自然な文になってしまう。現代詩にすぐれた功績が見られないのもそこに遠因があるように思う。
それは、ブルースでも同じで、自分ではカントリー・ブルースの音楽的方法を使って日本語を載せられると思っていたが、今思えば無理があったのかもしれない。実際、それを指摘されたこともあった。

いずれにしろ、アメリカンフォークミュージックにとっては歴史的な録音であり、聴く価値のあるものであることは疑いない。
デジタル化にあったては、ノイズは除去したようだが、78回転のSP盤の状態が良くなかったものもあったようで、今の音質に近いと思って買うと戸惑うかもしれない。特に、CD1の後の方4曲はかなり聴きずらい。




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ウディ・ガスリー生誕100年

2012年09月02日 | 音楽
今年2012年はウディ・ガスリーの生誕100周年に当たるということで、スミソニアン・フォークウェイズからCD3枚入りのスペシャル・パッケージ盤が出た。日本での発売元は「ライス・レコード」になっている。RICE FLR-7201税込定価7560円。
最近はCDの置き場所にも困っているしフトコロもさみしいのでCDもほとんど買わないのだが、未発表曲を含このパッケージはどうしても欲しくなって買ってしまった。
主な解説には和訳が添付されているが他は全て英文で、それを読みながらCDを聴いているのでどうしても時間がかかる。
なので、リヴューは次回に書くことにしたい。なにしろ、CDを全部聞くと4時間近くかかる。ノイズは可能な範囲で除去してあるようだが、原音を大切にデジタル化してあるように感じた。やっぱりいいなあ。では、次回・・・。


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