文化逍遥。

良質な文化の紹介。

野村 しづ一著『明治の風』

2021年10月31日 | 本と雑誌
 図書館の電子書籍貸出サービスで読んだ本から1冊。



 野村しづ(ウ冠に赤)一(シヅイチ)著『明治の風』。出版は滋賀県彦根市にあるサンライズ出版というところで、発刊は2009年12月。著者は、昭和11年6月兵庫県川西市生まれで、昭和19年3月滋賀県東近江市大澤町の父祖の地へ転居。定年退職後に民俗学の研究と共に、郷土の史実に基づいた小説を執筆。滋賀民俗学会理事、八日市郷土文化研究会理事などを務める滋賀県の郷土史家でもある。
 本書は、明治から大正時代を生き抜いた一人の男の生涯を描いた小説。主人公は著者の祖父である「野村しづか(ウ冠に赤)」で、明治の有名人との交流などフィクションを交え、スピード感のある読みやすい作品に仕上がっている。また、西欧諸国の侵略に翻弄される当時のアジアの混乱の中に生きる人々の姿も、興味深く描いている。ただ、主人公の人格が出来すぎで、出会いに恵まれすぎているところが気になると言えばいえる。
 地方の出版社から、ほとんど自費出版に近い形で刊行されたもののようだが、十分読み応えのある作品と感じた。ちなみに、著者が生まれたのは祖父「しづか」の死後だが、その名前は「祖父の最初の孫」という意味と言う。

 プロットというか、小説の構成をネットからコピーしたので、それを参考までに下に張り付けておく。おおよそのストーリーは想像できると思う。

明治のあけぼの編
 維新のあとさき
 矢継ぎ早の改革 ほか

立志・東京編
 明治十七年の東京
 東京での出会いと学び ほか

故郷での生活編
 村役場での仕事
 愛妻との暮らし ほか

台湾編
 新天地
 山地への出動 ほか

大連・旅順編
 新任地の大連
 再び後藤新平と ほか

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荒屋敷貝塚2021/10/23

2021年10月27日 | 考古・エッセイ
 急に気温が下がって、なんとなく冬を感じるようになってきた。墓参の帰りに、千葉市貝塚町にある荒屋敷貝塚に寄りスマホで何枚か写真を撮ってきた。


 町名のとおりで、この周辺には貝塚が多く、特別史跡の「加曾利貝塚」まで直線で1キロメートルほど。ここ荒屋敷貝塚も国の史跡になっている。


 この日のように穏やかで天気の良い日にここに来ると、気持ちが落ち着きホッとする。ここは、縄文中期の遺跡だが、さらに深い層にはそれ以前に人が暮らしていた痕跡がみられるという。太古の景色を彷彿とさせる、そんな光景が心をなごませてくれるのかもしれない。高速道路が、この下をトンネルで通っている。この史跡を保存するために尽力した人達の働きかけにより保存ができたという。史跡の保存に尽力してくれた先人たちに感謝したい。


 貝塚は、丸木舟で貝を運んだと推測され、千葉市内の貝塚には全て水系がある。ここは葭川の水源地のひとつで、写真では草むらにしか見えないが、今は調整池になっている。荒屋敷貝塚は、この右奥にあるが、周辺には20か所以上の貝塚が確認されており、以前にも書いたがここを発掘すれば間違いなく遺物が出ると言われている。今はススキが風になびいているだけだ。ちなみに、この周辺の貝塚は全て葭川水系に属している。が、ここから発する川の流れは、今は変えられていて千葉市の中心部手前で都川に注いでいる。

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2021年日本映画『浜の朝日の嘘つきどもと』

2021年10月24日 | 映画
 10/21(木)、千葉劇場にて。
 この作品は、福島中央テレビ開局50周年記念作品として2020年10月に放送された同タイトルのテレビドラマ版の前日までの話になっている。つまり、時間的には逆行する話の内容、という訳だ。実は、そのテレビドラマは千葉テレビで放映されており、わたしも観ている。フィルム撮影されたと思われるドラマで、なかなか良いものだった。同じ様に感じた人が千葉に多かったのか、この日は予想以上に観客が多かった。監督・脚本は、タナダユキ。


 100年近く前から実在する福島県の映画館「朝日座」。時代の流れと震災の影響により、支配人の森田保造はすでに閉館の決意を固めていた。そこを舞台に、館の存続を亡き恩師から遺言され奔走する女性と、翻弄される館主や周囲の人々を描く作品。
 映画を愛する人々と、復興を目指して地元経済を活性化させようとする人々、そして、厳しい現実、感情的反発。茂木莉子と名乗り、映画館をつぶさないために活動する浜野あさひ。彼女にも震災を経て辛い記憶があったのだった。

 福島の人々の複雑な思いが表れていて、観て損はない作品と感じた。ただ、ハッキリ言って無駄なセリフが多いようにも感じた。支配人役の柳家喬太郎は、標準語どころか江戸弁だ。まあ、東京生まれの噺家なので「福島の訛りを出せ」と言っても無理かもしれないが、茂木莉子役の高畑充希なども訛りの無いキレイすぎる標準語で、町の人々役に地元の人に出演してもらうなど、もう少し方言が出ても良かったように思った。

 この続編となるドラマでは、テーマが少し変わり「映画に生きようとする人達の織りなす人間模様」が描かれる。登場する人物達のキャラクターも少し変化している。そちらも、編集し直して映画作品として公開しても良いのではないだろうか。

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千葉競輪ドーム2021/10

2021年10月21日 | 日記・エッセイ・コラム
 我が家から歩いて数分のところにある、建て替え中の千葉競輪の近況撮影。ドーム自体の工事は、ほぼ終わっているようだ。命名権を販売したらしく「チップスタードーム」となっている。完成しても、コロナ感染が終息するまでは入場者数を制限せざるを得ないだろう。








 後方に見える解体中・・というか破壊中の建物が、昔の競輪場の観覧席。

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岩屋古墳

2021年10月17日 | 考古・エッセイ
 10/14(木)、例によって友人夫妻のドライブに便乗。この日は、千葉県の成田市と印旛郡栄町にまたがる「房総風土記の丘」周辺。予備知識があまりなかったのと、時間の都合もあり、あまり多くは回れなかったが、岩屋古墳という全国でも指折りの大きい方形古墳を訪れることが出来た。


一辺が78メートルほどの四角い古墳で、3段に築かれており高さは13メートルある。かなり強い勢力を持った地方豪族が存在していたことが想像される。また、この近くには「龍角寺古墳群」という、前方後円墳を含む多数の古墳が存在する。




墓室の入り口。当然ながら、施錠されている。


岩屋古墳近くにある坂田ケ池。かなり施設、設備が整い、釣りなども楽しめる。

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玉前神社

2021年10月14日 | 旅行記
 10/12(火)、例によって友人夫妻の車に便乗して、外房方面に行ってきた。天気はあまりよくなかったが、曇り空の海岸も又独特の風情があって良いものだ。


 千葉県の上総一ノ宮、玉前(たまさき)神社。



 いすみ市大原の海水浴場、日在海岸。

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京成電鉄千葉線「西登戸」駅

2021年10月11日 | 日記・エッセイ・コラム
 極めてローカルな話題。
 東京の東部から千葉県の西部を走る京成電鉄。我が家から最も近いのは、京成千葉線の「西登戸(にしのぶと)」という駅で、歩いて20分ほどのところにある。今まで、上りのホーム側にしか改札口が無かったが、最近改修が始まり、先月下旬から下りのホームにも新たに改札口が出来た。


 新たにできた改札口。写真の右奥が上り方面で、津田沼から上野、さらには都営地下鉄浅草線や京浜急行にもつながっている。左前側が千葉方面。今までは、こちらから下りの千葉方面に向かうホームに出るには、一度写真の左に写っている地下道を通り、上りホームにある改札を入ってさらに跨線橋を渡らなければならなかった。


 ここは京成の駅の中でも、1日の乗降客数が最も少ない駅と言われる。周囲は閑静な住宅街で、駅周辺にコンビニなどの商店もほとんどない。が、わたしの好きな駅の風景だ。
 

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犬吠埼周辺

2021年10月07日 | 旅行記
 10/6(水)、友人夫妻がドライブに誘ってくれたので、千葉県銚子市の犬吠埼などに行ってきた。少し暑かったが、青い海の上にぽっかりと浮かぶ雲の形が、コロナ禍で落ち込みがちな気分を和らげてくれた。








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2019年中国映画『大地と白い雲』

2021年10月03日 | 映画
 9/28(火)、千葉劇場にて。原作は漠月(モー・ユエ)の小説『放羊的女人』。監督は王瑞(ワン・ルイ)。原題は『白云之下』で「白雲のした」の意味だろう。言語は基本的にはモンゴル語だが、時に中国語も入る。





 内モンゴルのフルンボイル草原に暮らす一組の夫婦。原風景ともいえる草原の中で羊を放牧し、先祖からの生活を守ろうとする妻サロール。近代化の波に押され行動に落ち着きが無く、都市に出たがる夫チョクト。そんな二人の葛藤を描いた作品。

 撮影には10年の歳月をかけたという労作で、自然の中で生きる人間の姿と、迫りくる都市化の光景が対比され、優れた映像を通して、改めて人のあり方を問うかのような作品になっている。モンゴルの民族音楽も効果的に使われ、特に妻サロール役のタナは歌手ということで映画の終わり近くに独唱される民謡は胸を打つ。一方で、夫チョクト役のジリムトゥは遊牧民の家庭で育った俳優で、馬を乗りこなすシーンは迫力があった。この映画、中国政府の同化政策に対する批判が背後に隠れているようにも感じられた。

 映画を娯楽として楽しみたい人には薦められないが、映画を通して多様な文化に触れ理解したい人には薦められる佳作。

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