m's diary

タイル巡り♡タイル制作♡建築巡り♡町歩き

山形の旅2018【鶴岡の近代建築巡りその一】

2018-08-27 | 山形の旅2018

今回、鶴岡までは夜行バスでやって来た。

大阪からは11時間半ほどかかるのだけど、更に明け方高速で事故があったようで、高速道路上で2時間立ち往生;

ただでさえ時間ないのに~と焦ったが、鶴岡には最終1時間遅れくらいで朝10時過ぎに到着。

駅でレンタサイクルを借りて、散策開始。山形はレンタサイクル無料というのがうれしい。

 

 

事前にネットでチェックした近代建築を回りつつ、新茶屋目指した。

寛明堂は明治4年創業の写真館。奥には大正9年に建てられた木造建築があり、

こちらは昭和9年に増築された鉄筋コンクリート三階建の建物だそう。

 

 

1階の玄関周りは型押しタイルの柱が立つ。

 

 

2階には八角形のアールデコなデザインの窓、その両側に「寛明堂写真館」と文字が見える。

 思い切り逆光で・・写真にもやがかかる;

 

 

写真館のある山王商店街に入る前にあった旧理容院の建物。

 

 

窓の下に3Dタイルが貼られてた。

 

 

飲食店の玄関ポーチ床に貼られてたタイル。

 

  

山王商店街からの脇道からちらっと見えた洋館。

駆けつけてみると、真島医院という病院の敷地に建つ洋館だった。

 

 

木村屋本店は明治20年に山形県初のパン屋として創業したという。

現在の建物は大正末期のもの。

  

 

まだ朝ご飯を食べてなかったので、イートインできるならと、

入ってみるが・・現在はパン屋というより和菓子屋さんになっていて、

パンはあんパンのみと言われたので朝食は断念;

 

  

店内は改装されているようだったが、ショーウィンドウにぶら下がる照明は建築当初からのものだそうで

同じタイプのものが二つぶら下がっていた。

 

 

すぐ向かいには衣料品店のカジュアルショップギンヨーの建物。

昭和6年に建てられた建物。

 

 

メルヘンチックな外観、窓の上部のアーチには可愛い漆喰装飾が描かれている。

 

 

おやじギャグが入ったショーウィンドウ。

 

 

内川沿いに建つ煉瓦造りの小屋は大正初期に消防ポンプ小屋として大泉橋のたものとに建てられたもので、

現在は移築され、公衆便所として生まれ変わっている。

 

 

サイズ感がちょうど公衆便所だなあ。

 

 

ピカピカ光るタイル物件、小林歯科。

 

 

 

 

そして、鶴岡カトリック教会へやって来た。

明治36年に建てられたロマネスク様式の教会。

 

 

ちょうど扉は開いていて、信者の方がおられたので、声を掛けて見せて頂いた。

 

 

リブ・ヴォールト天井が美しい内部空間。

 

 

 

 

信者の方に説明して頂いたところによると、こちらの窓絵は、ステンドグラスではなく、貼り絵といわれるものだそう。

ガラスとガラスの間に絵が描かれた薄い紙が入っているという。

高価なステンドグラスの代わりに用いられた手法だそうだが、現在、日本ではこの教会でしか見ることのできない

貴重なものだとか。

 

 

しかし、貼り絵はガラスとガラスの間に挟まれているため、メンテナンスを施すことはできないので

常に日光にさらされる窓では完全に絵が消えてしまっていたりと、絵が失われている窓もあった。

日光があまり当たらない窓では比較的きれいに残っていた。

 

 

そして信者の方が、この教会で、もう一つ日本で唯一なのは黒い聖母マリア像があるということだと教えてくれた。

なぜ黒いのかは諸説あるそうで、日に焼けたからだとか、肌の色にかかわらず皆平等を示してるなど。

 

 

入口上部にはパイプオルガンがあり、

 

 

2階を支える柱の一つはコンパクトで美しいらせん階段になっていて、

もう一つの柱は物置になっていた。

 

 

 

照明

 

 

こちらの聖水盤は

 

 

中は小粒なモザイクタイルが貼られてた。

 

 

教会に隣接する司祭館は大正3年に建てられたものだそう。

この後は新茶屋へ向かった。

 

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山形の旅2018【新茶屋の広間他】

2018-08-26 | 山形の旅2018

新茶屋のタイル編に続いて、室内編へ・・

 

HPによると、新茶屋の創業は1772年から1780年頃と言われ、初代は肴屋から家業を興し、その後料亭を始め、

一時は旅館業も兼ねていたという。

戦時中の休業を経て、昭和29年に料理屋として再開されたのだそう。

 

 

エントランスの柱を彩るのはグレー系のグラデーションプリントのモザイクタイル。

正方形、長方形、台形のピースが組み合わさったモザイクタイル柱が2本並び、

 

 

玄関横の腰壁にも少し青みのかかった同じタイルがずらりと貼られてた。

 

 

玄関を入ると、たたきには玉石タイルの角張ったバージョンのものがびっしり。

見たことのない形かも・・

 

 

グレーと白混じりのものなど上品な取り合わせに。

 

 

玄関周りには卵型をした飾り窓や

 

 

廊下を歩くと松の模様の透かし彫りの扉があったり、

 

 

手洗いにも細かいモザイクタイルがびっしり。

トイレ以外のタイルはグレー系に統一されているのか、シックで上品なタイル使いが見られる。

 

 

こちらの公衆電話があったのであろうコーナーも、レトロな電話台や松モチーフの掲示板?などが

残っていて楽しい。

 

 

本館の広間を見せて頂く。

本館は明治39年に建てられたものだそうで1階の広間は広さ135畳あるそう。

庭に面した欄間には梅モチーフの大胆なくり抜き模様が斬新。

 

 

松のくり抜きもあってどことなくポップな印象。

 

 

ぷにょさんのブログでも見てぎょっとした柱に付くこの蝶々の意匠もなんだか大胆過ぎる。

 

 

捻りの効いた天然木が使われた床柱は存在感いっぱいで 

 

 

節目が浮き立たせられたような床框の加工も独特。

 

 

2階の大広間も了承を得て見せて頂けた。

 

 

廊下にかかる欄間のような装飾は初めて見るもので、山の連なりが表されている?

 

 

一番端の部屋の入口上部にもこんな山を描いた飾り。

 

 

こちらの床の間も凝った材木がいろいろと使われていた。

 

 

 

 

窓の外は庭園の緑が見える。

 

 

窓の外に広がる庭園は敷地470坪あり、

 

 

庭園には心という字をかたどった心字池、手前の松は樹齢百年を超える老松だそう。

 

 

仕切りの襖を開けるとひと続きになる大広間

 

 

欄間は折り鶴と雲らしきものが表されていたり、

 

 

鳳凰の透かし彫りがデザインされていたり、部屋毎に異なっている。

 

 

 

 

こちらの付書院には空に三日月がぽっかり浮かんだような演出が面白いなあ。

 

 

節だらけの床柱

 

 

床の間と床脇の間には獅子と牡丹の彫刻が凝っていた。

 

  

 

 

庭に面した窓の下に入れられた透かし彫りは亀や水の流れ、水草などが表されていて涼し気。

 

 

そして廊下へ出ると、こちらにはこんな洋風の漆喰アーチが出現。

 

 

純和風の空間の中にここだけなぜか洋風のアーチが摩訶不思議。

新茶屋の内部空間はちょっと不思議で、遊び心のある意匠に満ちたワンダー空間だった。

御親切に見学させて頂き、ありがとうございました。

 

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山形の旅2018【新茶屋のマジョリカタイル】

2018-08-24 | 山形の旅2018

以前、兵庫考古博物館へぷにょさんと訪れた時に、深井先生から教えて頂いた山形の鶴岡にある料亭、新茶屋のタイル。

6月にすでに見に行ったぷにょさんたちに遅れて、私はこの夏の旅のラストチャンスと、

タイルを観るため家族を置いて一人旅立つことにした。

そこそこ距離のある山形まで行くというのがハードル高かったが、往復夜行バスを使うことで、

費用節約&時間短縮化を図り、現地1泊2日で新茶屋を含む、鶴岡、酒田、そして山形の近代建築とタイルの完全制覇?!

目指してやって来た。

 

 

 

そして、事前にお電話でお願いしていた新茶屋へ。

最初、昼食を予約し、ついでに見せていただこうと思っていたのだけど、その日は夕方からのお客さんの準備のため

お昼はやっていないとのこと。しかし、見学はしてもらっても大丈夫、との有り難いお言葉を頂けた。

レンタサイクルを駅で借り、途中の物件を見つつ、新茶屋へ向かったが、なぜかスマホのナビが裏手の方を案内したため

住宅街の中をぐるぐる彷徨って、着いた時にはかなりぐったり。

 

 

気持ちばかりのお土産を渡し、「こちらのトイレです、自由に見て行ってください」と案内されたトイレの扉を開けると、

うぉおおおーーー

そこには写真では見ていたが、驚愕のタイルワールドが広がっていた。

 

 

男子用便所の一つ一つの仕切りにはマジョリカタイルがびっしり~

なんと優雅な衝立なのか・・

 

 

仕切りだけでなく便器の背面にもびっしり・・

トイレという汚染されても仕方がないような場所で、よくぞこのような状態で、ひとつの汚れもなくタイルが残っているなんて奇跡!

そして美し過ぎる!

 

 

 

 

仕切りの天辺には人造石研ぎ出し仕上げによる雲型の一捻り効かせたデザインが用いられていて、

タイルと石とのコラボも見事に決まってる。 

 

 

そして最も驚くべき装飾は奥の壁面に描かれるタイルで作られた朝顔と蔓。

深井先生によると、この花などそのものの形を表すタイルは形象タイルと呼ぶのだとか。

竹の支柱にからみつく朝顔、そして蔓の様子はなんと風流なのであろう・・

ここがトイレ、という空間だということをすっかり忘れてしまうほど。

便器をなくせば、上質なカフェ空間だなあ。

 

 

ぶつぶつと細かな石が浮き出る洗い出し仕上げの壁面に鮮やかな紫の朝顔が映える。

レリーフ状に形作られた、朝顔と葉が可憐!

 

 

蔓の表現も秀逸・・

 

 

便器の下に敷かれたタイルもよく見ると、こんなに美しいマーブル模様をしている。

 

 

人造石研ぎ出し仕上げの床は格子状に赤いラインが入れられ、大小2種類のマジョリカタイルがポイント的に入れられている。

その床は寝そべってごろごろしても大丈夫そうなくらいピカピカなのだ。

 

 

 

 

マジョリカタイルだけでなく、対面する壁にはびっしりと本業タイルが貼られている。

  

 

 

 

 

そして天井を見上げると格天井という、豪華絢爛な空間。

 

 

細かいモザイクタイルが貼られた階段を上がると、

 

 

そこには個室が二つ並ぶ。

個室内にも抜かりなくタイルがびっしりと。

 

 

床はモノトーンの七宝繋ぎ紋のタイルが貼られ、

 

 

壁にはシンプルなアイボリー色のタイル、そしてその上にはボーダー状に巡らされた洗い出し仕上げの壁には

小さなサイズのマジョリカタイルに、朝顔、

 

  

そして桜の花をかたどった形象タイルが貼られてる。

これも可愛いタイルだなあ。男子トイレなので、この桜の花型タイルは控え目に?使われてるようだ。

ほんとうに何を見ても感嘆の声を上げずにはおれないすばらしい空間・・

トイレという小空間ながら、モザイクタイルからマジョリカタイル、形象タイル、そして本業タイルとさまざまなタイル

の濃密な競演が見られるという、正にタイルパラダイスな世界がそこに広がっていたのだった。

新茶屋のトイレ、おそるべし。。

 

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