朝夕はめっきり涼しくなり、あの頑固な夏も舞台を秋に譲り始めました。
さて、あの神楽坂の“若さん”から、不思議の国アメリカ研究(3)が届きました。
“若さん”といえば、先頃、夏の初めに「夏の夜の体験」と題して、靖国神社裏のこわ~
い体験談ブログアップがありましたが、今回は、アメリカ・シカゴで起こっている怖い
リアルな事件をまとめられたものです。
“若さん”レポートの、「米銃乱射事件」(2016.6.19)でも、アメリカの裏社会の一面が
描かれていましたが、今回はシカゴの定点観測による研究結果としてまとめられたようです。
彼曰く『人口約270万人のシカゴは大阪の姉妹都市です。8月のシカゴトリビューン紙の
殺人事件記事(Homicide Reports)は 54件、真夏の最も銃撃事件の多かった8月19,20日の
記事をまとめました。日本は今のところ 9月神戸の任侠山口組1件だけのようです。』
では早速、アメリカ研究(3)をご紹介しましょう。
****若さんの「不思議の国アメリカ研究(3)」****
2017年8月20日(日)02:30、
53区のナイトクラブ駐車場で銃乱射事件!
シカゴ中心部(The Loop)ビル群 ギャングが使う銃(Top20) 市最南端の53地区、乱射事件現場
ここ数年、米国シカゴの銃乱射事件ウエブサイト( HeyJackers=事件発生毎に更新、日
本からはアクセス制限厳しい)を定点観測しています。2016年は銃殺人789人(過去10年の
平均450-500人/年)負傷者も4,368人に激増するも、検挙率は史上最低! 窃盗事件、暴力
事件も増加、加えてオピオイド(ヘロイン、処方鎮痛剤)過剰摂取死も全米平均比150%の
危険度急上昇都市です。 それでも、イリノイ州シカゴ市は全米大都市殺人ワースト8位と
ありますから、もっと危ない大都市が多くあるということです。( by THE Trace)
週末に銃撃事件が頻繁に発生! 銃撃事件を時系列に報告します。
(参考:以下の地域殺人事件のワーストランクを ①、②…で表示しました。)
この週末(8月19,20日)は 911通報(=110番,119番)が激増しました! 日曜朝までの
13時間にシカゴ全域で複数の銃撃事件が発生し 33人が負傷、7人(黒人5、ヒスパニック1人
白人1人)が死亡。 まさに「Most Violent Weekend 最悪の暴力的週末」となりました。
しかも、殺人犯逮捕はゼロ!
個々の銃撃事件について、以下にChicago Tribune紙の記事を追ってみました。
◇18:30 土曜日 市北西部の22区(Logan Sq.)で歩行中の男性2人にダークカラーのSUV
が停車し発砲。R. Hernandes(21歳/白人)が頭に銃撃うけ、救急搬送先病院で死亡(日曜
11:12)20歳男も左太もも負傷し入院。
◇19:45 市の南端に近い黒人居住(98%)71区(Gresham)で、近づいてきたSUVから20歳
男性に発砲。男は頭部に銃弾を受け、病院で重篤状態にある。(殺人リスク全米平均の321%
の地区)
◇20:15 「West Side」は貧困世帯比率が、市平均(19%)を超える(30-40%+)9区で構成さ
れるエリアの総称であり、シカゴ市内で最も銃撃・殺人事件が集中するエリアです。ポー
ランド系白人(57%)とヒスパニック(29%)の居住する24区(West Town)で、17歳少年が
左膝に銃撃を受け負傷。
◇20:45 ヒスパニック系(89%)低学歴工場労働者(高卒以下51%)が多く住み、バンガロー
と呼ばれる平屋戸建ての多い地域。 市南西部に位置する63区(Gage Park)は、殺人リスク
全米平均比349%の危ないエリアです。公園で飲酒疑い(公共の場で飲酒違法)のグループを
警察官が現場で取り調べ中、銃所持者を発見。 撃ち合い寸前、警官が発砲。銃所持の男は
頭部に銃創受け病院搬送し、銃は押収した。 (参考:8月初旬迄、警官発砲による犯人・
被疑者死亡25人/銃死亡388人=6.4%)
◇21:15 黒人低所得世帯が多く住み、総合的犯罪率は全米平均より低い(83%)のに、殺人
事件ワーストNO.1の25区(South Austin①、WestSide)で 駐車中の車内にいた42歳男に、
別の車から発砲。 左脚負傷も自ら運転し病院で治療を受けた。
◇21:35 WestSideの27区(East Garfieldpark④)で17歳少年が歩行中、突然、近くの
路地でギャング・グループ同士の銃撃戦が発生。 流れ弾で左脚負傷した。
◇23:20-30 WestSideの25区(South Austin①)で ほぼ同時刻に2件の銃撃事件発生!
West Chicago Avenue(23:10)にいた3人に、マスクをした2人組の男達が接近して発砲。19
歳少年左臀部と左脚負傷。23歳男左腕負傷。30歳男は背中を撃たれ、現在病院で危篤状態
にある。
その現場から800m離れた、West Ferdinand Street(23:30)で多人数のグループ同士が
怒鳴りあいを始めた。何者かが銃を複数回発砲。 直後突然罵り合いが終わり、3人が銃に
より負傷。 30歳男が胸と右足に銃撃を受け病院で危篤状態。62歳男は左足負傷、32歳女は
左足負傷し2人とも病院で治療を受け、安定状態にある。
◇01:25 日曜日 67区(West Englewood②)グループ(2人)で屋外にいたところ 車が
止まり 2人に複数回の銃撃を浴びせた。22歳の男は病院で死亡確認。 別の23歳男は病院で
危篤状態にある。 同地区では、前日の土曜日午後16:20にも24歳男が、顔、胸、腕を銃撃
され、救急搬送された病院で死亡が確認された。
銃殺人マップ シカゴ市の区は77区に分割
(濃青色=West Side、少し濃い、うす青、白=ゼロ) (赤は53区)
◇01:35 市の南部、92%が黒人の居住する38区(Grand Blvd.)を運転中の60歳男が何者か
から右肩に銃撃を受けた。負傷にも関わらず自ら病院まで運転して治療を受けた。
◇02:00 West Side の白人43%とヒスパニック10%、アジア人15%の居住する28区(Little
Italy)で、路上に立っていた23歳の Q. Tucker君の前に2人の男が乗った車が止まり、複
数回の発砲。血だらけの彼の死体は近くの M.Smith 小学校のグラウンドで発見された。
◇02:15 West side 25区(N.Austin①)で、34歳女が走行中のダッジ・チャージャーか
ら足に銃弾を受け負傷した。
◇02:30 8名がナイトクラブ駐車場で銃乱射を受けた! (最上段写真右)
新月前夜、街路灯だけの暗いナイトクラブ駐車場に入ってきた黒のSUV車から突然の乱射。
7名負傷、1名現場で死亡。(Kalby L.Claig/黒人33歳、上段写真右の白いシーツ) 犯人の
車は逃走。警察発表による銃撃の負傷箇所(年齢性別)は3名脚部(30歳男、32歳女、33歳女)、
腹部(33歳男)左脚部(31歳女) 臀部(36歳男)足首骨折(40歳男)。 53区(West Pullman
⑮)は 市の最南端に位置した人口12.2万人93%がアフリカ系アメリカン人(黒人)の居住する
地域。 殺人統計的には、濃い青の地域が 300-470%、その濃い青に次ぐ薄青色の地域でも
323%と危ない。 失業と工場跡地の汚染土が問題になっている地域です。
◇03:45 33区(Lower West Side)で17歳少年が右脚に銃撃を受け負傷。
◇04:30 市北東に位置する1区(Rogers Park)白人40%、ヒスパニック26%、黒人26%が住む
地域は、総合的犯罪率は 全米平均より下回る(84%)ものの 殺人は 214%(薄い青色地域)。
車道わきの歩道に3人で立っている時、通りがかりのフォードSUVから発砲。R. Campbell
32歳黒人男性が首に銃撃を受け病院で死亡。23歳男は臀部、23歳女性は首を撃たれ病院に
収容された。
◇05:10 ヒスパニック系住民(86%)の多い58区(Brighten Park⑭)交差点で、信号待ち
をしていた B. Robell 30歳ヒスパニック男性が複数個所(頭、首、腕)を銃撃され、搬送
先病院で死亡が確認された。
史上最悪の殺人犯検挙率:19.8%。
薬物・アルコール関連死も非常に多い、危ないシカゴです。
M. Jackson (過剰摂取死) オピオイド(処方鎮痛薬) チャカカ-ン(入院) プリンス(過剰摂取死)
検挙率低下要因は、ギャング絡みの事件急増、警察予算削減、容疑者拘留時間短縮等が
挙げられますが、大半が対抗組員を狙ってのギャングの犯行と推察されます。 統計的に
は、被疑者死亡、州外逃亡、証言拒否等々の母数減で実際の検挙率は下がります。今年の
検挙率は銃撃事件全体の12.8%。(全米平均61.5%, WBEZ News, Jan 2017、HeyJackers
2017 Sep)
2016年プリンスの死亡で注目の(チャカカーンも中毒治療)オピオイド(ケシから抽出、
合成される鎮痛剤=処方薬オキシコドン等、麻薬ヘロイン)の 過剰摂取死は 全米平均の
1.5倍。 シカゴを含むクック郡全域では647人(2015)と銃殺人(787人)に迫る。全米では
銃殺人を超える5万人に上り、国立衛生研究所(NIH)が緊急警報を発令した。(全米中毒者
190万人!)
また、ギャング抗争の背景には、ヘロイン /処方薬違法取引が絡む。さらに全米死因4位
の事故死(13.8万人)の約30%が薬物、飲酒による交通事故。そして、アルコールが主因の
死亡も全米8.8万人と大問題。
あらためて、平和な神楽坂で飲むことのありがたさを感じています。 つづく