蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

甘い球   (bon)

2012-10-14 | 日々雑感、散策、旅行

昨日、NY(ニューヨークヤンキース)は、いよいよリーグ優勝決定戦出場が決まった。
昨日の試合でも、イチローは活躍していた。 解説者は、盛んにピッチャーが投げる球を「甘い球」と
言っているのが、どうも引っかかった。

甘い球・・面白い言い方である。意味はよくわかる。しかし、球を味わって甘いわけではない。
もともと味わうなんてものでもない。 

 例によって、ちょっと立ち止まって思いめぐらせてみた。 甘い声、甘い言葉、甘い考え・・・
甘いばかりではない。 渋い声、苦い顔、辛い評価・・・など、このような言い方は結構ある・・。

 仮に、このような言い方を、「五感の形容する言葉」とでも言っておこう。

思いつくままに、五感の形容する言葉・・を列挙してみると、

甘い:甘い球、甘い顔、甘い判断、甘いささやき、甘い点・評価、
渋い:渋い顔、渋い色、渋い判断、渋い点・評価、
辛い:辛い点・評価、
苦い:苦い顔、苦い言葉、

味覚だけではない。

触覚(身体感覚):熱いこころ・思い、熱い涙、やわらかい音、涼しい顔、冷たい態度、重い心、硬い音、硬い話、
視覚:まぶしい顔、
嗅覚:香り高い文体、
聴覚:靴が鳴る

まだまだあるかもしれないが、ネットで調べてみることにしたら・・ナント、

「心理学研究」1988、Vol.58 “共感覚に基づく形容表現の理解過程について”(学習院大学 楠見 孝) 
や他の論文などがぞろっと出てきた。 

またく同じ視点ではないが、これらの論文の中では、文学や小説など作家が使用している例を挙げて、
それがどのように刺激や印象を与えるか・・というような分析がなされていた。 

Modality(話し手の判断や感じ方を表現する言葉)などの範疇に類する形式のようである。
論文の中に、「甘い声」は、甘い(味覚)が形容する声(聴覚)であり、「柔らかい音」なども触覚→聴覚、

昔テレビドラマに宮尾登美子作「蔵」を見たが、初しぼりの日本酒を松たか子が口にして
「すずしい味がする~」というのを思い出したが、これなども触覚→味覚的な表現である。 
「甘い香り」は、味覚→嗅覚。 
こうやって見ると、言葉はいろいろな用い方によって、新しい表現というかより印象深い表現を作り出すことになるのだ・・。


 ヤンキースの後は、沖縄での日本オープンを見た。雨交じりの強風のなかで、プロたちは苦戦していた。明日は最終日。




甘いささやき(paroles)







コメント (4)
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