10/22(金)千葉劇場にて。監督は高橋伴明、脚本は梶原阿貴。
2020年の冬、深夜、東京新宿に程近い渋谷区幡ヶ谷のバス停にある小さな椅子に座って仮眠をとっていたホームレスの女性が襲われて亡くなる事件があった。女性は、スーパーなどの店頭で出張販売の仕事に携わっていたようだ。が、コロナ禍で仕事を失いアパートを出なければならなくなりホームレスとなった、と報道されていた。若い頃は劇団に所属して俳優を目指していたとも。本来なら生活保護を申請すべき事案だが、彼女は他に助けを求めることが出来ない人だったようだ。
わたしも長年にわたりフリーランスで仕事をして、その危うさは良く分かっている。「フリーランス」と言っても、その実態は良くて「下請け」、時に「孫請け」あるいは「ひ孫請け」で、仕事量が減れば単価は下がり、手取りのお金も確実に減ってゆく。私の場合は状況に恵まれたので困窮する事は無かったが、それは「たまたま」に過ぎない。そしてコロナ禍の前に廃業していたことも偶然にすぎない。そして、わたしも「助けて」とは言えない人間だ。この女性の事件は他人ごとではなく、身につまされたのだった。
映画は、この事件を題材にとった作品で、ホームレスになる女性を板谷由夏が演じている。現実に起こった事件は、この作品よりもはるかに深刻で、救いのないものだったように思うが、監督の高橋伴明はソフトに仕上げてラストシーンは救いのある構成になっている。公園で出会うホームレス達も、親切で人間味のある人達に描かれている。そこは、賛否の分かれるところだろう。わたしの感想は・・というと・・「観てのお楽しみ」ということで、あえて書かないことにしよう。
下の写真は、10/23午後、鱗雲が空一面に広がっていたので自宅の2階から撮影したもの。上層に冷たい空気が入ると、この様な雲が出るらしい。気温が下がる前触れ、ということだろう。