先日、4月16日に、多摩森林科学園に同窓生のハイキングがありましたが、園では、特別企画の
“京都ゆかりの桜”が、ちょうど見ごろでした。学芸員の説明の中に、“衣通姫桜”(そとおりひめ桜)
というのがありました。
これは、古事記、日本書紀に出てくる允恭天皇(いんぎょう天皇=仁徳天皇の子)の皇女、衣通姫に
因んでその美しさから命名されたそうです。絶世の美女は、衣を通してその美しさが輝いていたとか。
古事記では、第3巻(仁徳天皇以降)に収められていますので、そこまでたどり着けるかどうか心配では
あります。
黄泉返りと禊ぎ(よみがえりとみそぎ)
こうしてイザナギノミコトは、穢れた黄泉の国からやっと地上へ戻ってきたのでした。(このことから、
「黄泉の国から返る」が、「よみがえる=蘇る・蘇る」という意味になったとか)
イザナギは、「わたしは、とても汚く穢れた醜い国へ行ってしまったので、みそぎ(禊ぎ)をしなければ
ならない。」といって、九州の日向で、“みそぎ” をしました。その時、身につけていたもの
(杖・帯・袋・衣服・袴・冠・腕輪)を投げ捨てる時に十二柱の神々が出現しました。 そして、
イザナギは、「上流の方は水の流れが速く、下流はおそい。」といって、海の真ん中で身体を洗った時に、
さらに十柱の神々が生まれ、さらに、六柱の海の神が生まれました。
最後に、左の目を洗った時に出現した天照大御神(アマテラスオオミカミ)、右の目を洗った時に
出現した月読命(ツクヨミノミコト)、鼻を洗った時に出現した須佐之男命(スサノオノミコト)の
三柱の神々がうまれたのです。 この三人の神を “三貴子” と呼ばれています。つまり、天父神の左右の
目から、日神と月神が生まれ、鼻からスサノオが生まれ、アマテラスとスサノオは、姉弟の関係にあるのです。
天照大御神
(ウイキペディアより)
イザナギは、「わたしは、これまで多くの子を生んだが、一番最後に貴い三人の子どもたちを得た。」
と喜び、自分の首にかけていた玉の首かざりをゆらゆらと鳴らしながらアマテラスオオミカミに授け、
「あなたは、天(高天原)を支配しなさい。」といいました。次にツクヨミノミコトに「あなたは、
夜の国を治めなさい。」といい、スサノオノミコトには、「あなたは、海原を治めなさい。」とそれぞれに
任務を与えました。
それぞれの神は、イザナギから委任された国を治めることになるのですが、スナオノだけは、
委任された海原の国を治めずに、アゴヒゲが胸元までのびるまで長い間泣きわめいてました。
激しく泣く有様は、ものすごくて、緑の山々が枯山になるまで泣き枯らし、海や川の水が泣き乾してしまう
ほどでした。そのため、禍を起こす悪神の騒ぐ声は、夏のハエのように世界に充満しあらゆる悪霊の禍が
次々と起ってしまいました。
そこでイザナギは、「どうして、お前は、命じた国を治めないで、泣きさわいでいるのか。」と尋ねると、
スサノオは、「わたしは、亡き母のいる黄泉の国(根の国)へ行きたくて、泣いております。」
と答えたので、イザナギは、ひどく怒って、「それならば、お前はこの国に住んではならない。」
といって、スサノオを海原の国から追放してしまいました。
海原の国を追放されたスサノオは、「それなら姉のアマテラスに事情を申し上げてから、黄泉の国に
行こう。」と言って、天に上って行く時、山や川が大荒れの嵐になり、国中が揺れ動き、アマテラスは、
その音に大変驚いて、「わたしの弟が、天に上ってくるのは、きっと善良な心からではあるまい。
わたしの国を奪おうと思っているに違いない。」といって、髪をふりほどき、左右の耳のところに輪を巻き、
その髪の輪にも、鬘(かずら)にも、左右の手にもたくさんの勾玉(まがたま)がついた玉の緒(お)を
巻きつけて、男の髪型にし、背中には矢が千本も入る筒を負い、腰にも五百本入る筒を、腕には威勢のよい
音が出る鞆(とも)をつけ、弓を振り立てて、力強く地面を踏みつけ、沫雪のように土を蹴散らし、
雄々しく勇ましい態度でスサノオを待ち受け、「おまえは、どういうわけで昇って来たのか!」といった。
スサノオは、「わたしは、やましい心を持ってはいません。ただ、父、イザナギが、わたしが泣きわめく
わけをきかれたので、わたしは、亡き母のいる黄泉の国へ行きたいと思って泣いているのですと答え
ましたが、お前はこの国に住んではいけないといって、私を追放されたのです。それで、母の国、
(黄泉の国)へ行く事情をお姉さんに報告しようと思ってここに参上したのです。謀反の心などはありません。」
「それなら、あなたの心の清いことをどうやって証明するのか?」 「神々に誓約(ちかい)を立てて、
女の子を生んでみせましょう。」とスサノオが、天の安河を中にはさんで誓約(ちかい)をしている時に、
アマテラスは、スサノオがつけていた長い剣を取り、三つに折って、音もさやかな神聖な井戸水で清めて、
その剣をかんで砕き吐き出す息の霧から三柱の女の子が生まれたのです。
そして、スサノオが、今度はアマテラスの髪にまかれた玉の緒を噛んではき出す息の霧から、また左右の
手にまかれていた玉の緒を同じように噛んで吐き出す霧から合わせて五柱の男神が生まれた。
アマテラスは、「この後から生まれた五柱の男の子は、わたしが身につけていた玉の緒から生まれた神
ですから、当然にわたしの子です。先に生まれた三柱の女の子は、すべてあなたが身につけていたものから
生まれたのですから、すべてあなたの子です。」といった。
そこで、スサノオノミコトは、得意げに、「わたしの心が潔白で明るい証拠として、女の子が生まれた
のです。これで、この誓約に私が勝ったのです。」といって、勝に乗じて、次々と乱暴をはたらくのです。
アマテラスが耕作する田の畔(あぜ)を壊し、田に水を引く溝を埋め、大嘗祭を行う神殿に、糞を
ひり散らして穢したのです。しかし、アマテラスは、「糞のような汚いものは、きっと酒に酔って戻して
しまったのでしょう。田の畔を壊し、溝を埋めたりしたのは、土地を再生させようとしたのでしょう。
すべて、わたしのかわいい弟がやったことです。」と、善い方にとられたのですが、スサノオの乱暴は、
止まることなくますます激しくなるのでした。
ある日、アマテラスが、神聖な機織場(機屋)で、神様の着物を機織女に織らせていると、その時、
スサノオは、まだら模様の馬の皮をはいで、その死体を機織場の天上に穴をあけて投げ込んだのです。
機織り女は、これを見て驚き、梭(ひ=機織りで横糸を通すための道具板)で、女陰をついて死んで
しまったのです。
これには、さすがのアマテラスも恐ろしくなって、天の岩屋戸の中に隠れてしまいました。
そのために、高天原は、真っ暗になり、葦原の中国(あしはらのなかつくに=高天原と黄泉の国の中間、
すなわち地上の世界)も闇につつまれてしまいました。 永遠の暗闇が続き、多くの邪神の騒ぐ声は
まるで夏のハエのように世界に満ち、あらゆる禍が一斉に発生したというのです。 (つづく)
明日24日から、今年初めての蓼科農園“畑開き”に行ってきます。予報では、全日お天気が良いようです。