前回4/17の月兎社主催の見学会が思った以上の反響を呼び、
タイルを残したいという多くの方々の願いから、杉江製陶所「見本室タイル」緊急救出プロジェクトが始動。
その一環としてGW中の5/4~5/7の4日間、東窯工業最後の見学会&発掘フェスが行われ、前半の2日間お手伝いに伺ってきた。
前回の4/17日の見学会以降、4階建ての建物の屋根裏から多くの窯道具が発見されたという。
モザイクタイルの貼り板がこんなにたくさん!
今回の見学会の為に、地元ご有志の方々が100年の埃が積もる屋根裏から下ろし、きれいに洗ってくださったもの。
貼り板を見ると、様々な形のタイル、様々なパターンのモザイクタイルが取り扱われていたようで、
タイル工場全盛期の頃は、この貼り板で一体どれくらい多くのタイルシートが作られていたのだろうかと想像せずにはおれない。
正方形の貼り板はモザミューなどでもよく見るものだけど、長方形のものは
あまり見かけない。
こちらは洗面シンク用のものだったそう。
貼り板だけではなく、土管工場時代の土管の木型なども続々と発見されたそうで、明治時代の墨書が入ったものも多数。
事務所横の通路はにわか展示場さながら。
この大きさの木型を埃だらけの天井裏から下ろされるには相当のご苦労があったと思われる。
見学会の為ご準備してくださり、本当に有難い限り。
2、3日目には本間さんのチームでも埃まみれになりながら、引き続き多くのものを発見&荷下ろしされ、最後には辰砂のタイル見本も発見されたとか!
帰った後で、見れなくて残念;
(後日、本間さんより写真をお借りしました。)屋根裏から発掘されたタイル。
色が鮮やかでほんとにきれい。
前回も多くのタイルが出土したタイルの墓場?!からも更に奥深くに、4層ほどに渡ってタイルが眠っていたそう。
不思議な文様が入ったタイルも。
明治24年杉江嘉左衛門の墨書のある今回発見された中でも最も古い部類の
窯道具のひとつ。
土管の生地を乾燥させるための板だそう。
井戸筒と呼ばれる井戸の一番上部分の木型。
ちょうど前回に縁に同じ模様の入った井戸を見かけてた。
このような型で作るんだなあ。
模様の部分だけ、後から陶板を貼り付けるという作り方もあるそう。
前回、クリンカータイルの模様付けの為の金属製の重いローラーは拝見したが
このような板状の型も発見されていた。
土管の製造に始まり、モザイクタイル、クリンカータイル、そして砥石へとたどった約100年の歴史が屋根裏に埃と共に層となって積み重なっていたのだなあ。
事務所内では、前回は書類棚の下と後ろに隠れて見えてなかったタイルたちも
今回、書類棚を除けて頂けて、日の目を浴びれることに。
水色のグラデーションがさわやかな模様の無釉モザイクタイルと、
壁には渋めの色合いのゴツゴツした凸凹感のある型押しの施釉タイルのバリエーションいろいろ。
隣は、中央に花のようなワンポイントのあるモザイクタイルと
壁には細かな布目地の落ち着いた色合いのタイル。
見学会の方は、今回は4日間、午後から毎時間行われた加藤さんによる分かりやすい解説も大好評!
タイルとタイルの間からニョキニョキ生え出ていた植物・・
2週間前より育ってる?!
事務所向かいの棟では「とこなめ陶の森」から学芸員さんたちが常駐してくださり、
その後に発見されたものの展示と解説をしてくださっていた。
こんな結晶釉の美しいタイルも出てきたんだ~
前回は工場の屋根の上に祀られていた神棚。
御霊抜きされ、展示されていた。
やきものを扱う工場にとって一番の恐れは火災。
火災などから守ってくれる火防の神様が祀られていたそう。
このような大きなテラコッタも出てきたそう。
ただ作られた記録は残っておらず、こちらで作られたものなのか?
作ろうとして、見本を持ってきたものなのかは分からないという。
蓮の花びらぽい立体感のある彫り物が付けられたテラコッタも。
前回より発掘品の展示なども充実し、参加者も発掘に参加できるという稀有な企画で、
ツイッターで知ったという方はもちろん、新聞を見て来たと言われるご近所の方々から、関西、関東他遠方からのお客さま、
そして前回の見学会から再びのリピーターの方々も多数おられ、見学会は大盛況。
発掘はA4トートに杉江製陶所の裏印をデザインしたオリジナルハンコで、各自、自由にデコり、トートに詰められるだけ持ち帰りOK。
カラフルな砥石を1種類ずつ集めてみた。
たくさんあれば砥石をタイルみたいに乱貼りするのも可愛いかも?
少し発掘したタイルも。
ちなみに前回発掘し、お持ち帰りしたタイルたち。
砥石製造過程で、プレス機で圧縮時に滑らかな面を出す為に敷いていたという型板ガラスも木箱に入ってたくさん発見されており、受付のかたわら、型板ガラスの整理も最後に少し、、型板ガラスの名称に詳しくなってしまった。
#タイル東窯工業、#杉江製陶所でツイッター検索すると、参加された皆さんが心から見学を楽しみ、工場との名残を惜しんでる様子が伝わってくる写真にあふれていて、
温かくも少し切ない気持ちになってくる。
皆の残したいという熱い気持ちがタイルの保存に向けてうまくつながっていくといいなあ。