昨年、講談社文芸文庫より再刊された福永武彦の『死の島』上下二冊。この小説は1971年に上梓されているが、長く入手が困難だったもの。
文庫にも関わらず1冊1900円という単行本並みの値段で気軽には買えないし、けっして読みやすい本ではない。
それでも、これは価値のある作品だ、と思った
戦後の混乱の中で、深い傷を負った人間たちの魂の彷徨。
すぐれた構成力と絶妙な心理描写。
まるで、自らの血をインクにして書かれたような小説だ。
小説に限らず、作品を完成させるということは少なからず作者は血を流すものなのかもしれない。
しかし、傷を癒しながら時間をかけて完成させていくことが大切と思うが、どうだろう。
命を削って作品を完成させることは、現実をえぐる事は出来るかもしれないが、それを受け取る者に想像力を与えてくれないような気がする。命を縮めるように作り続けるより、作品を完成させる者も又受け取る者にも命を育むような本質を持った時間を与える。理想論かもしれないが、方向性としてはそれが肝要と思う。
ともあれ、このような作品が再び世に出て手に入りやすくなることは喜ばしい限りだ。
文庫にも関わらず1冊1900円という単行本並みの値段で気軽には買えないし、けっして読みやすい本ではない。
それでも、これは価値のある作品だ、と思った
戦後の混乱の中で、深い傷を負った人間たちの魂の彷徨。
すぐれた構成力と絶妙な心理描写。
まるで、自らの血をインクにして書かれたような小説だ。
小説に限らず、作品を完成させるということは少なからず作者は血を流すものなのかもしれない。
しかし、傷を癒しながら時間をかけて完成させていくことが大切と思うが、どうだろう。
命を削って作品を完成させることは、現実をえぐる事は出来るかもしれないが、それを受け取る者に想像力を与えてくれないような気がする。命を縮めるように作り続けるより、作品を完成させる者も又受け取る者にも命を育むような本質を持った時間を与える。理想論かもしれないが、方向性としてはそれが肝要と思う。
ともあれ、このような作品が再び世に出て手に入りやすくなることは喜ばしい限りだ。