二日目は朝一に築地、月島の散策をして月島にある梵寿綱のマンション、カーサ相生を見てから向台老人ホームのある東大和市へ向かった。
が駅に着くとこの日は強風のため、途中のJR立川までの線が運行停止に;
しかし乗る直前に解除されたのでこれはツイてる、と思ってJRに乗り込んだのがまずかった~
復旧したばかりだったために電車がつまっていて何度も立ち往生・・
ただでさえ遠いところなのに更に余計に時間がかかってしまった;
更に立川駅からバスに揺られて40分以上・・やっと最寄りの駅に着いた。
こんなにまで時間かけてやってきたのは選択ミスだったかなあと思いつつ、ようやく見えてきた老人ホーム。
しかしここはその行きの道のりの苦労も吹き飛ばすくらいのすばらしい老人ホームだったのだ・・
入り口の扉から期待感が高まる~
孔雀のデザインのステンドグラスと自然の木の造形を生かした扉が美しい。
足元はモザイク状にタイルなどが入れられ、隅にはカタツムリの殻のような渦巻まで。
受付のカウンターも自然の木目を生かし、いい具合にカーブを描いている。
こちらで見学の旨を申し出ると、職員の方がホーム内をていねいに案内してくださった。
スリッパに履き替えて入ったロビーの床はなんと寄木造り。
そして居室前の廊下へ。
圧巻だったのはこの廊下の天井にぶら下がるステンドグラス。
これはお年寄りが車いすやベッドなど低い体勢から見上げられるように考えられ付けられたもの。
ステンドグラスは四季折々の季節感あふれるもので一階、二階の廊下につけられたステンドグラスすべてデザインが違うものなのだ。
この絵を見てお年寄りの方が昔の記憶を手繰り寄せ、懐かしむことができるという仕掛けがされているのだそう。
居室の入り口のアーチも波打っている。
部屋は四人部屋になっていて定員は60名だそう。
廊下の壁に貼られたタイルも様々なデザインのものが使われ、
目を楽しませてくれる。
居室の天井・・
面会に来た家族には天井の壁紙が破れてる、とよく言われるそうだが、これはこういうデザインなのだとか。
隅の方も壁紙がはがれたようなデザインになっていて面白い。
そしてこちらは霊安室の扉。
こちらの扉も力強い自然の木、光沢のある貝殻のモザイク、そしてステンドグラスとのコラボが素敵。
霊安室の内部に入ってみた。
あっと驚くような内装。
大きな木彫の手が二つ。
かざされた手ともう一つはベンチのように横に設置されている。
その手の平の上は亡くなった方の亡骸を横たえる場所なのだとか。
高い天井からはステンドグラスの小窓が縦に並び、外からの光をきらきらと取り込んでいる。
さまざまな造作が見られる塗り壁、天井には左官職人さんが即興で造ったと言われる漆喰の花の模様も。
建物の隅に追いやられがちな霊安室だが、こちらの施設ではあえて建物の中心に持って来て内部もこのように最後の時を過ごすにふさわしい舞台に仕立て上げられている。
空間は礼拝堂のようにも見え、又二本の手は仏像の手のようにも見え、
宗教を選ばない造りにもなっている。
細やかな心配りに驚き、感動させられた。
二階へ上がる階段も緩やかな曲線が使われ、壁には左官職人さんの手による動植物の装飾がほどこされている。
階段を上る途中には天井のステンドグラスから降り注ぐ光が白い壁に美しく映し出され幻想空間が広がる。
食堂の周りの窓の外にも細やかな配慮が。
いくつかある窓の外にはカメであったり小鳥であったり魚などなどすべて違う陶器のオブジェが置かれている。
これは施設の中におられる方に少しでも窓の外に目を向けてもらう、のぞいてみようと思わせる工夫なのだそう。
ピンク、薄紫を基調にした幻想的な部屋は機能回復訓練室。
あちこちで見かけたりんごがぶら下がる照明と共に天井の漆喰装飾の造形も密度が濃いい~
裏門の扉も華麗で優雅な曲線を描く。
敷地の中心に建つ先ほどの霊安室の外観。
こうのとりやイスラームの鍾乳装飾を思わせるものも。
濃密で豊かな装飾空間に包まれた向台老人ホーム。
それぞれの場面を造り上げた職人の方々の手仕事のすばらしさやあたたかさも感じることができる。
居住されているお年寄りの方々も建物から安らぎやいろいろな刺激を受けることが多いのだろうなあ。と思わされる素敵な老人ホームだった。