文化逍遥。

良質な文化の紹介。

閑話休題

2014年11月30日 | 日記・エッセイ・コラム

秋から初冬へ向かう一コマ。

11月も今日で終り、OCNのブログサービスも終了。三年余りでアクセス数は14000ほど。けっこう読んでくれる人がいるもんだ。ホームページも引っ越して、今度はメモリーに余裕があるので音源や写真をふんだんに入れようと思っている。来春までにはリニューアルしたい。その都度こちらのブログでもお知らせします。

30年近く使っているFMチューナーの調子が悪い。諦めて、買い替えかなあ・・・とネットで調べてみると単体としてのFMチューナーは絶滅寸前だとわかった。インターネット経由で聴取するのがすでに一般的になっているらしい。
そこで、ためしにNHKのホームページからラジオ放送を流している「らじる・らじる」にアクセスしてラインでアンプにつないで聴いてみた。ノイズが無いのは良いけれど、明らかに音質は落ちる。チューナーから受信したのがCDの音質とするとネットからだとMP3という感じだ。ネットで流すために圧縮していると思われる。パソコン自体からファンの音なども出て気になるし、無くなる前に買うしかないか。アナログのFM放送自体が終了すれば、昔のアナログテレビのようにゴミになってしまう。なんか寂しいなあ。

そう言えば、最近「ハイレゾ」という言葉を耳にする。
少し調べてみたら、要するにハイサンプリングということだった。それなら、DATが出た頃からやっている。今ではビット数も上がっているので、デジタルが一般的になった頃よりもアナログに近い自然な音質で聴けるというわけだろう。逆に考えれば、アナログからデジタルに移行した時、ノイズが無くなったことに捉われて音質そのものは低下したことに気付いた人はほとんどいなかった、ということになる。
まあ、自分の耳を自慢するわけではないが、アナログの良さくらいはわかる。狭い部屋に嵩張るレコードやテープ類を保管するのは正直しんどい。が、まだ捨てる気にはならない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

FM放送より

2014年11月23日 | 音楽
先週20日(木)夜にNHK・FMで放送されたシギスヴァルト・クイケンの無伴奏チェロは素晴らしかった。
今年の夏、2014/7/6横浜青葉区にある「フィリア・ホール」でのライブ録音で、使われた楽器は普通のチェロではなくヴィオロンチェロ・ダ・スパッラという横に構えるものだという。
バッハの無伴奏チェロ組曲というと、音が見事に交差してゆく幾何学的な美しさを持っている一方で、どこか冷たい感じのする楽曲という印象もある。ところがこの日のクイケンの復元古楽器での演奏では、ところどころに無駄な倍音が出ているものの暖かみがあり、音に血の通った温もりを感じさせてくれるものだった。無伴奏チェロ組曲の1・3・6番が演奏され、後半ではさすがに疲れが出ているようだったが、今年70歳という年齢を感じさせない演奏は「お見事」というほかない。

それにしても、クラッシック音楽で曲調を表すのに「イロハ」を使うのはいい加減やめたらどうだろう。
「ト長調」ではなく「G」でいいではないか。「嬰ハ短調」なんて言われて分かる人がいるのかねえ・・・わたしなどは頭の中で「うーんと、C♯mか」と英語に直してからやっと理解している。わざわざ訳のわからない古い訳語を使うのは無益に近い。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歴史的日本映画―稲垣浩監督作品『無法松の一生』

2014年11月16日 | 映画
洋の東西を問わず好きな映画を一本選ぶとすれば、わたしは迷わずこの『無法松の一生』を選ぶ。



1943年制作のこの映画は、戦前に官憲から、戦後にはGHQから、2度の検閲により作品の切断つまりはカットを余儀なくされている。が、それでも映画そのものの「力」は失われていない。日常生活の奥にある豊かさを静かに表現し、観終わったあとに余韻が残る。
わたしは、この作品を映画館を含めて10回は観たが、そのたびにアングルが変わって見える。「こんな角度からの映像があったかなあ」と、観るたびに感じて飽きることがない。それだけの時間をかけて撮影されているのだろう。
撮影は宮川一夫、脚本は伊丹万作。いずれも、後の時代のお手本となった人たちだ。映画のバイブルとも言える作品。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歴史的日本映画-小津安二郎監督作品

2014年11月08日 | 映画
前回につづいて日本映画の名作の話で、今回は小津安二郎。



代表的な小津安二郎監督作品の『東京物語』を最初に観たのは20代の後半頃だったろうか、特に感動したわけでもなく、なぜこの作品が欧米では高く評価されるのか正直理解できなかった。が、今あらためて観直してみると、映像が実に繊細なことに気付いた。
アングルを時に大きく、時に小さく変えて家族の肖像を絶妙に切り取り、映像に変えてゆく。
家族の相克を通して社会の変化や世界観といったものを静かに表現してゆく手法は、腕のいい職人たちが集まって作り上げられたすぐれた作品に接しているような気にさせられる。

1936年から1953年に作られた古い映画作品を集めたものなので、映像にも音にもノイズが多く、見にくく聴きとりにくい個所も多い。それでも、著作権が切れた今では9枚組で2000円ほどで買えるので多くの人に味わってもらいたい作品集だ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歴史的日本映画-溝口健二監督作品

2014年11月02日 | 映画
最近、著作権の切れた名画がDVDで安く手に入るので、買ってきて少しずつ観ている。


上の画像は、クリックすると拡大して見られる。

先週観たのはは、溝口健二監督の『雨月物語』1953年白黒作品。もちろん、原作は上田秋成の怪異小説集よりの一話。

傑作だ。

とにかく手間暇がかかっている。
わたしは、コンピューターグラフィックスによる人工的な映像は嫌いだ。
濃い味付けに慣れてしまっていると60年以上前の白黒の映像は物足りないかもしれないが、多くの人に観てもらいたい作品のひとつだ。9枚セットで1980円で買えるが、この作品一枚だけでもそのくらいの価値は十分にあると感じている。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする