映画を観ました。 NHKのBS映画劇場で放送されていた録画「裏窓」です。
1954年のアメリカ映画で、アルフレッド・ヒッチコック監督、主演は、ジェームズ・
スチュアート、グレース・ケリーらのサスペンスものです。
超有名な映画ですから、すでにご覧になられた方は多いと思いますが、もう70年
近く前の映画なんですね。この頃のヒッチコック作品で、グレース・ケリーが出演
している映画、「ダイヤルMを回せ!」(1954年)や「泥棒成金」(1955年)を数年
前に観ましたが、ヒッチコックだけあってどれもスリルとサスペンスに満ちた映画
ですね。
(ネット画像より)
で、この「裏窓」(Rear Window)は、ニューヨーク、マンハッタンのとあるア
パートがその舞台で、カメラマン(ジェームズ・スチュアート)が撮影中の事故で
足を骨折し、左足全体をギプス姿で、車いす生活を強いられています。 もう何
週間も部屋から一歩も出られず暇を持て余したカメラマンは、中庭の向こうのア
パートの住人の生活を覗き見る楽しみを覚えるのです。 彼を訪ねてくるのは、
彼の恋人(グレース・ケリー)と世話係の看護師くらいで、もっぱら会話の場面
が続き、画面は窓から見えるアパートの様々な人々の生活だけという、舞台劇の
ような設定なんですね。
彼は覗き見に次第に興味を持ち始めている時、夫婦喧嘩ばかりしていた妻が忽然
と姿を消すのです。双眼鏡やカメラの望遠レンズで不審な様子を追いかけるよう
になるのです。
彼の目線とスクリーン画面が一体となり、おまけに動作は見えるけれども中庭
の向こう側の窓ですから音が小さく聞こえる程度で言葉は聞こえない。彼の想像
がドンドンと膨らんで行くのでした。映画の視聴者は、彼と同じ状況に置かれて
いて、彼の目の動きや仕草でその状況を共有して行くのです。
(ネット画像より)
どうも殺人が起きたらしいと分かるのですが、その相手にこちらで覗いている
ことがバレて、逆に彼の部屋に侵入してくるシーンにはドキドキさせられるのです。
身動きが取れない車いすの彼に、じわじわと男は迫ってくるのです。 このあたり
はヒッチコックのお家芸の演出で、この映画のクライマックスでしょう。
また、恋人役のグレース・ケリーは、シーンごとに素晴らしい衣装を着用して
その美貌を披露していました。ヒッチコックは彼女を評して "Grace Kelly is a
snow covered volcano"(雪に覆われた活火山)と述べた有名な逸話があるとあり
ました。
話は脱線しますが、グレース・ケリーは、1929年生まれで裕福な家庭の3人姉妹
の真ん中でおとなしい性格であったようですが、20歳で女優となり、急速に上昇し
25歳『喝采』でアカデミー賞主演女優賞を受賞しており、翌年、モナコ公妃となり
ます。大きな話題になっていましたね。3人の子に恵まれますが、52歳の時に自ら
運転する車の交通事故で他界してしまうのです。
そういえば、まだ22~3歳の頃、渋味のある中年男の孤独と苦悩を演じるゲーリー・
クーパーと共演した、あの「真昼の決闘」にも妻役で出ていましたね。
(ネット画像より)
「裏窓」は、全編スタジオセット撮影という限られた空間でこれほどまでの緊迫
感や恐怖感を生み出しているのはさすがとしか言いようがありませんが、映画評
にはさらに次のような解釈がありました。
『彼(カメラマン)が裏窓を通して人生を知るという大きなテーマにある。妻の
浮気を疑い、ついには殺害してしまうセールスマンの夫はもちろんのこと、男たち
を手玉にとるように見えて、実は純情だったことが最後に分かる踊り子、失恋の
末に自殺しようとして、隣家の窓から流れてきた美しいピアノ曲に救われる孤独
なオールド・ミス。いつまでも冒険を追い求め、自分の人生を築くことから逃げ
ている彼にとって人生とは何か、自分にとって大切な人は誰かを教えるライフレッ
スンになっている。そして、人間の真の姿を知るには、表側からではなく、裏窓
から見るに限る、と。』
かなり深いですね。
Caught Snooping - Rear Window (7/10) Movie CLIP (1954) HD