コロナ禍を救済する命綱ともいわれるワクチンは、昨年12月にファイザー社製
新型コロナワクチンの製造販売許可が申請され、昨日(2/14)これが特別承認され、
いよいよ17日から国内での接種が始まるのです。
(アストロゼネカ社は、今年2/5に申請が行われています。)
先ずは、国立病院などの医療従事者1万人以上、次に優先接種として一般の医療
従事者約370万人に、そして4月以降に高齢者約3600万人、基礎疾患のある人など
1000万人、その後一般向け接種が行われる計画と発表されています。16歳以下およ
び妊婦等への接種については安全性などをさらに検討するとなっています。
まるきりの素人ながら、世界中が大急ぎでワクチン接種に取り組んでいるこの事
象を新聞やネット記事から思いめぐらせてみました。
このように一度にたくさんの人たちに接種するのは初めてのことで、全国に配送
するのも、極低温で振動も嫌うという代物だそうで、これを地方のそれぞれ近くの
接種会場まで届けるわけですから大変です。そして、各会場での対応も、問診の結
果接種OKとなった人ですから、三密にならないよう配慮しながら接種する・・という
プロジェクトですね。
このワクチンは日持ちもそれほど長くないようですから、多くの人に効率よく実
施するにはどのようにすればよいか、それぞれの現場で工夫が必要とあります。
医師、看護師の数が間に合うのかも心配な事柄です。
ワクチンの接種を受ける手順は厚労省ページに次のようにありました。
(1)事前に、市町村から「接種券」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届く。
(2) ワクチンを受けることができる医療機関や接種会場(公示)を探す。
(3) 電話またはインターネットで予約する。
(4) 受ける際には、「接種券」と「本人確認書類(健康保険証など)」を持参する。
なお、接種費用は全額公費(無料)で接種出来ます。
このファイザー社のワクチンは、新聞(読売)記事によれば、従来型の毒性を減
じたウイルスそのものや突起のたんぱく質ではなく、メッセンジャーRNA(mRNA)と
呼ばれる画期的な新技術によるもので短期間で大量に生産できるのだそうです。
ついでに、ネットで現在開発されている新型コロナのワクチンの主なものを再掲
します。
- ファイザー(メッセンジャーRNAワクチン アメリカ)
- アストロゼネカ(アデノベクターワクチン イギリス)
- モデルナ(メッセンジャーRNAワクチン アメリカ)
- CanSinoBIO(アデノベクターワクチン 中国)
- Gamaleya Research Institute(アデノベクターワクチン ロシア)
- 大阪大学/アンジェス/タカラバイオ(ベクターワクチン DNAプラスミド)
- 東京大学医科学研究所/第一三共(メッセンジャーRNAワクチン)
- 国立感染症研究所/UMNファーマ/シオノギ製薬(組み換え蛋白ワクチン)
新型コロナワクチンの有効性、安全性については、これまで90%以上の効果が報
告されており、安全性についても副反応は皆無ではないけれども重篤なものはごく
まれだといわれています。
現在、世界でワクチン接種の実績は、上位のものだけを見ますと下図のように進
んでいますが、まだまだこれからというとこです。
世界のワクチン接種状況(上位国 2/12) と 累計(2/10)
(共に、日経ネット記事より)
これらのワクチンの、各社別契約数は、現状で下図のようになっています。
各社別契約数(日経ネット記事より)
これら世界が求めているワクチンが、一つの戦略的製品(薬品)となっているよ
うです。例として、中国、ロシア、インドが開発するワクチンの供給先を囲い込む
ような図式が出来上がっているようです。ワクチンは新型コロナ収束の切り札でも
ありますが、外交上の切り札?にもなっているかもしれません。
懸念としては、先ごろ明らかになったようですが、欧米では、昨年から問題の一
つとして、例えばファイザー社のワクチンは、日本との契約で、接種回数での契約
になっているそうです。それが、今回日本で発注した注射器では、ワクチンの入っ
た小瓶(バイアル)から、5回分しか取れないのだそうです。
ファイザー社との契約では、接種回数ですから、例えば、1億回接種分とすれば、
ファイザー社は、6で割った小瓶の数(約1670万個)と計算するでしょうが、この
数では、1670万×5=8350万回で、2割弱接種回数が減ってしまうことになります。
どこに行ったのかといえば、注射針の根っこあたりにワクチンが残ってしまうのが
原因だそうです。 特殊な注射器を使えば、6回分取れるというのだそうですから、
事前にこのあたりの情報を共有していれば問題は起きなかったと思われます。
先行する世界の情報共有がうまくなかったのでしょう。このあたりの交渉は今後
行われるでしょうけど、いずれにしても折角のワクチンが使われずに捨てられてし
まうのは、いかにも惜しい気がしてなりません。
海外では欧米を中心に、針の付け根の部分にワクチンが残らないようにした、特
殊な形の注射器が流通しているということですが、品薄だそうです。
これまで世界を脅かした感染症、ペスト、コレラ、天然痘、インフルエンザなど
などを克服してきた人類は、今また新型コロナウイルスにより、これまで以上のス
ピードで全世界を席巻しました。対応すべきワクチンの開発も、これまでとは比較
にならない驚異的なスピードで行われ、一日も早い投与が期待されますが、一方で
は、このようなスピード開発を可能とする技術基盤が、それが悪用されない保証は
ないと考えれば、また別の心配が惹起してくるかもしれないのですね。
ファイザー製新型コロナワクチンを正式承認 厚労省