昨日、NY(ニューヨークヤンキース)は、いよいよリーグ優勝決定戦出場が決まった。
昨日の試合でも、イチローは活躍していた。 解説者は、盛んにピッチャーが投げる球を「甘い球」と
言っているのが、どうも引っかかった。
甘い球・・面白い言い方である。意味はよくわかる。しかし、球を味わって甘いわけではない。
もともと味わうなんてものでもない。
例によって、ちょっと立ち止まって思いめぐらせてみた。 甘い声、甘い言葉、甘い考え・・・
甘いばかりではない。 渋い声、苦い顔、辛い評価・・・など、このような言い方は結構ある・・。
仮に、このような言い方を、「五感の形容する言葉」とでも言っておこう。
思いつくままに、五感の形容する言葉・・を列挙してみると、
甘い:甘い球、甘い顔、甘い判断、甘いささやき、甘い点・評価、
渋い:渋い顔、渋い色、渋い判断、渋い点・評価、
辛い:辛い点・評価、
苦い:苦い顔、苦い言葉、
味覚だけではない。
触覚(身体感覚):熱いこころ・思い、熱い涙、やわらかい音、涼しい顔、冷たい態度、重い心、硬い音、硬い話、
視覚:まぶしい顔、
嗅覚:香り高い文体、
聴覚:靴が鳴る
まだまだあるかもしれないが、ネットで調べてみることにしたら・・ナント、
「心理学研究」1988、Vol.58 “共感覚に基づく形容表現の理解過程について”(学習院大学 楠見 孝)
や他の論文などがぞろっと出てきた。
またく同じ視点ではないが、これらの論文の中では、文学や小説など作家が使用している例を挙げて、
それがどのように刺激や印象を与えるか・・というような分析がなされていた。
Modality(話し手の判断や感じ方を表現する言葉)などの範疇に類する形式のようである。
論文の中に、「甘い声」は、甘い(味覚)が形容する声(聴覚)であり、「柔らかい音」なども触覚→聴覚、
昔テレビドラマに宮尾登美子作「蔵」を見たが、初しぼりの日本酒を松たか子が口にして
「すずしい味がする~」というのを思い出したが、これなども触覚→味覚的な表現である。
「甘い香り」は、味覚→嗅覚。
こうやって見ると、言葉はいろいろな用い方によって、新しい表現というかより印象深い表現を作り出すことになるのだ・・。
ヤンキースの後は、沖縄での日本オープンを見た。雨交じりの強風のなかで、プロたちは苦戦していた。明日は最終日。
甘いささやき(paroles)