文化逍遥。

良質な文化の紹介。

2018年フランス・ベルギー映画『再会の夏』

2020年01月31日 | 映画
 1/29(水)、千葉劇場にて。監督は、ジャン・ベッケル。英題は『The Red Collar』で、「Collar」は襟のことだが、ここでは勲章の頸飾(胸に付けるときのリボンのようなもの)を意味していると思われる。



 ストーリー自体に特筆することはない。設定された時代は、第1次世界大戦後の1919年で、場所がフランスでの片田舎。出征した恋人を待つ若い農婦と、その恋人であり一兵卒として戦場で心にも体にも傷を負った農夫、その元兵士を戦争が終わったにもかかわらず軍法会議にかけるべきかを判断するためにパリから派遣された少佐。それらの人間や村の人々を通して戦争と、それに伴う苦しみ、深い傷、異常な戦場が描かれる。
 第1次世界大戦では日本も参戦するが戦場からは遠く、第2次世界大戦の時のような傷跡が身近に残っているわけではないので実感が湧かないのが正直なところだ。しかし、ヨーロッパでは、それまでの常識では考えられないような状況に陥り、精神を病む兵士が続出した。戦車や重火器などが本格的に投入され、塹壕(Trench)という特殊な状況の中に兵士たちは長く置かれ心が蝕まれていったのだった。ちなみに、今ではおしゃれ着のようになっている「トレンチコート」は、この頃防寒・防水のために考案されたものだ。
 過去にも「西部戦線異常なし」などの作品があったが、自然豊かなフランスの田舎の農夫が召集され、塹壕戦という特殊な状況に置かれたことを通して、第1次世界大戦を知る一助にはなる作品、と感じた。

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わたしのレコード棚ーブルース81、Lightnin' Slim

2020年01月28日 | わたしのレコード棚
 ライトニン・スリム(Lightnin' Slim)は本名オーティス・ヒックス(Otis Hicks)、1913年セントルイスで生まれ、1974年にデトロイトで亡くなっている。しかし、活動したのは主にルイジアナで、同州の州都バトンルージュの「エクセロ」というレーベルに録音を多く残している。
 若い頃、10代には農場労働者としてルイジアナに移り、ギターは父親に教わったという。1946年頃に、バトンルージュに移り、小さなクラブなどで演奏活動を始めたらしい。そして、1954年には最初の録音の機会に恵まれている。1955年から1966年までエクセロに録音を続け、1960年代中頃にデトロイトに移ったという。その後、成功には恵まれない期間もあったが、1970年には再びエクセロと契約、ヨーロッパなどへのツアーにも参加した。

 下のLPは、Flyrightというイギリスのレーベルから出たものだが、録音はルイジアナでのものだ。ルイジアナは、ミシシッピーよりも南に位置するのだが、むしろ都会的なセンスを感じさせるミュージシャンも多い。あるいは、歴史的にフランス領だったりしたことや、海に面していることから海運による独自の文化が発展していたのかもしれない。ブルースマン達も、シカゴのブルースマンとは一味違った味わいがある。ルイジアナ州は湿地帯(Swamp)が多いので、スワンプ・ブルースなどとも呼ばれるが、後のロックに与えた影響も大きい。



 ライトニン・スリムのギター・スタイルは、タメのきいたシャッフルもあるが、8ビートよりの独特のノリを生み出している曲もあり、クラブなどで観客が体を動かして喜ぶのが想像される。
 それにしても、ルイジアナのブルースマン達は、芸名が面白いものが多い。ライトニン・スリムのレーベルメイトでもあり親友でもあったというスリム・ハーポはまだいいにしても、ロンサム・サンダウンになると「孤独な夕暮れ」あるいは「淋しい夕暮れ」というほどの意味なので、そんなんありか?と言いたくなる。他にも、エクセロには奇抜な芸名があったらしい。あるいは、レーベルのプロデューサーが個人的な好みで付けていたのかもしれない。それでも、まあそれぞれに実力があり人気もあったのだから音楽活動を続けられたわけだ。

 わたしも若い頃、某ライブハウスのマスターから「カントリー・ブルース齋藤」で行こう、と言われた事があったなあ。むろん、丁重にお断りした。

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わたしのレコード棚―ブルース80、Johnie Lewis

2020年01月25日 | わたしのレコード棚
 ほとんど知られていないブルースマンだが、ジョニー・ルイスJohnie Lewisという人がいる。詳しい事跡はわからないが、アラバマ州のモントゴメリーの南あたりの農家の生まれで、当初は農業を手伝っていたが、その後、塗装業などに従事しながら音楽活動をしていたらしい。結婚したのが1933年頃とインタビューで語っているので、そこから考えると生まれたのは1910年あたりだろうか。結婚後、ジョージアなどを経て、シカゴで生活したらしい。

 下のLPでは「Alabama Slide Guitar」という題名になっているが、アメリカ各地をかなり旅したということで、かなり多様な奏法を使っている。また、この人はかなり多作な人で、書き溜めた詩を自分のノート数冊にまとめていた、という。メロディーやギター奏法は伝統的なものを使って、自分の詩を載せて演奏する、というソングスターの一人だった、と言えるだろう。



 ARHOOLIEのLP1055。1970・1971年のシカゴでの録音6曲ずつ、計12曲を収録。内11曲がスライド奏法の曲。A面が1971年の録音だが、1曲目の「Hobo Blues」は「Poor boy long way from home」のメロディーで、ファリー・ルイスの影響を感じさせる。尚、この曲を演奏する姿や、ペンキを塗る仕事をしているところをYouTubeで見ることができる。同じく6曲目は「Sweet home Chicago」の替歌。B面5~6曲目は、テキサスのスタイルでWillie Jhonsonの影響が感じられる。

 余談だが、ジャケット写真を見てわかるてうように、ジョニー・ルイスはボトルネックを左手小指にはめている。ボトルネックをどの指にはめるか、それにも地域性がある。シカゴのブルースマンは、ほとんど小指にはめるが、デルタのブルースマン達は奏法の関係もあり薬指にはめる。テキサスではナイフスライドと言って、適当な太さのナイフや工具などを使う人が多い。それぞれに音質に違いがあり、コピーする上では大切な要素になる。

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Cメール架空請求詐欺

2020年01月21日 | 社会・経済
 auのショートメール・サービスである「Cメール」を悪用した架空請求がわたしの携帯に届いた。手口は実に巧妙で、あやうく引っかかるところだった。

 まず、宅配便の不在者カードを模した文面のCメールが届く。「荷物をお届けに伺いましたが、ご不在でした。下記のURLにアクセスしてください。」といった内容で、いかにもそれらしいURLだが、ここにアクセスすると有料サイトにつながるらしい。幸いにも、古い携帯なのでURLが途中で切れていた為に繋がらなかった。そこで、送られてきた番号に電話したが、すぐに切られてしまう。Cメールは、携帯電話の番号だけで送れるので、ランダムに、かつ大量にこのようなメールを送信しているようだ。折り返し電話すると、実際に使われている携帯電話だと確認され、数日後に架空請求メールが送られてくる。

 このCメール詐欺が来た時、タイミングが良くというか悪くというか、ちょうどネットで買い物をして荷物が届く予定があったのだった。落ち着いて考えれば、実際に宅配に来たのなら、不在者カードをポストに投函しておけばよいだけで、Cメールで連絡する必要などないわけだ。「なんだ、最近は紙の節約でメールを使うようになったのか?」と思い込まされてしまった。少し調べてみたところ、同様なメールが届いた人がかなりいるらしい。auでは、Cメールを切断するという対策を、希望する人には講じているらしい。すでに報道されているような手口、つまり手紙や葉書などでの架空請求にはある程度の知識があるので対応出来るが、いきなり新たな手口で来られると「相手の思う壺」にハマる。「支払いに応じなければ、法的手段に訴える・・」などと実際にメールされるとやはり、困惑するものだ。しかし、Cメールではこちらの住所も名前もわからないわけだから、無視すれば良いだけのことなのだった。

 詐欺師さん達も、これだけ巧妙な方法を考え出せるなら、ヴェンチャー企業でも起こして仕事すれば、まともな金を稼げるのではないか、と思うのだが、どうだろう。改めて痛感したことだが、不審なメールには安易に返信したり、指定されたURLにアクセスしたりしないようにしたいものだ。

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2019年イギリス映画『フィッシャーマンズ ソング』

2020年01月18日 | 映画
 1/16(木)、千葉劇場にて。監督は、クリス・フィギン。原題は「Fisherman's Friends」。





 イングランド南西部のコーンウォール地方にある港町ポート・アイザック。ケルトの伝統を色濃く残し、地元の漁師たちはボーイズバンドを世代を超えて受け継いできた。この映画は、そんなボーイズバンドがひょんなことからメジャーデビューに至るという実話を基にしたサクセスストーリーだ。楽しめる作品だが、ストーリーに安易さがあるようにも感じた。
 むしろ興味深かったのは、イングランドという限定された地域に今も残る地域性だった。映画の中で、ロンドンから来た音楽プロデューサーにバンドのメンバーである漁師が「川を超えたら別の国だ」と言い放つ場面がある。ロンドンから車で数時間のところに位置する場所なのだが、私が聞き取った限りでは、かなり古い英語やケルト訛りが話し言葉に含まれていた。実際、コーンウォール県とイングランド本島の境に当たるテーマー川を渡るシーンが象徴的に何度も出てくる。少し調べてみたところ、コーンウォールでは、ケルト語派の独特の言語があり、1777年頃には話す人がいなくなったと考えられていたが、実際には、細々と語り継がれ、今では学校で選択科目として学習されている、という。

 余談だが、原題の「Fisherman's Friends」は、実際のバンドの名前でもあるらしい。また、「Fisherman's Friends」という漁師向けの「のど飴」商品もあるらしく、邦題では「Fisherman’s Song」となった経緯もあるようだ。

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国立演芸場中席

2020年01月14日 | 落語
 1/12(土)、三宅坂の国立演芸場中席に行ってきた。寄席に行ったのも、久しぶりだった。前座から、真打まで約3時間半、たっぷりと聴いてきた。



 この日は、代演が多かった。柳好の代わりに桂歌蔵、神田紅の代わりに神田阿久鯉 。そして、文治はインフルエンザということで中席は全休で、代演は桂南なん。
 芸の世界では、「うまい人が適当に演るより、下手な人が一生懸命に演る方が面白い」、とも言われる。この日は、それを実感。誤解なきように強調しておくが、この日の出演者は、けっして下手な芸人さんたちではなく、中堅どころで、基礎ができている人がほとんどだ。しかし、普段テレビなどの出演がほとんど無い芸人さんばかりで、むしろそれが「チャレンジ精神」というか挑戦者としての初心を忘れていない芸人の心意気を感じさせてくれた。寄席に出る15分~20分のためにひたすら稽古し、気を入れて高座を勤める。その気迫が伝わってきて、何やら寄席芸に触れた喜びを感じた一日だった。

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JR御茶ノ水駅2020.1/7

2020年01月10日 | 日記・エッセイ・コラム
 買い物がてら、神田から御茶ノ水を回ってきた。



 御茶ノ水駅聖橋口を出て、少し神田方面に進んだ聖橋の上で携帯で撮影。天気が悪くて光が足らず、聖橋も工事中で、なかなか良い写真を撮れる場所もなかった。
 写真右側下には神田川が流れている。わずかに、写真下に見えているのは、総武線の線路。写真奥が新宿方向。
 上りホームと下ホームを繋ぐ古い跨線橋もいずれ無くなり、高い駅ビルが完成することになる。

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「ライト」ブルース・セッション2020.1/4

2020年01月07日 | ライブ
 1/4(土)、千葉のライブハウス「ライト」での今年初めてのブルース・セッションに参加してきた。

 この日、シールドケーブルをアンプに繋いでも音が出なかった。結果的に、ケーブルは断線していた。仕方なく、他の人のを借りる事になった。こういう事もあるんだねえ。30年近く使っているケーブルなので、使用中に踏みつけたり、捩じれたりして断線に至ることもあるので珍しい事ではないのだが、少しガッカリ。セッションライブをやっていると、いろいろな経験ができるので勉強にはなるが、全てがうまくいく方が少ないのは、結局は準備不足ということか。バンドで本格的なライブをやるには、予備のギターや備品を持っていかねばならず、そういう意味でも経費や時間がかかる。もし、本格的にバンドで活動するなら、車で機材を運ぶ必要も出てくるだろう。聞く人の知らないところで地道な準備を整えて、本番ではトラブルの無いようにしなければならない、と改めて感じた。
 余談だが、借りたのはケーブルではなくワイヤレスシステムだった。以前のものに比べ小型化して使いやすくなっており、動きやすいのでとても便利だった。値段を聞いたら1万数千円とのこと。欲しくなったが、やはり電池切れや、精密機器なので故障等の心配がある。

 まあ、それはそれとして演奏曲は以下のとおり。

1.Dust My Broom
2.Stranger Blues

3.Take A Little Walk With Me
4.夜明け前の静けさの中で(オリジナル)

その他、他の人のバックを4曲。

 全く、面識のない人と一緒に演奏することも多く、スリルがあり勉強にはなる。が、お互いに探り合う感じで音を出していると、まとまらなくなる。まあ、それもよい経験で、少しずつ慣れてまとまった演奏ができるようになれば良いわけだ。元々カントリーブルースで、一人での演奏を前提に練習してきたので、バンドでの演奏経験が不足していて他の人に迷惑をかけているのではないか、と懸念しつつ参加している。

 毎月第一土曜日に行われるので、次回は2/1(土)の開催予定。

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「Blues Special」ピックアップ変更

2020年01月03日 | ギター
 去年の秋に、7980円で買った「Blues Special」と命名したES-175タイプのギター。ピックアップを元から付いていたものを外し、フロントだけにジョー・バーデンを付けていた。余談だが、ギブソンのES-175はスケールが俗に言う「ギブソン スケール」で24.75インチ、このギターはロングスケールで25.5インチになっている。



 暫く使ってみたが、この状態だと6弦のG辺りでかなりフィードバックを起こしやすいことがわかった。ジョー・バーデンのピックアップは、少しトレブリーだが、ノイズがほとんど出ないので、一人で弾き語りなどをやるときには適しているものだった。しかしピックアップ自体が軽いためか、ホロウボディのギターに付けると、フィードバックを起こしやすい傾向にあるようだ。あるいは、このギターの特性というか弱点なのかもしれない。B・Bキングのモデルである、ギブソンの「ルシール」は、セミアコ構造だが、Fホールが無い。これは、フィードバックを防ぐ対策ともいわれている。レスポールがソリッドのギターにこだわったのもその辺りに原因があるのかもしれない。

 と、いうわけで、ピックアップを取りあえず元から付いていたものに戻すことにした。



 元々は、カヴァーが付いていなかったが、サウンドハウスでサイズの合う安い物を探して購入し装着した。この方が、指に引っかからず弾きやすい。ハムバッカーの割には少しノイズが多いかな、と感じるが、音質は悪くない。フィードバックにつては、今度は6弦のA辺りにピ-クが移ったようだ。が、交換前に比べ多少の減衰効果はあるように感じる。高品質のピックアップでは、カヴァーとピックアップ本体の隙間にワックスを浸潤させてフィードバックを防いでいるものもあるが、個人的にはそこまでの大音量で音を出すことも、無いだろう、と感じている。


 これが、購入時の写真。

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