蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

国連デー  (bon)

2023-10-23 | 日々雑感、散策、旅行

 明日、10月24日は「国連デー」です。第二次世界大戦の防御に失敗した国際連盟
代わって戦後、1945年10月24日に国際連合憲章が発効し、国際連合として正式に
発足したのがその由来だとあります。当時 51ヵ国が加盟しており、日本は1956年に
加入が認められました。現在は193カ国の加盟です。

         (ネット画像より)

 この国連について、すでに長期にわたる戦争、ロシアのウクライナ侵攻を止める
にも、当事者が拒否権を持っている限り、国連の出番はなくなり、今回勃発したパ
レスチナ問題でも、食料や医薬品に困窮するガザ地区に物資を支援するとの決議では
アメリカが拒否権を発動して、これも頓挫しています。国連はいったい何が出来る
のか? グテーレス事務局長はメッセージを発出していますが、具体的な実行は出来
ていないのです。

 国連デーに当たり、ここら辺のことをにわか勉強ですが、少し考えてみたいと思い
ました。 しかし、その前に、今回なぜ突如として、ハマスがイスラエルに攻撃を
仕掛けたのでしょうか? この問題を私なりに整理してみました。かなり端折って
いますので分かり難いかもしれませんがお許しください。先のNHKクロ現でも解説
されていました。


 これまで国際問題などに関心が薄く、出来事程度の認識しか持っていませんでした
から、昨今の殺戮にはただただ驚くばかりです。 もう1年半以上も続くロシアの
ウクライナ侵攻も多くの死者と瓦礫の山を残しながら一向に終わりを見せないでいた
ところに、今度は、パレスチナ問題の再燃で、今月7日に突如パレスチナを実効支配
しているハマスによる大規模なイスラエル攻撃が勃発しました。双方の空爆により
民間人を含む5000人以上の死者が出ていると報じられています。

 なぜこのようなことが起こったのか? にわか勉強ですが、イスラエル、パレス
チナの問題はすでに2000年以前から起こっており未だ解決できないまま紛争を繰り
返し今日に至っています。 もともとこの地はパレスチナと呼ばれており、エルサ
レムはキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の3つの宗教の聖地であり、アラブ人、
ユダヤ人らが共に暮らしていました。

 ところが、ユダヤ教の新教キリスト教を唱えたイエス・キリストがユダヤ人により
処刑されたことから、後にローマ軍によりユダヤ人はこの地から追われることになっ
たのが始まりで、その後も紛争が絶えなかったところ、ナチスドイツによるユダヤ人
ホロコーストを受け、ようやく1947年に国連によるパレスチナ分割決議が行われる
のです。

 これにより、この地(パレスチナ)を、イスラエルとパレスチナに分割し、翌年
イスラエルが建国するのです。しかし、パレスチナは国ではなく「自治区」として
イスラエルの管理下に置かれています。イスラエルから供給を受ける立場のパレス
チナには不満が募って行くのは当然で、その後も紛争が絶えない問題地域として扱
われてきました。

         オスロ合意(1993年)
          (毎日新聞より)


 1993年には、あのクリントン大統領時代にノルウエーとの仲介で「オスロ合意」が
成立し、パレスチナ暫定自治区が認められ現在に至っています。パレスチナでは、
アラファト議長の死亡後アッバス議長に引き継がれてきましたが、2006年にハマスが
勝利しパレスチナを支配(統制)してきました。自治区が認められたのちも、ヨル
ダン川西岸地域では、イスラエル入植が頻繁に行われるなどパレスチナへの圧迫は
続く一方で、水や食料、必需品迄がイスラエルから供給を受ける立場で困窮が絶え
ない状況であったそうです。 自治区の周囲には8mもの塀が建てられ、パレスチナ
にとってはその中に閉じ込められた状態で、「天井のない監獄」とまで言われていた
そうです。

        ガザ地区の壁
         (ネット画像より)

 パレスチナのこの困窮と抑圧による20年近くにわたる鬱憤が、今回爆発したので
しょう。 
 ガザ地区は、勃発後は完全に閉ざされ。一切の食料などが供給されず、ようやく
10/21にラファ検問所から20台のトラックによる支援物資が搬入されたのですね。
ガザ地区だけでも200万人いるとのことですから、20台のトラックはまさしく焼け石
に水状態なんでしょう。

 ハマスによる暴挙は、いわゆるテロと見做されていますが、多くの住人達の悲惨な
生活は、20年近くも続いており、なぜこの問題が放置されて来たのか?  今さら
ながら不思議でならないとも思いますが、しかし、これまでの長い歴史にわたって
双方の折り合いはことごとく不成立に終わり、特に今回のような戦争状態にない状況
下では、だれも手を染めようとせず、見てみぬふりを続けて来たということですね。
今回の様に戦争状態になって、ガザ地区は完全に閉じ込められ悲惨な生活を余儀なく
されていることは明らかであっても、国連による支援決議は、アメリカの拒否で実施
されることはないのです。見殺し状態ですね。アメリカには、ユダヤ系要人が多く、
影響力を持つ存在であることから、パレスチナにだけでなくイスラエル側への対処も
併記されるべきとの態度なのでしょう。

 ハマスは、地下に戦闘器具などを保管しているとのために、イスラエル軍の今後の
作戦は、空爆だけでなく地上戦に入るとの動向を示しているという。実施されれば
更に悲惨な光景となるでしょう。

          国連総会
           (ネット画像より)

 国連憲章を今一度ひも解いてみますと、その第1条に、

国際連合の目的は、次のとおりである。

  1. 国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及
    び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとる
    こと並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解
    決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
  2. 人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させる
    こと並びに世界平和を強化するために他の適当な措置をとること。
  3. 経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決することにつ
    いて、並びに人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権
    及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成
    すること。
  4. これらの共通の目的の達成に当って諸国の行動を調和するための中心となること。

 

 これを見る限り明らかに、国連は、今回のウクライナやパレスチナに係る戦争を
即時停止し、人道的立場に立った救済をいち早く実施することに他ならないわけで
すが、ここに、5大国の拒否権のために、議案は否決されるのです。

 この拒否権については、国連内部でもこれまでも不満のるつぼであったようですが、
さりとて、国連のこの体制を改革するためには、5大国すべての賛意が必要となり
結果的に不可能ということになります。 民主主義は国連においては、国際民主主義
ではないのです。

 常任理事国が紛争当事国となり拒否権を発動したことが大きく注目されたウクラ
イナ侵攻は拒否権に説明責任を付すことの契機となったそうです。

                

 国連(安保理)における常任理事5大国(アメリカ、ロシア、中国、イギリス、
フランス)のみが有する拒否権が問題ではないかとも思いますが、しかし、この
拒否権は、世界戦争が起きないための安全弁でもあるとの見方があります。

 もし仮に、安保理にも国際民主主義が採られたとすれば、ある事案でこの5大国が
分かれたとした場合を考えると、賛成の国と反対の国とが対立状態となり事案によっ
ては世界戦争への傾斜となる危険性があるというのです。

 ならばどのようにするのが良いか? ネットに、代表的な改革案として、大規模な
人権侵害などにおける拒否権の禁止などに加えて、2カ国以上の発動にのみ拒否権の
効力を認める案や紛争の当事国となった場合の拒否権の発動を禁止する案などがある 
とし、これらはいずれも条件を付すことで拒否権の発動を制限することを目的として
いる とあります。

 しかし、この改革案も、5大国の賛成が必要なんですが議案として提出してはどう
でしょうね。 

             

 国連は、国際の平和と安全のほか、経済社会開発、人権、人道支援、国際法など
幅広くその活動が行われており国際的な対応はもちろん、私たちの身近なところにも
その恩恵が及んでいるところですが、今回の事案のような戦争の即時停止や人道支援
も難しいとすることもまた事実なんですね。

 昔に比べれば、人権は大きく尊重されてきていますが、本質は変わっていないの
ですね。

 

 

 

 

【解説】ガザ地区への地上侵攻“簡単ではない”理由 “ハマス掃討”でガザ地区の住民は?【#みんなのギモン】

 

 

 

 

コメント (2)
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