文化逍遥。

良質な文化の紹介。

暑中お見舞い

2017年07月28日 | 日記・エッセイ・コラム
 このブログ、自分の好きなことだけを、好き勝手に書いている。文字どおり「日記」、あるいは「備忘録」に近いものなのだが、けっこう読んでくれる人がいる。当初は、そんなに読む人もいないだろう、と思っていたが、週に200~250位多い時で300を超える訪問者がある。わたしの価値基準は、世間一般のそれとはズレているようなので、意外な訪問者数と感じている。これからも、気楽に好きなことだけを、好き勝手に書いていくつもり。

 昨日は、こちら千葉の最高気温は25度に届かなかった。小雨交じりの北東風が吹き、半袖では少し寒いくらい。西日本では猛暑、北日本では荒天。目まぐるしく変化するのは、今の日本の政治状況のようだ。悪しきポピュリズムに引きずられ、心ある政治家や官僚は危機感を抱いている。民主主義の限界か。おそらく、パラダイムがシフトしてゆく過程で起こる混乱なのだ。冷静になって物事を見つめ、考える必要性を感じる。

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江戸東京博物館

2017年07月23日 | 考古・エッセイ
 7/21(金)、両国にある江戸東京博物館に行ってきた。
 近年行われた発掘調査から、主な発掘品を展示している「発掘された日本列島2017」展が見たかった。展示は6/3から7/23までで、もっと早くに行こうと思っていたが、まだいいか、と思っているうちに暑くなってさらに日延べ、梅雨が明けて夏休みというもっとも混雑する時期になってしまった。


 携帯で撮影。かなり以前、1990年代中頃にヴァイオリン演歌の故桜井敏雄さんなどが出演した公演で、ここのホールには来たことがあるが、展示室に入るのは初めてのことだ。この日も暑かったが、近くを流れる隅田川からの風が通るためか、それほど辛い暑さではなかった。この吹き抜け?が3階になり、ホールや特別展示室はこの下1・2階、常設および企画展示はこの上の5・6階で行われる。


 こちらは、博物館の反対側。右に見えるのが国技館、左側がJR両国駅。東京まで仕事で通っている頃は、相撲の興行があると、帰りの電車で両国を通る頃に見物客が一斉に出てきて電車がぎゅうぎゅう詰めになるので、相撲の終わる時間を避けて帰宅したものだった。


 

 常設展と同じスペースで行われているので、料金は常設展観覧料600円で見られた。夏休みに入ったので親子連れが多かった。また、外国からの見物客も多くボランティアの通訳が英語で解説していたりしていた。にぎやか、というか落ち着かないというか、やっぱりもっと早く来ればよかった。とは思うものの、展示は充実していて、来て良かった、というのも実感。常設展では、復元された江戸期から昭和期までの庶民の住居などが充実していて良かった。近いうちに、またゆっくり来たい。
 それにしても、縄文期から古墳時代くらいまでの発掘品は見飽きぬ魅力がある。人の手仕事、その温もり、時を超える力を感じ、見飽きない。





 こちらは、JR四ツ谷駅近くで現在発掘されている遺跡から出土した物の中からの展示。江戸期のものなので、時代はぐっと下がってくる。麹が生産されていた所で、それに関連した文化財が多く出土しているようだ。四ツ谷、麹町という地名はそこから来ているらしい。考えてみれば、あたりまえかもしれないが、出土した「現物」を観ると、なるほどなあ、と実感。

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2017年、梅雨明け

2017年07月20日 | 日記・エッセイ・コラム
 昨日7/19日、関東地方の梅雨が明けたとみられる、との発表が気象庁からあった。しかし、ここ千葉は、ほとんど雨らしい雨は降っていない。降雨量は、平年の37%とか。友人から伝え聞くところによると、房総半島南部では水不足で田植えを中止せざるを得ない所もあったという。事態は深刻なのだが、その割に報道はノンビリしている。
 温暖化してくると、内陸部ではドライヤー状態になって少雨。一方で、熱せられた海水は水蒸気となり一部の地域に短時間に大雨を降らせる。今年、インドでは最高気温47度を記録した地域があり、分かっているだけで370人の方が亡くなっているという。47度にもなると、日本で設置されているエアコンは設計上想定されている稼働限度を軽く超えてしまう。つまり、もし日本でそんな熱波に襲われたら、ほとんどのエアコンはオーバーヒートして止まってしまうのだ。考えるのも恐ろしいが、最悪の事態を想定して、病院や介護施設あるいは避難所などには水冷方式のエアコンを設置しておく必要があるだろう。非現実的と思われるかもしれないが、新宿のビル街などでは、すでに地下水を使った水冷の冷房を集中的に使っている。都市部の過熱を防ぐには、取りあえずこの方法しかないと、かねがね考えているのだがどうだろう。もう少し危機感を持ちたいものだ。

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2016年独・仏・英、映画『ヒトラーへの285枚の葉書』

2017年07月16日 | 映画
 7/14(金)、千葉劇場にて。原題は『Alone In Berlin』で、直訳すると「ベルリンの中での孤立」になるだろうか。劇中、葉書などの書かれたものはドイツ語だが、会話はすべて英語。原作は、ドイツ人作家ハンス・ファラダのゲシュタポの記録文書を基に書かれた小説。日本では、みすず書房から『ベルリンに一人死す』として2014年に出版されている。わたしも、映画を観て原作を読みたくなり図書館に予約中。予約が多く、4番目なのでまだ時間がかかりそうだ。





 1940年、戦勝に沸くドイツのベルリン。そんな中、ある平凡な夫婦の元に軍事郵便が届く。一人息子の戦死の知らせだった。国が全体主義に染まってゆく中で、夫婦は表面上軍国主義を装いつつ、ヒトラー政権を非難する文面をしたためたカードを書くことを決意する。そして死を覚悟しつつ、それを不特定な読み手に向け街の片隅に置き続ける。そんな反政府活動は、ゲシュタポや警察の執拗な追跡をかわしつつ3年に及ぼうとするが、遂には捜査の手が近づいてくる。
 監督は、ヴァンサン・ペレーズ。職工長である夫役にブレンダン・グリーソン(アイルランド)、妻アンナ役にエマ・トンプソン。映画の中では、戦争中の雰囲気がよく再現されており、当時の「怖さ」が伝わってきた。それだけに、会話が英語なのが残念。また、劇中でオットーの勤め先である工場は、棺の生産に追われている。戦争の犠牲者が増え続けているためだ。そこにも政権側の報道とは矛盾する現実が、暗示されている。最後の場面、ゲシュタポのあまりの横暴さに嫌気がさした刑事は断頭台に向かうオットーに「なにか欲しいものはないか」と問いかける、オットーは「ペンとカードを」とだけ答え、背中を向けて去ってゆく。そして、その刑事は、その夜、夫婦の残したカードを窓から撒き散らして・・・。

 77年前から始まる設定になっている映画だが、「昔はあんなことがあったんだなあ」として済ませる気にはなれなかった。むしろ、現在の国際状況は当時に似てきているような恐怖感がある。それが、この映画の製作意図あるいは動機にもなっているのだろう。観る価値のある映画、と感じた。

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わたしのレコード棚―ブルース38、Peg Leg Howell、

2017年07月12日 | わたしのレコード棚
 暑い日が続く。こちら南関は、今のところカラ梅雨気味。
 先週7/5以降の、九州北部豪雨で亡くなった多くの方々、行方不明の方々、そして今なお孤立している集落もあり、改めてお悔みを申しあげたい。また、暑い中での捜索、復旧活動に従事しておられる方々にもお見舞い申し上げたい。温暖化による海水温の上昇に起因すると思われる、毎年のように起こる水害。もう一度、自らの生活を考え直したい。


 さて、「わたしのレコード棚」。今回は、初期のアトランティックブルースを代表するプレーヤーのひとりペグ・レッグ・ハウエル。

 ヴォーカルの線は少し細いが、しっかりとしたリズムで叙情性に富んでいる優れたミュージシャンと言える。特にボトルネックを使ったギター奏法では、ミシシッピー・デルタのような力強さはないものの、単弦でメロディックな奏法は効果的だ。
 生まれは、1888年3月ジョージア州イートントン(Eatonton)。亡くなったのは1966年8月同州アトランタ。「Peg Leg」は、義足を意味する芸名で、本名はJosyua Barns Howell。もともとは、ジョージアの片田舎の農夫だったが、1916年に義理の弟から銃撃を受け片足を亡くし街の片隅で演奏するようになったらしい。


 MATCH BOXレーベルから出ていたLP、MSE205、『Peg Leg Howell(1928-29)』。コロンビアへの録音で、フィドルのEdie Anthonyと
マンドリンのJim Hillが参加した曲を含む全14曲。アイリッシュ系の人達が暮らしていたピードモント地方にも近く、マウンテンミュージックと言われる音楽の影響も感じられる。当時のミュージシャンたちが、様々な音楽を吸収していたことがうかがえる。


 こちらは、RBFレーベルの『The Atlanta Blues』。初期アトランティックブルースを集めた名盤。写真は、バーベキュー・ボブ(Barbecue Bob)で1927年の撮影。サム・チャータースのかなり詳しい解説と歌詞が付いている。ハウエルの他、Barbecue Bob、Lonnie Coleman、Tampa Red、Blind Willie McTell、Charley Lincoln、Alec Johnson、Buddy Moss、などの1~3曲を収録。このLPの中では、Peg Leg Howell & his Gangの名で先のEdie AnthonyとセカンドギターにHenry Williamsを加えて「Beaver Street Rag」というダンスナンバーとおぼしきインスト曲が聴ける。このような曲を、アトランタのブルース・ストリートと言われるDecatur Streetやパーティなどで演奏していたらしい。

 手元の資料によると、セカンドギターのHenry Williamsが1934年に死んだあとはハウエルもほとんど音楽活動をしなくなったらしい。そして、1952年には糖尿病により残ったもう片方の足を亡くしている。1963年に「再発見」されて、再び録音している。が、その録音は残念ながら手元にはない、

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2016年アメリカ映画『ムーンライト』

2017年07月07日 | 映画
 7/6(木)、千葉劇場にて。 
 監督はバリー・ジェンキンス。制作総指揮ブラッド・ピット。出演者、青年期のシャロン役にトレバンテ・ローズ、母親役にナオミ・ハリス、フアン役にマハーシャラ・アリ、他。悲しい映画だった。

 アメリカ合衆国東南部、マイアミの海岸近くの貧困地域で暮らす少年シャロン。同性愛的な傾向を持ち、学校ではいじめられ、家に帰れば母親は自宅で売春をしていて麻薬中毒、父親はどこにいるかもわからない。ただ一人、フアンという近所の中年男が父親代わりに助言をしてくれる。が、フアンもまた麻薬の密売で生計を立てている裏社会に生きる男だった。そして、シャロンがティーン・エイジャーになる頃にはフアンも死に、学校である事件が起き・・・。

 公式サイトには「自分の居場所を探し求める主人公の姿を、少年期、ティーン・エイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞・脚色賞・助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門を受賞したヒューマンドラマ。」となっている。しかし、この作品を観て感じたのは、これがGDP世界一を誇るアメリカの現実か?ということだった。生産手段も資源も豊富なはずなのに、貧しい地区の嵐のような負のスパイラル。わずかに、唯一の友達の同級生ケヴィンとの交流が救いとして描かれているが、それも現実を超えられる程のものでない。むしろ、大人になった主人公の危うさのように観えた。

 それにしても、英語が聞き取れなかった。聞き取れたのは、ごく基本的な言葉だけで、まるで他の言語のように聞こえた。それは、方言というよりは、地域の符牒のようなものなのかもしれず、そのあたりにもアメリカの特殊性が表れているのかもしれない。

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2016年オーストラリア映画『ライオン』

2017年07月02日 | 映画
 6/30(金)千葉劇場にて。原作はサルー・ブライアリーで、自身の経験を基にした『25年目の「ただいま」5歳で迷子になった僕と家族の物語』。監督はガース・デイビス(豪)。主人公のサルーを演じたのは、少年期サニー・パワール(印)、青年期デーブ・パテール(英)。少年期の兄役にアビシェーク・バラト(印)。
 5歳のサルーはインド西部の片田舎で暮らしていたが、ある日兄と出かけた駅で、兄を待つ間に乗り込んだ回送列車で眠ってしまいコルカタまで行ってしまう。迷子として保護されたものの遠く離れた家族の元へは帰れず、養子を望むオーストラリアの夫婦の元へと旅立つことになる。そして、20年後成人したサルーは、グーグル・アースを使い自らの故郷を見つけ出し、アイデンティティを取り戻そうとするが・・・。

 養父母になるオーストラリアの夫婦は後にもう一人、サルーの弟になる養子を迎え入れることになる。しかし、この子は精神に深い傷を負っていて自傷行為が激しく、夫婦は養育に苦しむことになる。映画としては、故郷への回帰という視点よりも、傷ついた子ども、あるいは養父母の苦しみに重点を置いて観たいところだ。特に、養母役の二コール・キッドマンの演技は印象的だった。映画の題名は、サルーという名が正確にはベンガル語の「シャルー」で、「ライオン」を意味しているところから取ったという。

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