蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

スペースガード探偵団 in 長野  (bon)

2023-11-18 | 日々雑感、散策、旅行

 今日(11/18)は、午後から「スペースガード探偵団」のイベントが長野県松本市
教育文化センターで開催されます。イベントでは、スペースガードに関するお話
(講演)と実際にパソコンを使って小惑星探しの体験ができるそうです。小中高生
が対象とありますが、父兄同伴もOKだそうですので、興味のある方が集まって普段
できないことが体験できるのですね。

       
              (日本スペースガード協会HPより)

 「スペースガード」というのは、天体の地球衝突による災害から地球環境を守る
ことを目指した活動で、1996年に任意団体として設立され、3年後にNPO法人(日本
スペースガード協会、東京都墨田区)として、日本におけるスペースガードの観測、
教育普及、および研究活動に積極的に取り組まれています。岡山県美星町にある
「美星スペースガードセンター」では、小惑星観測を、また教育普及として全国
各地での各種講演会や教育プログラムの実施、更には研究活動等が積極的に行われ
ています。

        美星スペースガードセンター
         日本スペースガード協会HPより)

 「スペースガード」はあまり聞かない言葉ですが、すでに30年近く前に活動が
発足し、国際的にも各国が協力し合って地道な活動が続けられています。
 天体の地球衝突なんてありえない・・と思われるかもしれませんが、そうでも
ないんですね。 このことについては、後ほど詳しく説明するとして、先ずは、
日本でこの取り組みを始めた磯部琇三氏(初代日本スペースガード協会理事長)
について述べてみたいと思います。

 磯部琇三さんは、私と同じ高校の3期後輩にあたる方で、高校時代野球部で活躍
され、そのまま現役で東大理学部に進まれた文武二刀流の期待の星でした。 
でした‥と過去形なのは、2006年に肝臓がんで他界されたのでした。大学でも野球を
されていましたが、大学野球の審判員の資格をお持ちで、そちらの方面でも活躍
されていたのです。

 高校全校同窓会の東京支部のメンバーでもありました彼は、総会での講話を2度
引き受けてくださって、1度目は『ETは いるか?』と題して、丁度今から40年ほど
前に大ヒットした映画で話題となっていたお話をいただいたのでした。2度目は
2000年(平成12年)に『理科離れと教育のあり方』と題したちょっとお堅いお話
でした。
 また、私個人的にも、彼が三鷹の国立天文台におられた折に、彼の執務室に訪問
していろんな話題を交換した後、天文台の天体望遠鏡ドームや宇宙通信用の長い
アンテナ等の施設を案内していただいたことがあるなど、次々と想い出が浮かん
でくるのでした。 彼との話題の中で印象深く残っている言葉があります。天文を
相手の仕事は何となくロマン漂うと思いがちでしたが、彼曰く 『とんでもない。
今や天文分野はコンピュータの性能次第で、世界中が予算獲得に必死なんです。』
と。

 そんな彼を思いながら、日本スペースガード協会のHPを開き、最近の話題を拾っ
てみました。

 これから地球に接近する小惑星を、大きいもの10個について、次の表がありました。

  地球に接近する小惑星(日本スペースガード協会HPより)
  
     最接近距離:地球から月までの距離(38万㎞)を1とした場合を示す。     

 大変面白いことに、昨日今日に接近する小惑星があるというのです。 時間は
世界標準時で
すから日本時間では、+9時間する必要がありますが、表の一番上の
小惑星では、日本時間の昨日(11/17)15:11に地球に最接近する小惑星があり、
その距離は、地球から月までの距離(38万㎞)の5.73倍(つまり、217.7万km)
離れているということだから安心しておられる。その小惑星の大きさは13m-43mの
巨大なラグビーボールのような形をしているというのです。しかし、12月には
100mもある大きな小惑星が近づいてくるのですね。今年だけでも、2300個以上の
小惑星が地球に接近しているそうです。

        小惑星の例(1999KW4)
       
               〇印の中が小惑星。

 まあ、いくら接近して来ても、そうは衝突しないのだろう・・と思っていると
そうでもな
いようです。
 手元に届いた会報に、今年6月に講演された講演録『スペースガード』(奥村
真一郎氏、日本スペース協会理事長)がありましたのでそちらの記事から引用させ
てもらい
ますと・・、

 10年前には、ロシアのチェリャビンスク州の上空で直径20mクラスの小惑星が爆発
して
大きな被害を出したそうで、1908年には同じくロシアのツングースカ川上流に
直径5~60
mの隕石が落下していたり、5万年前にはアメリカのアリゾナ州に落下
したとあります。よ
く知られた6千6百万年前のメキシコユカタン半島に直径10㎞
の隕石が落下し、これによ
り地球の気候が大きく変わって恐竜が絶滅したと考えられ
ています。

 とにかく、これまでに発見されている小惑星は、なんと130万個もあり、そのうち
地球
に接近する小惑星(NEO)は、33500個以上もあるというのですから、やはり
しっかりと観測し
ておく必要があります。 あの「はやぶさ」と「はやぶさ2」が
目指した、「イトカワ」や「リュウグウ」もこれらの仲間です。

                 

 地球と衝突の可能性はあるのか? それはゼロではないのですね。したがって、
世界中で、
日本ではスペースガード協会が中心になって活動しているのです。どの
ように対処するの
でしょうか?

 先ず、①地球に衝突する恐れのある天体を観測で発見する。 発見しなければ
どうするこ
ともできませんから、最も大事なことですね。これには光学式、電波式
などの装置が使用さ
れその方法も開発されているそうです。②観測を通じて、軌道
を正確に推定し、衝突の可能
性を計算する。 これには世界中の天文台が協力し、
データの共有を図り計算の精度を高
めるのです。③衝突の回避。 衝突の可能性が
明確になった場合、その小惑星を破壊すれば
破片が増えて地球の広範囲に落下し
被害を拡大しかねないので、当該小惑星の軌道を変え
て地球から逸らすのです。 
 衝突までに数十年と時間的猶予のある場合は、宇宙機を打ち上
げて小惑星の近く
まで飛ばして互いの引力によって少しずつ引っ張って軌道を変える方法
をとるそう
です。時間的猶予がない場合には、宇宙機を小惑星に衝突させる方法をとるとされ
ています。 ④衝突回避が出来なかったらどうするか? この場合の対策として、
被害を最
小限とする方法をとる。すなわち、情報を公開し、避難させるなど、災害
への対応や管理を
考えるとあります。
 たとえば、東京都心に100m級の隕石が衝突する場合、半径22㎞以内
の家屋は倒壊
し、衝撃波や突風により300万人以上が死亡する恐れがあるという。この場
合、衝突
の中心から100㎞以上離れれば安全とされ、東京なら1400万人を避難させること

なり、これはこれで大変なことになりますが仕方のないことなんですね。

 

 岡山県の美星スペースガードセンターや長野県の東京大学木曽観測所などで、
新しい
NEOが発見されていますが、美星センターでは発見されたNEOの追跡観測に
重点が置か
れているとのことでした。

                

 詳細な記述は割愛しましたが、いずれにしても恐ろしい話ではあります。 しか
し、本当
に衝突の可能性が高いとなれば、地球上の争いごとはむしろなくなり、
それこそ世界が一団
となって互いに協力を惜しむことはなくなるのかもしれません。
 地球を守るとの観点か
らすれば、「地球温暖化」の方がはるかに、その危機は
迫っているといえるでしょう。

 

 

 

【6/4(金)公開】日本スペースガード協会が徹底解説“いま、そこにある現実の隕石の脅威”特別動画

 

 

 

 

コメント (4)
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