文化逍遥。

良質な文化の紹介。

縄文の水場ー東寺山調整池

2020年05月28日 | 考古・エッセイ
 コロナウィルスの感染拡大により出ていた「緊急事態宣言」も5/26で全国解除になった。が、旧に復すのは段階的で、いましばらく様子を見るしかない。というわけで、相変わらず、運動がてら自転車で周辺の遺跡などを巡っている。


 千葉市東寺山調整池。豪雨の時などに雨水を一時的にここに溜めて、川が氾濫しないようにするための貯水池として利用されている場所。ここまで、左端に写り込んでいる自転車で家から15分くらい。
 葭川源流の水源地の一つで、周囲は遊歩道になっている。写真の右奥、少し高くなっている台地の奥には「東寺山貝塚」など複数の遺跡があり、やはり、ここまで丸木舟で貝などを運び、あるいは、生活用水を調達したと考えられる。


 写真からは景色しか見えない。が、鳥やカエルの鳴き声が聞こえ、草花が咲き、樹木から出る清涼な空気を感じ、自分が自然の一部であり、歴史の上に立っていることを実感できる。ここは、そんな場所だ。

 しかし、今回のコロナウィルスの蔓延で外出に制限がかかり、自分の家の近くに自然や歴史を感じられる場所が残っている有難さを、しみじみと感じた。外に出てリフレッシュできる場所があると無いでは精神的負荷がずいぶん違う。

 余談だが、若い頃仕事で東京を経めぐり、千葉から来たというと、ずいぶん馬鹿にされ、時に差別的な発言を投げかけられたりした。要するに、そういった発言を平気でする人たちは「根無し草」で、精神的に不安定だったのだ。今は、同情さえも感じる。実際、東京では自粛要請が出て以降、近隣のトラブルが多発、殺人事件までおきているという。狭い空間で「ステイホーム」を続けていれば、苛立ちがつのり、そのエネルギーが他者に向かってしまう。最近話題になっている「自粛警察」などといった異常な行動も、閉鎖空間に閉じ込められることによる精神的なストレスが原因のひとつなのかもしれない。このまま、コロナウィルスの感染が終息してくれることを願うばかりだ。

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作草部遺跡

2020年05月25日 | 考古・エッセイ
 我が家から歩いて7~8分のところに「作草部(さくさべ)神社」という古い社がある。境内を歩いていると、時に古い貝を見つけることがあり、その中には「イボキサゴ」という現代では食べない貝もあったりするので、ひょっとしたら貝塚ではないかと思っていた。そこで、インターネットで調べてみたところ、「千葉県文化財地図」というものに「作草部遺跡」として掲載されていることが分かった。この周辺からは縄文から平安時代までの遺跡がかなり確認されている。が、私有地にあるものに関しては、簡単な調査をした後地主に返還されたようで、今では宅地などになってしまっている場所も多い。その中でも「作草部遺跡」は、神社あるいは公園なので、今でも貝塚の一部を観察できる。


 作草部神社。左端に案内板が見え、下の写真はその一部を大きくとったもの。周辺の遺跡については書かれているが、当の「作草部遺跡」に関しては、書かれていないのが残念。



 境内には、こんな感じで貝が落ちているが、これだけだと誰かが捨てたものとしか見えない。


 こちらは、上の写真から少し離れたところだが、かなりな量の貝が確認できる。下の写真は、拡大して撮ったもの。白く見えているのが貝殻で、二枚貝が多いようだ。



 こちらは、作草部神社横にある「都賀公園」。平安時代の焼物である土師器(はじき)などが、ここから出土している。


 作草部神社から坂を下って、数分歩いたところにある葭川の支流。写真奥が下流方向で、現在では千葉市中心部を流れ下り、河口近くで都川と合流して東京湾に至る。しかし、縄文期は気候が温暖で、海が今より内陸に入り込んでいて川の流れも今とはかなり違っていたと考えられる。この辺りも、わたしが子供の頃は、この様な護岸工事はされておらず、周辺も湿地帯のようになっていた。フナ釣りなども出来たものだった。縄文期には、この川を利用して海から丸木舟で貝を運んだと考えられる。


 こちらは、上流方向。この先、水源地近くには、レッサーパンダの「風太」が立ち上がるとかで、一時話題になった「千葉市動物公園」がある。実は、そこも石器時代からの遺跡があり、考古学的には重要な場所。

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縄文の水場ー貝塚町調整池

2020年05月21日 | 考古・エッセイ
 先週5/15(金)自転車で墓参に行ったので、途中にある「縄文時代の水場」と考えられている場所の写真を携帯で撮ってきた。撮影場所まで、自転車で20分くらい。



 千葉市内にある貝塚は、ほぼ例外なく川の近くの丘のようになっている台地上にある。川を利用して海から丸木舟で貝を運び、土器で煮たりして加工したと考えられている。上の写真は、千葉市若葉区貝塚町にあり、現在は調整池となっている場所。谷底のような地形で、写真左端には水が枯れない場所もある。つまりは、自然の井戸とも言える所で、川の源となり「葭川(よしがわ)」という川に縄文期は合流していた。しかし、今は流れが変わっていて、従って水系も変化している。
 ここから特別史跡の「加曾利貝塚」までは直線で2キロメートル弱だが、加曾利貝塚は「坂月川(さかづきがわ)」という川を利用しており、都川水系になる。4/17のこのブログに書いた、国指定の史跡「荒屋敷貝塚」は、写真右上の方向にある。その他にも、大小20近くの貝塚がこの周辺に確認されていて、縄文期には、ここまで舟で貝を運び、あるいは、水を汲んだりしたと考えられている。

 この辺りは、貝塚町という地名のとおりで、何処を掘っても昔の貝が出てくるようなところだ。おそらく、上の写真に写り込んでいる高圧電線や鉄塔を除けば、この辺りの光景は縄文の昔からあまり変わっていないのではないかと思われる。

 ここも、本格的に発掘調査すれば、ほぼ確実に縄文期の遺物が出土すると言われている。が、現在は周辺に住宅等が多く建っており、時に粗大ごみがここに不法投棄されていたりする。地元の人に、特に子供たちには、この場所の歴史的な重要性をよく知ってもらい、自分たちの住んでいるところが太古の昔から多くの人々が生活を営んでいたのだと想像してもらえたら、と思っている。

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ミニシアター・エイド基金終了

2020年05月18日 | 映画
 わずかだが、わたしも参加させてもらったミニシアター・エイド基金。コロナウィルスの感染拡大により、休館を余儀なくされたミニシアターを救済するための基金だが、それも一旦終了し、登録映画館などに分配されるという。3万人近くの人が参加し、目標だった1億円の3倍以上の基金が集まった、という。映画文化やミニシアターを大切にしてくれている人たちが多くいたことを、わたしも嬉しく思っている。これで、閉館に追い込まれるミニシアターがなく、全てが再開されることを願うばかりだ。

 以下は、モーション・ギャラリーから5/16に届いたメールの抜粋。


『「ミニシアター・エイド基金」にご参加いただいた皆様

お世話になっております。「ミニシアター・エイド基金」運営事務局です。
クラウドファンディング終了のご報告、及び特典についてのご説明です。

「ミニシアター・エイド基金」は5月15日23時59分に
ファンド総額:3億3102万5487円
コレクター(支援者)数:2万9926人
にて終了致しました!

また、終了前に参加希望をいただいていた1団体の受付が遅れ、終了後に受け付けました。最終的に118劇場103団体が基金に参加し、1団体あたりの平均分配額は、約303万円です。』

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大塚古墳

2020年05月14日 | 考古・エッセイ
 相変わらず、運動のために自転車で近くにある遺跡などを巡っている。今回も、前回(5/11)に続いて、地元にある古墳を訪ねて来た話題。
 5/13(水)午前、行ってきたのは、千葉市若葉区にある「大塚古墳」。


 古墳の下にある案内板。道より高いところに設置されていて、普通に歩いていると気づきにくいように感じた。詳しい発掘調査が行われていないので、年代の特定等は出来ていない。


 古墳の上だけ樹々が生い茂っている。おそらく、土地の整備をするときに、遺跡の上だけそのままにしておいたのではないかと思われる。後方に見えているのは、千葉都市モノレールの「みつわ台」という駅。ここまで、自転車で家から25分くらい。この日は少し暑くて、黄砂の飛来も予想されていたが、それほどでもなく、まあまあ気持ちよく走れた。

 以下の写真は、ここから時計回り(右回り)に1周して撮ったもの。







 周辺は小高い丘になっていて、公園として整備されている。地元の人でも、この辺りに縄文時代からの遺跡などが多い事はあまり知られていない。なので、是非とも発掘調査して周辺住民に遺跡の重要性を知ってもらい、大切に保存にしてもらいたいところだ。

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戸張作遺跡

2020年05月11日 | 考古・エッセイ
 相変わらず、自転車で近隣の人の少ないところを走って体を動かす日々が続いている。

 5/9(土)午後、千葉市東寺山というところにある「戸張作(とばりさく)遺跡」に行ってきた。縄文時代の貝塚では、数・規模ともに全国でもっとも確認数が多い千葉だが、古墳時代の遺跡も結構ある。近畿地方のように大規模なものは確認されていないが、径20~30メートルの円墳が多いようだ。古墳時代に、かなりな地方豪族が存在していたということだろう。


 ここまで、我が家から自転車で10分くらい。元々は、9基の円墳があったというが、今は2基を残して公園になっている。小高い丘の上に位置しており、かなり遠くまで見渡せる。写真左端に案内板が見え、その奥に少し盛り上がっているのが1号墳。ちなみに、写りこんでいる自転車はわたしのもの。


 1号墳の拡大写真。少し調べてみたところ、ここでの発掘調査では石器時代の遺物、さらには弥生時代から奈良・平安時代頃までの住居跡などが確認されているという。


 案内板。古くなって、字がかすんでしまっている。


 こちら、写真左端に少し盛り上がって見えるのが2号墳。


 2号墳の拡大写真。


 遺跡の裏手を撮影したもの。かなり急な斜面で、あるいは、この上に城か櫓のようなものがあったのかもしれない。

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千葉ポートパーク

2020年05月08日 | まち歩き
 5/7(木)午後、気温21度程で湿度も低く天気も良かったので、自転車でゆっくり走って、千葉港近くにある人工海浜「ポートパーク」まで行ってきた。


 ここまで、自転車で20分くらい。家の近くの公園なども結構人が多いので、人の少なそうな場所を選んで、運動がてら自転車で走っている。


 雲の形が結構よかった。


 子供の頃は、この辺りは遠浅の海が続いており、ハゼ釣りなどに来たものだった。


 ポートタワー。有料だが上まであがれるようになっており、天気の良い日は富士山や、北方向に筑波山などが見えるという。が、以前わたしが上がったときは曇っていて見えなかった。当然ながら、今はコロナウィルスの感染防止のため閉鎖中。

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建て替え中の千葉競輪場

2020年05月05日 | 日記
 我が家から歩いてすぐのところにある千葉競輪場だが、現在バンクの建て替え工事が進行中。かなり形が出来てきたので、5/4夕方、携帯で一枚撮影してみた。



 曇天だったので、少し光が足りない感じ。手前は市営の千葉公園プールで夏には利用できるが、今年はコロナウィルスの感染状況次第で閉鎖になりそうだ。

 千葉競輪も客の減少で、一時は廃止になる予定だった。が、某民間企業が再建に乗り出してバンク等を建て替えたうえで再開することになった。鉄骨が見えている所が新たにできるバンクの観客席になると思われる。
 建て替え前は、1周500メートルの長めのコースだったが、新たにできるのは国際規格の250メートルの短いコースになるらしい。群馬の前橋競輪場のように、競輪だけでなく様々なイベントを開催できる施設になるというが、やはりコロナウィルスの感染拡大で、竣工後も当分は何もできない可能性が高い。

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わたしのレコード棚ーブルース88『DOCUMENT-5575 Field Recordings - Vol.1』

2020年05月01日 | わたしのレコード棚
 田舎のブルースが好きな、わたしの様な者にとっては、大変ありがたいレーベルであるオーストリアのDOCUMENTが出してくれているフィールドレコーディングの中からさらに一枚。今回は、アメリカで戦前にフィールドレコーディングされたシリーズの1枚からCD5575『 Field Recordings - Vol.1』を取り上げる。1936年から1941年にかけて、ヴァージニア州の刑務所(State Penitentiary)や同じく州の農場(State Farm)、あるいは教会などで録音された34曲が編集されている。4/10のこのブログで紹介したCD5599同様、かなりマニアックな録音で、アメリカのフォークソングに興味の無い人には聞きづらいかもしれなが、やはり貴重な録音と感じる。



 特に、注目したいのはCDの最後に入っている1941年に"Big Boy"という名で録音された「Blues」とだけクレジットされた曲だ。おそらく、演奏者の名前も正確な曲名も分からず、偶然に録音された1曲なのだろう。しかし、これはステファン・グロスマンの教則LPに『Vestapol』として入っている曲であり、ロバート・ウィルキンス(Rev. Robert Wilkins)の名曲『The Prodigal Son』とも同じものだ。ギターはオープンDチューニングで、歌はミシシッピー・ジョン・ハートの『Nearer My God To Thee』に近い歌詞で歌われている。つまり、様々なブルースマン達が、後に自分なりにアレンジして録音したもののある中で、おそらく、この録音がオリジナルに近いのではないだろうか。無名ブルースマンによる、「ブルース」だが、実に素晴らしい演奏だ。後に、幾人かのフィンガー・ピッカーがこの演奏パターンを取り上げているが、ハッキリ言って比べ物にならないくらい深みのある演奏が聴ける。人から人へ耳だけを頼りに伝えられた時代の、長い時間を含有したような演奏がここにはある。

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