文化逍遥。

良質な文化の紹介。

葉室 麟著『銀漢の賦』 文春文庫

2012年04月27日 | 本と雑誌
また買ってしまいました、葉室 麟(以下敬称略)。

Ginkan

この人の時代小説は、語彙が豊富で、漢字の使い方も的確、安心して読み進めることが出来る。そして、読み終わった時に何とも言えない不思議な満足感のようなものがある。やはり、基礎がしっかりしている上に、十分な時間をかけて書かれているのだろう、と感じさせる。

巻末には、国文学者の島内景二という人が思い入れの強い丁寧な解説を書いている。
巻末の解説というと、当たり障りのないことを書いてお茶をにごす人が多く、わたしもあまり読まない。が、この人は筆に気持ちをこめて書いている。少し引用させてもらおう。
「葉室麟。必ずや文学史に、その名が大きく刻まれるに違いない逸材である。・・・中略・・・
 何よりも文体が、比類なきまでに清冽である。人間の心は、悩みや苦しみさえも、こんなに高雅な文章で掬い上げることができるものなのか・・・」
おそらく、この解説は推敲を重ねて書かれたものなのだろう。読みかえしても内容の濃さを再び感じされられる。解説を読んで、感心したのは初めてだ。

速読とかいうものがはやっているようだ。が、時間をかけてものされた作品はゆっくりと時間をかけて味わいたいものである。



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ShadowピックアップSH NFX-AC

2012年04月19日 | ギター
録音作業をしていく上でいつも感じることは、12弦ギターの音がどうもうまく入ってくれない、ということ。
まあ、腕も悪いのだろうが、なんとなくピントが合ってないと言うか、ボヤけた音になってしまう。
そこで、ドイツのメーカー「シャドーShadow」のピエゾ・ピックアップSH NFX-ACを試してみることにした。

Shadow
左側の黒くて細い部分がトランスデューサー。厚みが約1mmあるので、サドルを新たに用意して下側と一弦側をトランスデューサーの厚み分を削った。写真で見てわかるようにボタン型の電池CR2032を入れるプリアンプ付きで、ブリッジに穴を開けなくても装着できる構造になっている。

Epi12pu
エピフォンの12弦ギターに装着したところ。1弦が切れている。
感度の良いPUなのだが、サドルに当たる弦の角度が小さく、トランスデューサー部分にかかる圧力が不足する為か、いまいち出力が出ない。また、トランスデューサー部分が思ったよりもやわらかいので、生音もけっこう変わり、高音が出にくくなった感じだ。しかし、まあ、とりあえずこれで録音してみることにしよう。

というわけで、やってはみたが、やはり1コース(1・2弦)の圧が足らない。やむなくストリング・ガイドをつけた。
Stringguide
かなりな改善がみられ、これならいけそうだ。


たいして売れないCDを作るために、時間と金をかけてここまでやる必要があるのか、と自分でも思う時がある。
ところがである、確信していることだが、こうした作業がかなり仕事に役立っている。
わたしは文系の人間で、工作や電気的知識などあまり持ち合わせていない。
文書等の写真を撮る仕事を長年続けてきたが、当然カメラは電気仕掛けで、その構造的なことまでは理解できない。
が、なんとか支障なく機械を操作して仕事を続けて来られたのは楽器を続けてきたからだと思っている。
楽器のメンテナンスやピックアップの装着など、いろいろやっていく上で得られたものは少なくない。
特に、電気的な知識はほとんどギターに関連して得たものを応用して理解することが多かったのだ。
テスターなどというものも、断線している箇所を探す程度に使うだけだが、それでも使ったことがあるのと無いのとでは随分と違う。

もっとも、失敗して後悔することも多く、道具や部品も捨てないのでたまって増えてゆく。

最近は物をやたらと処分するのがはやっているようだが、少なくとも何かを作ろうとする者はやたらと物を捨てるものではない。
一見して、何の役にもたたないものが、意外と後で利用できることが多いし必要なパーツがいつも手に入るとは限らない。
当然荷物が増える。
寝る場所にも困るようでは仕方ないが、うまく整理して何がどこにあるか分かるようにしておきたいものである。



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加曾利貝塚―2012春

2012年04月13日 | 考古・エッセイ
4月8日、例によって、墓参のついでに加曾利貝塚によってきた。 ここにくると、不思議と気持ちが落ち着く。

Kasori1

今は、公園のようになっているが、この下に大量の貝の堆積層がある。さらに、この奥には、小さいながら博物館もある。

Kasori2

観察しやすいように、このようにトンネルが掘ってある。

Kasori3

こちらが、内部。

ガラス越しなので反射で見にくいが、貝の堆積した様子が見える。 最近の研究で、ここでは単に貝を食べていただけでなく、干した貝を作っていたらしいことがわかってきた。その干し貝は自分達の保存食としていただけでなく、交易品として他の産地の産物と交換をしていたらしい。つまりは、ここは縄文期の「干し貝生産加工場」だった可能性がある。最盛期、ここでは4~5千人が生活していたと推定されている。当時、日本列島の全人口が数十万人といわれているから、かなりな規模だったことは間違いない。縄文期は、我々が想像する以上に豊かな世界だったらしい。

Kasori4_2

復元された住居。


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バンジョー修理

2012年04月06日 | 楽器・エッセイ
昨日4/5(木)は、バンジョーの修理のためお茶の水のカワセ楽器に行った。
1弦の10フレットあたりの音が出なくなった。12フレット以降が少し浮いてきているようだ。
フレットの打ち直しが予想されたので、預かり修理になると思っていたのだが、2時間くらいで出来るという。
助かるよなあ。録音に使いたかったので、はやくやって欲しかったのだ。
さすがにプロショップと言われることはある。

修理してくれている合間に上野に行った。
折しも桜が満開、花見ですごい人。
人混みは嫌いなので、上野公園の桜はパスして国立博物館へ。
土偶と埴輪、大好き。じっと見ていると吸い込まれそうになる。
不思議に思うのは、土偶も埴輪も体形が子どもに近いことだ。
手や足が短く、頭部(顔)が大きい。
そのあたりが、理想的な体形といわれるギリシャ彫刻などと大きく違うところ。
写真を撮りたかったが、撮影は禁止なので仕方がない。

桜の季節ということで、いつもは閉鎖されている国立博物館の裏庭が解放されていた。携帯で撮影。

Pa0_0002
もとは、寛永寺の境内だったと言われている。
今は実に静かな風景だが、維新の頃には彰義隊が立てこもり明治政府軍と激戦がおこなわれたところでもある。

さて、バンジョー。
約束どうり2時間で出来ていた。
問題のあるフレットをはずして掃除、打ち直して調整した後、ネックも調整したという。
音もきれいに出るようになりました。うれしい。
預かりになると、千葉からお茶ノ水まで行く時間と交通費が倍かかるわけで、その意味でも助かった。
それにしても、バンジョーは重い。
帰ってきて、ケースに入れたまま測ってみたら9Kgもあった。
ギターの倍近い重さだ。
これでは仮に電車で移動すると、ライブに行くまでに重さで指が動かなくなりそうだ。
もっとも、そんなことは予定も実力も無い。


さらに、ついで、と言っては悪いがマスターのOMでメイプル材のギターがあったので試奏させてもらった。
メイプルで小さめのボディーなので、高音の強い硬い音なのかなと思った。
が、弾いてみると思いのほか低音が出てバランスも良かった。胴が深い構造の為だろうか。
ネック材もメイプル。
最近はネックにするような良いマホガニーが不足しているという。
中米(特にホンジュラス)当たりでは伐採しすぎたのだろう。
個人的な感想だが、メイプルネックの方が強度があり安心して使える感じがする。が、マホガニーネックの方が長時間弾いても疲れないように思う。まあ、一長一短だろう。

トップのスプルースも目が詰まっていて良質だし、バックやサイドにはトラ目も出ている。
これだけの材を使って168000円はお買い得だなあ。
フトコロがあたたかければ手が出そう。
ネックの形状は細めのUで、弦高はかなり低めにセットされている。
フィンガーピッカー向きといえるだろう。






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千葉市稲毛人工海浜

2012年04月04日 | 日記・エッセイ・コラム
昨日は春の嵐、すごい雨と風だった。
首都圏の交通機関も午後からかなりマヒ。こういう時は仕事が無くて良かった、などと独り言。

先週3/29(木)、千葉市の稲毛区にある人工海浜に自転車で行ってきた。

Img_0746
東京湾の南側方面、京葉工業地帯の煙突が見える。
左端に見えている高い塔は、千葉市のごみ処理施設。その横には余熱を利用したスケートリンクがある。
夏になると子どもたちがこの海岸で水遊びをするが、この景色ではあまり自然と親しむというわけにはいきそうにない。
ただ、水質は最近かなり改善されてきてはいるらしい。

Img_0750
こちらは、東京方面。
画面右端に千葉ロッテの本拠地マリンスタジアムが写っている。
左端には、よーく見ると東京スカイツリーも写っている。
実は、撮影した時にはスカイツリーが見えていることに気付かなかった。
家に帰って画面で見てみると、うっすらと写っていたのでビックリ。
そこだけトリミングしてフォーカスを調整してみた。
Tokyouskytree
撮影地点から直線距離で30キロ位だろうか。
撮ったのは、午前11時くらいだったので視界が落ちていたようだ。
朝の早い時間だったら、もう少しクッキリ撮影できたかもしれない。
次に行く時は、望遠レンズを持っていこう。
と言っても、250mmまでしか持ってないけど。
ちなみに、この日は富士山もうっすらと見えていたのだが、霞んでいて撮影は無理だった。


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