文化逍遥。

良質な文化の紹介。

わたしのレコード棚―ブルース40、John Jackson

2017年10月31日 | わたしのレコード棚
 ミュージシャンの中には、それほど難しい事をやっているのではないが真似しようとしてもなかなかうまくいかない、という人達がいる。今回紹介するカントリーブルースのジョン・ジャクソンもその一人だ。
 生まれは1924年2月25日合衆国東部のヴァージニア州ウッドヴィル(Woodville)、亡くなったのは同じヴァージニア州で2002年1月20日。つまりは、「イースト・コースト・ブルース」ということになる。実際に、リズムの取り方やレパートリーの豊富さは東海岸という地方の特色を持っている。ブルースというカテゴリーには入りきらない、と言ってもいい。やはり、ピードモント地方に近いので「オールドタイム」あるいは「マウンテン・ミュージック」と云われるアイルランドからの移民の人達が生み出した音楽の特色を持ち合わせているのだ。つまり、他の地方のブルースマンに比べて、多様な要素を含んでいる、と言える。これは、当時のパーティーなどで演奏する際は、かなりの強みだったろう。なにしろ、音楽を聞くにも再生する機器の乏しい、あるいは無い時代だったのだ。いや、どうかすると、電気も通っていない地域もあったかもしれない。ジョン・ジャクソンがソング・スターとして、演奏していた時代は、そんな時代だった。懐古趣味はないが、生の楽器や人の歌声が週末にあちこちで聞こえ、音楽が地域のコミュニティーに貢献していた、そんな時代があったのだ。


 ARHOOLIEのLP、1047。1969年10月、ヨーロッパツアーの際にドイツのシュットガルトのスタジオで録音された14曲を収録。


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2017、秋色その2

2017年10月26日 | 日記・エッセイ・コラム
 シンガーソングライターの遠藤賢治氏が25日に亡くなった。70歳だった。学生の頃、日比谷の野音でのフォークフェスに行った時に、多数の出演者の中の一人として演奏していたのを聞いたことがある。あれから、40年近い歳月が流れている。やはり、その時に出ていた高田渡氏も2005年に56歳で亡くなっている。好き嫌いは別にして、一抹の寂しさは禁じ得ない。


 今日26日は、久々の穏やかな秋晴れ。一眼レフカメラを持って千葉公園までお散歩。暇と言えばヒマだが、ゆとりを持って生活できるのは贅沢なことだ。


黄色く色付いているのはイチョウ。


同じくイチョウ、アップ。


詰め草か。


ダイサギ。


同じく、顔のアップ。長い首を巧みに利用して魚を捕食するハンターなので、けっこう強面。


今年も飛来したカモの仲間キンクロハジロ。この鳥達はその第一陣か。遠くシベリア方面から飛んでくるという。そのためか少しやつれたように見え、全体に汚れているようだ。写真右の2羽、腹が白く、頭の後ろに飾り羽があるのが雄。あとひと月もすると、この池は渡り鳥で賑わう。

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特別史跡「加曾利貝塚」

2017年10月20日 | 考古・エッセイ
 秋の長雨で太陽の日差しも届かない日々が続くが、10/18(水)は晴れ間がのぞいたので、墓参がてら「加曾利貝塚」に行ってきた。今月、官報で公示されて正式に「特別史跡」に指定されている。携帯で撮影。


復元された住居。ここは、千葉市内の他の貝塚と比してかなり整備されている。


特別史跡に指定され、あらためて発掘調査が行われて始めている。全体では、まだ7割くらいが未調査という。新たな土偶など「歴史の証人」が出てくるかもしれない、と思うとワクワクする。

 ここから半径数キロ内に20ほどの貝塚が密集している。どうせなら、それら全てを「貝塚保存地域」として特別史跡に指定して欲しかった。この国では、漢字が入ってくるまで文字を持っていなかったので、それ以前の歴史は貝塚によってしか知ることが出来ない。宅地開発などで地中に埋もれてしまったり、掘り起こされてしまっては取り返しがつかない。今からでも遅くはない。土地開発を監視・制限して、徹底した保存・整備に努めるべきだ。もし、そのような史跡の整備が実現すれば、国内だけでなく世界から研究者が訪れることは間違いない。実際、縄文期の社会については、1万年近い期間安定して続いたことで考古学だけでなく、文化人類学的にも世界の研究者が注目し始めているのだ。子ども達がこの国にそんな独自の文明が存在したことを知り、誇りを持てるようになるためにも、ぜひとも貝塚の保存を進めたい。

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頭部MRI

2017年10月17日 | 健康・病気
 夏以降、眩暈(めまい)に悩まされ、一時はかなり良くなり薬も止めていたのだが、このところ又悪くなってきた。どうも、歯の大掛かりな治療を始めて以降再発したようだ。三半規管のすぐ下を削ったり割ったり抜いたりしているのだから、まあ無理もない。
 内科の医師の勧めもあり、10/13(金)、頭部MRI―磁気共鳴映像で画像を撮り診断してもらった。3年ほど前、腰が悪くなってMRIを撮った時は、20分以上かかり圧迫感も強かったのでけっこうしんどかったが、今回はヘッドホンで音楽を聞きながらで10分程で終わり、ガンガン・ジージーとうるさかったものの、辛くはなかった。
 結果は、特に異常は見られない、とのこと。まあ、一安心。腫瘍などに起因する悪性のめまいではないことが分かっただけでも、一日がかりで検査に行った甲斐があった、と言える。

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10/11夜のNHK・FMよりジャン・ロンドー、チェンバロ独奏会

2017年10月12日 | 音楽
 昨夜のNHK・FM「ベスト オブ クラッシック」は、今年4月に東京文化会館小ホール(上野)でのチェンバロの独奏会を収録したものの放送だったが、これが実に良い演奏だった。独奏は、わたしも初めて聞く人だが、ジャン・ロンドーという1991年生まれの若い人。演奏されたのはバッハの「ゴールドベルグ変奏曲」全曲にアンコール2曲。クラッシック音楽には疎いわたしだが、ゴールドベルグ変奏曲はグレン・グールドのピアノで録音されたCDとカート・ラダーマーのギターによる多重録音によるCDを持っているので、多少の馴染みはある。アリア+30の変奏曲+アリアという構成で、80分程の大作だ。若いとは言え、これを、最後まで張りを持ったままで独奏するとは・・恐れ入った。東京文化会館小ホールはわたしも何度か行った事があるが、マイクを使わずに楽器の音が会場に響く良いホールで、生音を味わえる数少ない場所と言える。こういう演奏会の模様を伝えてくれたのだから、NHKには取りあえず感謝しておきたい。というのも、テレビの方は、訳の分からないドラマも多くて受信料を払うのが嫌になっているところ。まあ、がまんかな。
 演奏について感じたことだが、拍子の中、アクセントの取り方がかなり奔放だったようだ。古楽では、やはり伝統を重んじる傾向にあるようで、落ち着いたソツのない演奏が多いような印象がある。昨日の放送では、曲を自分なりに解釈してリズムのアクセントを付けていたように感じた。ある意味、ジャズっぽい、と言っては言い過ぎかな。いずれにしろ、ジャン・ロンドーという演奏家には古楽を現代に蘇らせる力量がある、と感じた次第。


 おまけの写真。10/11(水)夕方、千葉公園で、色付き始めた銀杏(イチョウ)を撮影した。ここ2・3日高めの気温だが、黄色くなったイチョウの葉を見ると否応なく秋を感じる。





鷺と亀。

 この後、歯科医院に行って左上の奥歯(第二大臼歯)の三分の一を抜歯。1本の1/3です。かなり悪くなったので、残せないかな、と、諦めていたが、悪い部分を削るだけ削って、残せない1/3を割るようにして抜き、残った2/3の所に台を作り隣の歯と合わせた冠を作るという。歯科技術も進んで、自分の歯がかなり残せるようになっている。ただし、土台が弱いのので、何十年も持つわけではない。あたりまえだけどね。命が無くなるのが先か、歯が無くなるのが先か、天のみぞ知る。

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千葉市、貝塚町貝塚群

2017年10月06日 | 考古・エッセイ
 10月に入り、かなり秋めいてきた。自転車で出かけるにもちょうど良い気候なので、10/5(木)午前、我が家から自転車で30分ほどの所にある「貝塚町貝塚群」に行ってきた。今年は、加曾利貝塚が特別史跡に指定されて、発掘調査が改めて行われる事になり、それなりに盛り上がっている。が、千葉には他にも重要な貝塚が多くある。加曾利貝塚は千葉市若葉区の桜木町という所にあるが、その隣に貝塚町という所があり、地名のとおり到る所に貝が露出している。

 この日は、「草刈場貝塚」「荒屋敷貝塚」「台門貝塚」の三か所を訪れた。それぞれ、数百メートルしか離れていない。


「草刈場貝塚」。案内板も何もないが、白く見えるのは全て縄文時代の人が利用した貝の殻。海からは当時でも数キロメートルはあったろう。近くを流れる川を使って舟でここまで運んだのではないかと推測されている。関西から見学に来る研究者の中には、この光景を見て感動して涙する人もいるという。


こちらが拡大して撮ったもの。


「荒屋敷貝塚」。径が180メートル程ある大きな貝塚で、国の史跡に指定されている。案内板があるだけで、車などで通ってもまず気付かない。


内部は、右端に見える椅子があるだけで、他は雑草に覆われている。この下には京葉道路が通っている。この貝塚を保存するために、切通しではなくトンネルにしたという。


「台門貝塚(跡)」。場所が分からず、住人らしき人に聞いたら、小高くなっている所がそうらしい。見てのとおりで、畑や宅地になってしまっている。聞いた人の話によると、「今はもうなくなっている」と言われた。少し調べたみたら、1966年5月に土地開発のため台門貝塚の大半を未調査のまま壊滅させてしまった、という。実に、寒心に堪えない。高度成長期、人は遺跡のことなど気にも掛けず、ひたすら開発に埋没したのだ。取り返しがつかない、とはこのことだ。


台門貝塚の裏手、台地の下に当たるところ。上から貝が落ちてくるという。下の道路にまで落ちている。


これは、その道路に落ちていたものを拾ってきたイボキサゴという小さな巻貝。千葉市の貝塚にあるのはこのイボキサゴが最も多い。食用というより、この貝を茹でてから干し、調味料に近い「干し貝」を作っていたとも推測されている。なお、史跡内では勝手な採掘はできないので注意したい。


 加曾利貝塚が特別史跡に指定されたのは、それはそれで結構なことだ。が、そのために他の貴重な貝塚群がないがしろにされたのでは元も子もない。貝塚は、数千年、所によっては一万年近い時間が凝縮されている歴史の証人だ。ゴミ捨て場と勘違いされてゴミの不法投棄場所などにならぬよう最低限の保存対策を施し、その貴重さを認識する事を後世に繋げていきたいものだ。

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沖田ギター工房

2017年10月01日 | ギター
 9/28(木)午後、友人がギターのリペア―を出しに行くというので一緒に行った。向かったのは、我が家から自転車で10分位の所、千葉市黒砂台にある「沖田ギター工房」さん。修理技術には定評があり、お茶の水などにある某楽器店が提携修理工房として依頼しているところだ。オリジナルギターの制作も手掛けており、今は渋谷にも店を構えている。
 けっこう広い工房で、ベテランと共に、若いリペア―マン達がきびきびと働いていて活気があった。お茶を出してもらった上に、オリジナルのナイロン弦ギターとスチール弦ギターを試奏させてもらい、けっこう楽しく過ごさせてもらった。ありがとうございました。
 ナイロン弦ギターの方は、ナット幅48ミリほどのナイロン弦としては細めのネックで、弦高も低く、グリップが普段弾いているフォークギターから持ちかえてもそれほど違和感が無い。また、かなり深いカッタウェイなので高音域まで弾きやすい。マホガニーのボディーで、値段は50万円程という。けっして高いとは思わないが、買えるわけでもない。スチール弦ギターの方は、やはりカッタウェイで、ボディー材はマダガスカル・ローズ。大きさは、マーチンでいえばOOくらいか。高域が良く通り、やはり弾きやすいギターだった。
 自分のギターも、リペア―が必要になったらここにお願いしようかと考えている。東京まで通勤している頃は定期券を買っていたが、今はそれも無い。持っていく時間と交通費を考えると、家から近い所に信頼して任せられる所があれば多少高くてもその方が良いだろう。友人のギターの修理代見積もりを聞いたが、相場よりも安いようだったしね。


沖田ギター工房さんのロゴマーク。オリジナルギターのボディー内部にもこのマークが貼ってあった。

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