ロシアは、人道回廊を4都市に設定し、そこにおいては攻撃を一時停止するとの提案を
示しているそうですが、攻撃の一時停止はなく、これらの回廊はすべてロシア国内に
通じているというから、敵国に避難するなど全くバカげた提案をしており、一方国内
向けには、「誤った情報を発したり、流した者は罰する」との規定にサインするなど、
極めて陰険、悪質な判断をしているとしか思えない・・日々このような情報を聴くに
つけ心は疼きます。
あまり聞きなれない言葉ですが、昨今、医学だけでなく社会学や経済学の分野で
関心が高まっているというのです。
健康というのは、医学的・生物学的な要因だけでなく、日常生活を営む中で、健
康に影響を及ぼす社会的要因、すなわち所得、学歴、就業、地域特性などなど多様な
要因によっても大きく影響を受けていることが知られており、これらの視点から健
康を捉えて行こうというのです。
(ネット画像より)
手元の会報記事に『社会科学的に考える健康格差』(小塩隆士氏、一橋大学経済
研究所教授)と題する投稿があり、バブル崩壊後の非正規雇用、低賃金など就職氷
河期における日本社会の構造変化や特徴が健康格差に影響を及ぼしていることが明
らかになっていると指摘されています。
健康格差とは、人種や民族、社会的・経済的地位による健康と医療の質の格差の
ことで、2008年に世界保健機構(WHO)が健康格差是正の推進を勧告したことに始まり、
日本もWHOの勧告を受けて2012年に厚生労働省が策定した「国民健康づくり運動プラン」
に「健康格差の縮小」を明記した とありますから、かなり前から取り組まれてい
たことなんですね。
近年急速に関心が高まっている視点として健康の『社会的決定要因』(SDH:Social
Determinants of Health)があるが、これは、人々が日常生活を営む中で、健康に
影響を及ぼすと考えられる様々な社会的要因を指し、所得、学歴、就業、家族や職場、
地域の特性およびそこに住む人々との関係、保険・医療・福祉にかかわる様々な社
会経済制度、社会規範など多様で広範囲の要因が含まれているのです。
SDHは、大きく2つのグループに分けられるという。 第1は、日常的な生活や働き方
などの環境で、第2は、医療政策、経済面の不平等、職場環境、男女格差などとあり
ます。 つまり、経済面の格差が拡大するのに呼応して健康格差が広がるとの指摘
ですが、これは先進国と途上国との間の問題ではなく、生活水準の高い先進国内でも、
低所得層に対する医療・福祉・保険サービスに格差が広がり深刻な問題となって来
ているというのです。
したがって、健康という問題を、健康格差の視点からとらえた場合、社会科学に
とっても重要な研究テーマであり、社会経済活動(つまり、私たちの暮らし方)と
どのような関係にあるかを明らかにし、健康格差を是正して社会的厚生を高める政策
のあり方を考えて行きたいと述べられていました。
ここで取り扱う指標として注目されている「健康変数」として、『主観的健康感』
と『K6スコア』が取り上げられています。
『主観的健康感』は、『あなたの現在の健康状態はどうですか?』に対して「大
変良い」「良い」「どちらかといえば良い」「どちらかといえば悪い」「悪い」
「大変悪い」のような選択肢から回答させる、かなり大雑把な主観的なものではある
けれども、この変数は身体的な健康状態をかなり良く反映しているとあります。
また、これと並んで、メンタルヘルス面の指標として『K6スコア』が用いられる
とあります。
『K6スコア』とは、うつ病・不安障害などの精神疾患を選別することを目的として
開発された6項目からなる尺度で、メンタルヘルスの状態を示す指標として広く利用
されていて、通常、回答はスコア化(0~24点)されてスコアが高いほど、メンタル
ヘルスの状態が悪いとみなされる とありました。
これらの分析から、記事のまとめとして、就職氷河期世代の健康問題は、いわゆる
非正規雇用などの不安定で低賃金の雇用形態にある世代はそれ以外の世代に比べて
健康面で不利な状況にあると指摘し、これらは日本社会の効率性追求が健康面に与
えてきた負荷であると指摘、さらにこれら就職氷河期世代の高齢化に伴う日本社会は、
大きな健康格差を伴う社会になる危険性を含んでいると結ばれています。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)のページに、「コロナ禍における
仕事・生活とメンタルヘルス」の分析がなされていましたので、その内の一部につ
いて、参考のためにここに引用しました。 ここでの数値は「K6スコア」を用いて
います。
メンタルヘルスK6の状況 雇用労働者N=3930
K6数値 5以上は何らかの問題がある
K6スコアの分布―2020年4月以降の転職、本人収入減少、世帯の生活水準低下の有無別
上表で、新型コロナ感染拡大以降(2020年4月以降)に転職を経験した者は、同一
企業での雇用継続者に比べてK6スコア5点以上の割合が高く、個人収入との関係でも
調査時点でコロナ前と比べて本人の収入が低下した者では、低下していない者と比
べてK6スコア5点以上の割合が高くなっています。
また、本人所得以外の要因も含め、世帯の生活水準が低下した者では、K6スコア
5点以上の割合が65.5%に及び、生活水準が低下していない者に比べてメンタルヘルス
の状況が悪い傾向にあります。背景として、低下した生活水準自体によるストレス
も考えられますが、今後の見通しが立たないという生活不安(家計不安)も関係し
ていると考えられるのです。
本文とは関係ありませんが・・
【タンゴ Tango】オレ グァッパ Ole Guapa/マランド楽団 MALANDO/レコード/高音質