紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

その一言から始まった

2005-05-10 06:40:02 | 2・仕事の周辺
初めて、当時小峰書店の編集の仕事をしていた伊藤美保さんと会った時、編集長の今泉さんも一緒に調布まで来てくれた。
何か原稿を書いてくださいということだったけど、その時ほかの出版社とも仕事をしていて、正直なところ、さらに書けるものなどあるかなあと思っていた。

それで、3人で楽しく一般的な話しをし、
「では、ちょっと考えさせてください」といって、話しを終えようとしていた。その時、今泉さんがいった。
「何か境目の話しを書いてみませんか。」

境目の一言で、ふいに二つの場所が浮かんだ。
一つはフィジー島にある本来の日付変更線というか点。そこをはさんで、今日になったり、明日になったりする場所である。実際は、人の住む場所には日付変更線は通らないので、その場所を変更線は通っていないけど、ちゃんとそれを知らせる立て看が立っている。

もう一つは、アメリカのグレイシャー国立公園を横切る道「ゴーイング・トゥー・ザ・サンロード」の峠。そこはロッキー山脈の分水嶺にあたる。その峠に降った雨は、ほんの少ししか場所が離れていないのに、大西洋への流れに入るか、太平洋への流れに入るかによって、遙か離れた遠くに運ばれていくのである。

そして、家に帰ってしばし考えた末、アメリカの旅を選んで、書いたのが「地平線に向かって」である。

その本を書くもとになった旅のことを、次回から書こうと思う。
一緒に旅をしたのは、中2の息子、小6の娘、それに良流娯さんと娘の知夏ちゃん(小5)、私の5人である。

◆地平線にむかって北米旅行
その1その2その3その4その5その6その7その8その9


(写真:車で地平線にむかって旅を続けた。ヒッチハイクさせてあげた青年と)