文化逍遥。

良質な文化の紹介。

亜欧堂田善(あおうどうでんぜん)展

2023年02月22日 | アート・文化
 先週のことになるが、「亜欧堂田善」の企画展が開催されている千葉市美術館に行ってきた。JR千葉駅から徒歩で15分位のところにあり、我が家からも自転車で15分ほど。浮世絵を中心に充実した所蔵品を持ち、設備も充実している。
 NHKの「日曜美術館」などで取り上げられたこともあり、けっこう混雑していた。かく言うわたしも、テレビを見て行きたくなったひとり。この企画展は、2/26まで。


 以下は、美術館のホームページからの引用。
 『江戸時代後期に活躍した洋風画家、亜欧堂田善(あおうどうでんぜん・1748〜1822)は、現在の福島県須賀川市に生まれ、47歳の時に白河藩主松平定信の命を受け、腐食銅版画技法を習得した遅咲きの画人です。
主君の庇護のもとで試行錯誤を重ねた田善は、ついに当時最高峰の技術を身につけ、日本初の銅版画による解剖図『医範提鋼内象銅版図』や、幕府が初めて公刊した世界地図『新訂万国全図』など、大きな仕事を次々に手掛けていきます。
一方で、西洋版画の図様を両国の花火に取り入れた《二州橋夏夜図》や、深い静寂と抒情を湛える《品川月夜図》など最先端の西洋画法と斬新な視点による江戸名所シリーズや、《浅間山図屏風》(重要文化財)に代表される肉筆の油彩画にも意欲的に取り組み、洋風画史上に輝く傑作を多く世に送り出しました。
首都圏では実に17年ぶりの回顧展となる本展では、現在知られる銅版画約140点を網羅的に紹介するとともに、肉筆の洋風画の代表作、谷文晁・司馬江漢・鍬形蕙斎といった同時代絵師の作品、田善の参照した西洋版画や弟子の作品まで、約250点を一堂に集め、謎に包まれたその画業を改めて検証します。』


 最も印象に残ったのが、この「両国図(絹本油彩)」。大きさは、縦が30センチ位で、横幅が1メートル位だったように思う。中央の大きい2人は、力士だという。ここが現在のJR両国駅あたりだとすると、奥が下流方向で、橋の左側は本所・深川方面、右奥側が神田の方向になるのだろうか。油絵の具なども当時は手に入らないので、自分で試行錯誤の上の手作りだったという。陰影を巧みに使った、奥の深い描写は見事。
 細密な銅版画も良かったが、小さいものが多く、原版もちょっと見づらい感じだった。

 それにしても、50歳近くなってから見出され、更なる修行をして画業を完遂するというのは素晴らしい。当時は江戸後期、50歳にもなれば孫がいて隠居するというのが普通だろう。それを、自らを試行錯誤の中に置き、修練を続けるというのは尊敬に値する。その才能を見逃さなかった松平定信もやはり称賛すべきだろう。

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千葉外房2023/2/15

2023年02月16日 | 旅行記
 2/15(土)、例によって友人の車に便乗して小旅行。この日は、千葉外房の御宿町、いすみ市岩船、などへ。


 御宿町の小高い丘にあるメキシコ記念公園。そこにある日西墨三国交通発祥記念之碑。


 同所より、岩和田漁港。写真奥は、勝浦方面。


 いすみ市岩船海岸。岩船地蔵尊より南側を撮影。


 同じく北側で、岩船漁港。

 このような風光明媚な所を訪れると気持ちが落ち着くように感じるが、単に景色が良いだけではなく、人々の素朴な暮らしに触れられるからだろう。お昼には地元でとれた魚をおいしく食べてきたが、人は結局のところ、どんなに技術が発達しても自然の恩恵を受けることによってしか生きられない。
 大切なものは、ごく身近なところにある。地に足を付けて、ゆっくりでもしっかりと歩を進めたい。

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SEYMOUR DUNCAN ( セイモアダンカン ) SHPR-1 P-Rails

2023年02月09日 | ギター
 エレキギターのパーツ(ピックアップ)の話。少し専門的な用語が多くなるが、解説していると大変なので、そこはお許し願いたい。



 最近、入手したピックアップでセイモアダンカンの「SHPR-1 P-Rails」というもの。

 わたしのようにアコースティックギターから入った者が、エレキギターを手にした時に戸惑うことがある。それは、アンプから出る音の立ち上がりが、生の楽器とは異なることだ。ピックアップが、シングルコイルでは早すぎるし、ハムバッカーでは遅い。もちろん、ほんのわずかの違いで、時間的には計測出来ないくらいの差だろうが、感覚的にはけっこう差異を感じる。なので、弾きこなせるようになるまで時間がかかったりする。
 そこで、シングルコイル・ピックアップとハムバッカーの中間的なものとしてP-90という選択がある。構造的には原初的で、ハムバッカーの片方を使うようなもの。なので、単純な作りになり、素朴でアコースティックに近い音質になる。ただ、ノイズをキャンセル出来ない事と、低音域が不足気味なのが欠点とも言える。
 この弱点を克服するために、ダンカンなどはP-100という縦にスタックになったピックアップを出している。わたしは、使ったことはないが、あまり評判は良くなかったようだ。今回紹介するP-Railsは、大きさはハムバッカーとほぼ同じで、普通のエスカッションに取り付け出来る。写真上方に見えている、ブレード型のピックアップ(Rail)がハムバッキングするためのコイルになり、タップで出力し普通のP-90近い音もだせる。
 さて肝心の音質だが、ハムバッキングに配線した状態では、P-90に比べると高音がやや落ちるが、低音は豊かでノイズもキャンセル出来ている。直流抵抗値は18KΩ程あり、高出力だ。そして、音の立ち上がりもアコースティックギターに近く、馴染みやすい。

 というわけで、わたし好みのピックアップだが、エレキギターらしい音を求める人には物足りないものがあるかもしれない。あくまで、プレーヤーの選択になる。

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縄文時代研究講座(第2回)2023.1.28

2023年02月02日 | 考古・エッセイ
 加曾利貝塚博物館が主催し、千葉市生涯教育センターの地下ホールで「縄文研究講座」というものが行われている。以下は、千葉市ホームページ内の案内より引用。
「加曽利貝塚や縄文時代について最近の研究成果を学びます。全6回の講座で、それぞれテーマが異なるオムニバス形式の講座です。一般の方向けの講座ですが、内容はやや専門的です。」


 千葉市内には、確認されているだけでも貝塚が120カ所あると言われてる。わたしも縄文文化に興味があるので、自転車で行けるところを訪ねて、見て回ったりしている。この日、1/28(土)第2回の講座は『北の大地の「周堤墓」と集落~「キウス」を例として~』だった。
 「キウス」というのは、北海道の地名で新千歳空港の近く。周堤墓(しゅうていぼ)というのは、レジメから引用で「堅穴を掘り周辺に土堤を円環状に巡らせて区画し複数の土坑墓を構築した、集団区画墓。縄文時代後期後葉の北海道石狩低地帯を中心に分布する」というもの。
 講師は阿部明義さんという方で、本来は、北海道埋蔵文化財センターに所属されているが、現在は千葉県内の発掘調査を手伝いに千葉に滞在しておられるとか。特別講義、といったところだろうか。
 内容は、ここに書いているとキリがないので書けないが、興味深く濃いものだった。聴衆も皆熱心に聴いていた為か、だんだん熱が入り予定時間を20分もオーバーし、会場のタイムリミットが迫ったらしく主催者側が何度も講師に時間を注意喚起するという、微笑ましい事態になった。結局、2時間近い講演だったが、個人的には時間を感じないほど興味深かった。

 コロナ感染を予防するため、座席配置は一つ置きで、収容人数の半分ほどしか入場できない状態。なので、聴くには事前の申し込みが必要で、応募多数の場合は抽選になる。今回は、たまたま参加できたが、もう少し広い会場で多くの人に聴いてもらえたらと感じた。


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