蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

デジタル分身  (bon)

2023-10-19 | 日々雑感、散策、旅行

 つい先ごろ(2023.8.12)の拙ブログに「デジタル故人」を記事アップしたばか
りですが、今度は「デジタル分身」とのテーマです。
 10/15の読売新聞日曜版のITページに掲載されていましたが、デジタル分身と
しては、既に2020年にNTTがその取り組みを『アナザー・ミー』(Another Me)
として発表しています。『実在する⼈間と同じ知性や⼈格を感じられ、本⼈として
社会の中で認知され活動できる自分の分身のような存在の実現をめざす』として
いて、身体の動き、対話や質問の受け応えなどの特徴を本人とそっくりに生成して
行く技術の開発を進めるとしていました。

 昨年(2022年)8月3日の報道発表では、NTTと松竹は、『「超歌舞伎 2022
Powered by NTT」の公演プログラムの中の一つに、まるで双子の様に人を再現する
デジタルツイン「Another Me®」の第一弾として、同公演に主演する中村獅童の
デジタルツイン「獅童ツイン」を実演する実証実験を実施します。』として、全国
の4劇場で公演されたそうです。

 中村獅童さんのコメントに、『私の台詞まわしや身振り手振りを「学習」して
まるで私のように振る舞い、 身振り手振りをし、超歌舞伎にこのような最先端
技術が導入されることで、超歌舞伎の 演出の可能性が益々広がるものと思って
おります』とあったようです。

       中村獅童ツイン
       (NTT Iotデジタルより)

 

 新聞では、『デジタルの世界に私の分身』との見出しで、その人の容姿や声、
価値観などをデジタルで複製して自分の分身を創るとして、この5月に六本木で
AIの新興企業が行ったイベントを紹介されていました。
 メタバースなどでのアバターは、本人の操作で活動しますが、デジタル分身は、
本人が操作せずに分身自身が本人そっくりに動き、思考し発言もするのです。イベ
ントでは、経済学者ら3人が、画面上に登場し、客席の経済学者と画面上の彼とが
普通に会話するというものだったようです。

       デジタル分身イベント
       (読売オンラインより)

 身振り手振り、表情など本人そっくりに動作させるにはそれなりの技術開発が
伴うのはもちろんですが、本人らしいその場の表情や動作を細かくデータとして
入力し、その状況に応じて反応するように学習する。それと同じように、考え方
や、思考過程もその都度入力される多くのデータから学習して対応する。これら
を時間をかけて入力、学習して行けばより本人に近く複製されて行くであろうと
想像できますが、そのような分身が出来た時、分身自体が対応して行く状況に応
じて独自に学習を積み重ねて行くとしたら、本人と分身の間に、何らかの乖離が
生じてくるのではないか・・? そんな風に思うのですがどうでしょうか?

 この時の分身の存在をどの様に捉えて行けばよいのか? 自分の分身が勝手に
判断して行動を始めたとしたらそれはどういうことになるのでしょうか? もち
ろんデジタルの世界の中での話ですが、世の中、デジタルが当たり前になっている
時に、自分ではない分身が一人動きしてしまわないか 心配となります。 さて、
どのように分身を管理すればいいのでしょう? 自分が自分の分身に煩わされたり、
変な関係になってしまいそうです。 

 さらに、本人が亡くなってしまった後も、デジタル分身は健在ですから、死後の
取り扱いも重要になってきますね。

             

 新聞でも、この点について、『ルールはこれから』として、内閣府は2050年まで
にこれらの実現に向け支援しているが、実用化には技術的な問題よりも社会的、
制度的な課題が山積しているとしています。
『分身が公的な場で問題発言をしたら本人が避難されるのか。分身にどこまで意思
決定を委ねていいのか。分身が本人に無断で生成されることはないか。本人への
「なりすまし」を防げるのか。本人の能力を超えるスーパーマンにならないか。』
などのルール作りはこれからだ・・としています。

 先の「デジタル故人」では、死後の取り扱いが、問題になりましたが、「デジ
タル分身」は、生前から問題が山積しているように感じますし、もちろん死後も
同様です。

 技術の流れは止めようがありませんが、せめてそれらが実現する前にある程度の
ルール作りが先行して欲しいところです。 実用化の暁には、もっと別の未知の
問題が出現する可能性も多分にあると思われるのです。

               

 新聞記事のイベントを実施した会社は当面、メールのチェックやスケジュール
管理などを本人に代わって任せることを想定しているとしています。 しかし、
このメールチェック一つとってみても、多くの課題が潜んでいるように思います。
迷惑メールや広告メールなどを大ぐくりにメール排除したり、同一人物からのメー
ルをまとめてひとくくりにするなどの荒っぽいチェックなら可能かもしれませんが、
これだとあまり意味がないようにも思えたりします。さりとて、メール内容など
の判断までとなると、かなり問題が起きそうに思えます。

               

 技術の進展は、これまで人、社会が求めるものを実現することで大きな恩恵を
与えてきました。これにより人類、社会の発展が達成され現代にいたるわけですが、
人なり社会が要求していない(気が付いていない)新しい技術の開発に当たっては、
十分なアセスメントがなされることが重要でしょう。これらの技術要素がいずれ
将来の役に立つものであるかもしれませんが、技術だけが拙速、先行することは
むしろ問題を惹起するのではないでしょうか?

 

 

 

「ロボ河野太郎」お披露目 科学実験に活用 阪大など

 

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする