文化逍遥。

良質な文化の紹介。

2018年イタリア映画『トスカーナの幸せレシピ』

2019年10月29日 | 映画
 10/24(木)、千葉劇場にて。監督・脚本は、フランチェスコ・ファラスキー。原題は「Quanto Basta」で、少し調べてみたところ、直訳で「どのくらい(の量)で十分なのか」になるらしい。料理の話なので、主人公がこだわる調味料の分量と思われるが、師匠役が何度も説明することが多いので「何回言えばわかるのか」という意味合いを兼ねているのかもしれない。





 自閉症の治療施設で暮らす、アスペルガー症候群の青年グイド。彼は対人関係に問題を抱えているが、味覚は天才的で食べた料理の材料を正確に言い当てることが出来る。そんな施設に、料理の腕は一流だが粗暴なところがあり傷害事件を起こしたシェフのアルトゥーロが更生をかねた罰としてとして料理を教えるためにやってくる・・・。

 広い意味での「広汎性発達障害」の人達は、ひとつのことに「こだわり」が強いために周囲の理解を得られず、結果社会から隔絶されたところで生活する人も多い。しかし、その「こだわり」ゆえに、時に特殊な分野で独創的な活動をする人達もいる。歴史上の「天才」と呼ばれる人たちの中にも、今日では「広汎性発達障害」だったと考えられている人も多い。たとえば、物理学者のアインシュタインや音楽家のモーツァルトなどもそうではなかったかと言われている。
 この作品で描かれている青年グイドも様々な問題を起こしながらも周囲の人々に恵まれ、理解を得て独り立ち出来るようになる設定になっている。少し、楽観が過ぎるかな、という印象も捨てきれない。が、イタリア映画らしいほのぼのとした作品で、イタリア中部の美しい風景と、料理にこだわるイタリアの人達の気持ちが映像に現れていた。

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大雨でした

2019年10月26日 | 日記・エッセイ・コラム
 昨日10/25(金)は、東海上を進む台風21号から入る湿った風が低気圧を刺激し、千葉県など太平洋側で大雨が降った。特にここ千葉は、先月からの台風被害と相まって「甚大」と言うべき被災状況だ。
 昨日の半日で10月ひと月分の雨が降ったとも云われ、千葉市内でも土砂崩れなどで家が崩壊し亡くなった方もいる。県内全体では、現時点で8人死亡2人が行方不明、となっている。千葉市中心部にある我が家でも、もっとも雨の激しかった午後2時頃、家が揺れているのではないか、と感じるほどの激しい雨だった。その時間、気象庁の発表では一時間に80ミリほど降ったらしい。我が家は標高18メートル程の少し高台にあるので浸水するようなことは無かったが、市内を流れる「都川」では、越水した所もあったという。交通機関も、千葉県南部ではかなり電車が止まり、公共の施設で夜を明かした人、あるいは成田空港でも移動できずに空港内で過ごした人も多かったらしい。農作物の被害は、想像を絶するものだろう。いずれ、スーパーなどで並ぶ野菜や生花は大きく値上がりするだろう。

 過去に経験したことがない災害が続き、自分も含めて「危機意識が低かった」ことを反省せざるを得ない。

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2016年イギリス映画『エセルとアーネスト』

2019年10月24日 | 映画
 10/19(土)、岩波ホールにて。原作は絵本作家のレイモンド・ブリックス、監督ロジャー・メインウッド、音楽カール・デイヴィス、エンディング曲ポール・マッカートニー。





 アニメ映画だが、冒頭は年老いた原作者のレイモンド・ブリックスが一人台所でミルクティーを淹れて飲み始める姿が映し出される。物語は、原作者の父母が出会う1928年ロンドンから始まる。牛乳配達を生業とするアーネスト(Ernest)とそれを支える妻のエセル(Ethel)、第二次世界大戦をはさみ激動の時代を必死で生き抜き、二人が無くなる1971年まで、市井の人々を静かに描いた佳作。全体にほのぼのとしたタッチの画風で描かれるが、最後に年老いたエセルやアーネストが亡くなり、魂の抜けた死体になった描写だけはリアルで現実世界に引き戻される。思わず涙を誘われ、こんなアニメの描き方もあるのか、と感心させられた。

 個人的には、こういう静かに庶民生活を描いた映画がとても好きで、貴重だと思っている。時間と交通費を掛けても、観に行って良かった、と感じさせてくれた作品だった。

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JR御茶ノ水駅、2019/10/19

2019年10月21日 | まち歩き
 10/19(土)、久々に御茶ノ水に行ってきた。駅の改修工事はだいぶ進み、かなりバリアフリー化が進んでいた。



 夕方4時近く、お茶の水橋上から聖橋方向を携帯で撮影。曇っていたので、光が少し足りない感じ。写真手前が新宿方向、奥が東京方向で、左下が神田川。
 
 以前は、お茶の水橋口から入るとホームへ降りる階段があったが、今はすでに撤去されている。改札を抜けて、そのまま直進して新たに作られた階段を下りるようになっていて、エレベーターも使えるようになった。この周辺は病院も多く、エレベーターがあるだけでもずいぶん助かる人も多いだろう。学生時代から馴染んだ駅が変るのは寂しいが、これも時の流れだ。いずれ、この上に高い駅ビルが完成する予定だが、見てのとおりで、まだしばらく時間がかかりそうだ。

 この日は、岩波ホールで映画を観たが、それについてはページを改めて書くことにする。

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ES-175のようなものーさらにその後

2019年10月18日 | ギター
 先月、税込7980円で買ったES-175タイプのギター、パーツの交換等リペア作業が終わり音が出る状態になった。


 こちらが購入時の写真。


 改良後の写真。ピック・アップ交換、ピック・ガード取り付け、ナットの削り直し、ブリッジの調整、配線交換、などを施した。すべての作業は自分でやり、ほとんどのパーツを家にあったもので済ませた。

 当初は、元のピック・アップをそのまま使うつもりだったが、いろいろ調整しているうちにボディがしっかり鳴ることを感じて、使わずに所蔵していたジョー・バーデンのPUを載せてみたくなった。ピック・アップはフロントだけでにして、ヴォリュームとトーンだけのシンプルな構成にした。切り換えスウィッチの穴はテープでふさいである。また、リアPUの取り付け穴はアクリル板で塞ぎ、ワンポイントにイニシャルを入れてみた。

 ギター本体も名前がないとかわいそうなので「Blues Special」と命名。

 ジョー・バーデンのPUは、ノイズが少なくアコースティックな感じのする良いものだが、ギター本体の鳴りをそのまま拾うので良くも悪くもギターの品質がそのまま出てしまう。載せるギター次第、というわけで、逆にいえばギターを選ぶピックアップ、とも云える。さらにバーポールピースの特質として、高音の出方に少し癖があり、トーンをうまく調整する必要もある。ともあれ、しばらくはこのセットで使ってみるつもりだ。

 なにしろ安かったので、日々のスケール練習用になればそれで十分、使っているうちに不具合が生じて修理に出すようなら処分しても良い、と、買った時は考えていた。専門の修理工房に出せば、本体の価格より修理費用の方が高くなるのは必至なのだ。が、しっかり調整して質の高いPUを載せたら、ライブや録音などでも十分に使えるギターになった。ちょっと大げさだが、まるで天から降ってきたようなギターだ。安く、ほとんどタダと言ってもいい値段で手に入ったが、他のギターと同じく大切に扱うことにしたい。

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落語・講談二人会

2019年10月15日 | 落語
 台風19号が来る前日の10/11(木)、わたしは千葉市生涯学習センター2階のホールで午後2時半より行われた「落語・講談二人会」に行っていた。台風の被害は、日を追うごとに増え続けている。新聞の記事等によると、15日朝現在で、被害状況は以下のとおり。11県で死者56人、行方不明者16人。各地で決壊した堤防は調査の結果、7県の37河川52カ所に上っている。流域が広く水に漬かり、住宅の床上浸水が1975棟、床下浸水は1729棟停電や断水も各地で続いている。
 被災者の生活への影響は長期化しそうで、国難と言っても過言ではない状況になっている。こんなときにこそ、本当の芸を持った芸人たちが活躍して欲しいのだが、テレビでは「タレント」と呼ばれる人達がはしゃいでいるばかりだ。


 さて、千葉市生涯学習センターのホールは300席ほどの大きさだが、台風が近づいていた為か客の入りは6割ほど。ゆったりした感じで聴けた。



 出演は、落語が三遊亭円馬、講談が神田松鯉(しょうり)。ベテラン二人が交互に休憩をはさんで2席ずつ、たっぷり聴かせてくれた。こういった口演は多く下座さんは伴わず、録音したもので出囃子を済ますことが多いのだが、この日はリーフレット右下にあるように「稲葉千秋社中」がみごとな出囃子を聴かせてくれたし、前座さんもなかなかの熱演だった。当日券で2500円だが、予約してあったので2000円で入れた。久々に、話芸を交通費も時間もかからない自宅近くでゆっくり味わえて随分得した気分になった。ここで、このような会が開催されたのは三遊亭円馬が千葉でマニア向けの「落語教室」の教師を務めている関係らしい。従って、会場の受付や整理などはその教室で指導を受けている生徒さん達が勤めていたようだ。観客もその関連の人が多かったようで、演者もリラックスして語っていた。

 出し物は、三遊亭円馬が「時そば」と「お見立て」。
 神田松鯉が、源平盛衰記より「那須与一」と「河内山宗春」。

 円馬に関しては、テレビで見たことがあるが実際の高座を聴くのは初めてだった。テレビでは、さほどうまい人だとは思わなかったが、時間制限の無いホールでの落語では、十分な間合いが取れる為か、仕草もうまく実に味わいがありうまい人だなあ、と感じた。
 松鯉は何度も高座に接している。「人間国宝」の指定を受け、ますます熟練の話芸に磨きがかかった感じ。本来、このような地方でのささやかな口演では、「手抜き」とまではいかずとも、軽く流したりする人も多いものだが、この人に関しては「手抜き」を感じたことがない。そこがすごいところでもあり、見習いたいところでもある。

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台風19号

2019年10月14日 | 日記・エッセイ・コラム
 12日から13日にかけて、強力で大型の台風19号が関東から東北地方を通過。大きな被害をもたらした。
 こちら千葉市も40メートルの強風を記録したが、先月の15号ほどではなく、大きな被害は無かった。ただし、隣の市原市では突風で軽トラックが横転し一人の方が亡くなっている。
 大雨による被害が大きかったのは主に山間部で、湿った南風が山にぶつかり記録的な大雨を降らせたという。河川の氾濫等による水害で、共同通信の集計によると十一県で三十五人が死亡、十七人が行方不明になっている。温暖化により、さらなる台風の大型化・強力化も予想されている。災害に備えた町づくりは「住みやすさ」と相容れない、とも云われている。個人的な備えにも限界があるだろう。総合的に判断してゆく必要がある。

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自転車サドル交換

2019年10月11日 | 日記・エッセイ・コラム
 痔主になったので、自転車のサドルをお尻に優しそうなものに交換した。



 肛門が当たる部分に凹みがあり、中のクッションも特殊なものが入っているらしい。値段は、税込みで3400円ほど。真ん中前方に穴があいているのは、男性の前立腺に負担をかけない為だろうか。自分も、そろそろ前立腺肥大に留意しなければならない年齢になっている。少し乗ってみた感じでは、さほど変わるとは思えないが、まあ、しばらく使ってみよう。

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わたしのレコード棚―David Grisman

2019年10月08日 | わたしのレコード棚
 デヴィド・グリスマン(David Grisman)は、 1945年5月23日、アメリカ合衆国ニュージャージー州ハッケンサック出身の優れたフラット・マンドリン奏者。基本的にはブルーグラス系の演奏家と思われるが、ジャンルを超えて演奏・作曲さらにプロデュースまでこなせる多才な人だ。さらに、1990年代初頭にはアコースティックやインストゥルメンタルミュージックの普及の為に、自ら Acoustic Disc record labelを立ち上げている。


 ブルーグラスの代表的演奏者との共演アルバム、1986年のROUNDERのCD0069。ギターにTony Rice、ヴァイオリンにVasser Clements、バンジョーにBill Keithなど。


 デヴィド・グリスマンの立ち上げた「 Acoustic Disc label」のCDで、グリスマン自身が参加したセッションアルバムから抜粋したオムニバス・アルバム。主な参加ミュージシャンは、Jerry Garcia,Stephane Grappelli,Peter Rowan,Vasser Clements,Tony Rice,Bonnie Raittなど。特にBonnie Raittは、いつになく美しい声でトラッドな曲を歌い上げていて印象深い。アコーステックな音楽を様々な角度からアプローチし、フラット・マンドリンという楽器の奥深さを聴かせてくれる。

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ES-175のようなものーその後

2019年10月04日 | ギター
 前回の続きで、先月買ったES-175タイプのギターのはなし。その後の、リペア―状況。


 サーキットを外したところ。ボディ内部には、かなりホコリが溜まっており、きれいに掃除した。ホコリの溜まり具合から見て、制作されてから相当な歳月が経過しているように感じられた。おそらく、15年以上は経っているのではないだろうか。


 ナットの拡大写真。溝を掘る形で角度が付けられている。これでは、音が明瞭に出ない。ナットそのものを削り、弦の太さに合わせて溝を削り直す必要がある。


 ヴォリュームポットから切り替えスウィッチへの配線。普通のコードが使われているが、ここには本来、アースに繋がれた皮膜でカヴァーされたシールド・コードを使わなければならないところだ。これでは、ノイズを拾うアンテナになってしまう。ホロウボディの配線に不慣れな人がやったとしか思えないが、ハンダ付けはきれいに仕上がっている。そこが、不思議なところでもある。


 ピックアップは、メーカー名の刻印などは無かったが、けっこうしっかりと作られている。なので、カヴァーをつけてそのまま利用することにした。その他、リペアに必要なシールド・コードなどをサウンド・ハウスに注文して送ってもらったので、来週あたり組み込みをして、パーツの調整をしたい。

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ES-175のようなもの

2019年10月01日 | ギター
 ギブソンのES-175タイプのギターをリサイクルショップで見つけてしまい、結局買った。税込7980円。あまりに安いので、代金を支払い終えるまで、店員が「すいません、表示が一桁間違ってました」と言うのではないかと半信半疑。が、10000円出して、ちゃんと2020円お釣りがきた。



 制作した工房名などいっさい記載がないので、出所不明。結論から言って、いわゆるジャンク品ということになるだろう。
 9/28(土)に見つけて、値段を間違えているか、あるいは決定的な不具合があるか、どちらかだろう、と思った。つまり、使い物にならないギターなのだろう、そうでなければこの値段はおかしい。そこで自分でチェックしてみたくなり、翌日9/29にクリップチューナーを持参して、再び出かけていった。結果、ギター本体に、たとえばフレット音痴など、楽器としての不具合はなく、パーツと電装系に問題があるだけのものだった。
 具体的には、ナットやブリッジのセットが悪く、シタールのようなビヨヨ~ンという音になっていること。あと、ひどいノイズが出ている。おそらく、配線にミスがあると思われる。しかし、ピック・アップの音質そのものは悪くない。いずれも、家にある工具やパーツを使って自分で改善できるので、結局手が出てしまった。店で、アンプを通して試奏した人がいれば、おそらく「安くても使い物にならない」と感じたことだろう。楽器店なら、専門の修理工房に出してパーツ等を交換、配線修理して10万円近い値で店頭に並べたのではないだろうか。
 スチール弦のギターはフレットの減りが早く、フレット交換には50000円ほどかかる。今日から消費税が10%なので、税金だけで5000円だ。つまり、安い中古ギターで平素練習して、ライブや録音の時には使い込んだギターで演奏する。これが安上がり、という目論見。


 それにしても、このギター、どこで制作されたのだろう。ボディやネックはしっかり作られており、糸巻きはゴトー製だ。材は、ネックはマホガニーで指盤はローズ、あとは推定になるがボディ材は合板だろう。サイドはマホガニーに見える、バックはおそらくメイプル合板、トップはよくわからない、。ボディやヘッドに多少の傷はあるが、指盤やフレットはほとんど消耗していない。テイルピース下には「魂柱」。
 カスタムショップにオーダーされたものにしては、作りが雑なところがあり、ナットや電装系に問題があるのが、どう考えても不思議なところ。あるいは、ギター制作学校の生徒が、勉強のために作ったものなのか。トップもバックもきれいなアーチになっているので、専用の工具かプレス機がなければ制作できない。さらに、色も深みのあるシースルー・ブルーで、こちらも専門知識が必要だろう。

 さて、はやくリペア作業をやりたいところだが、まだ暑いのでハンダ付け作業などをすると汗だくになりそうだ。もう少し涼しくなったらゆっくり改造することにしたい。

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