昨夜は満月でした。澄み渡る青一色の夜空に煌々と輝くビーバームーン、その横には、
木星が負けない明るさで輝いていました。明け方には明けの明星が見られたそうです。
初めて聞く言葉なんですが、手元の会報に『自然界におけるキラリティーにつ
いて』(黒田玲子氏、東京大学名誉教授)の記事があり、ついつい引き込まれなが
ら読んでみました。記事は専門用語が多く、紙面の都合もありかなり端折りながら
の解説であるようでしたので、ネット検索をふんだんにしながら理解に勤めました。
が、なかなか理解が出来ませんでした。 先ずはキラリティーとは何か?
政府広報ページに黒田氏の記事がありました。キラリティーの重要性が述べら
れています。
『靴は左と右で対称的な構造をしています。物質の中にも、原子の種類や数、原子
の結合の仕方も同じであるのに、靴の左右のように、分子構造が左右反対の物質
があります。そのように左右二つの種類がある物質を「キラルである」と言います。
このような物質は数多く存在しますが、左型と右型でまったく違う性質を持つ物質
もあるのです。1960年代に、薬害の原因となったサリドマイドがその一例です。
サリドマイドには左型と右型の二種類がありますが、その左型が胎児に悪影響を
及ぼしたことが、後の研究で分かったのです。
アミノ酸もキラルな物質で、人工的にアミノ酸を作ると左型と右型は同量になり
ます。しかし、なぜか地球上の生物は全て左型のアミノ酸からできたタンパク質で
できているのです。この謎を解くことは、生命の起源の秘密に迫ることにもなり
ます。
このように、キラリティーは、人々の生活や生命に深く関わっているので、研究
することは重要ですし、興味も尽きないのです。』
別の例で捉えてみますと、『鏡に映した形と元の形が一致しない物体を「キラル」
な物体といいます。右手と左手が典型例ですが、野球のグラブや風車もキラルな
物体といえます。このようなキラルな構造は、目に見えない小さな分子にもたく
さん存在します。右手型分子と左手型分子は、沸点や融点など物理的性質はまっ
たく同じですが、人体など生体に対する機能(生理活性)が異なります。例えば人工
甘味料のアスパルテームは、右型は砂糖の約200倍という強い甘みを示すのに対し、
左型は苦味を感じさせます。右型分子が良薬であっても左型が毒であるということ
もあり得ます。
現在、キラル化合物は、香料、食品添加物、医農薬など幅広く利用されており、
分子の左右を作り分ける反応の開発は、極めて重要な研究課題となっています。』
少し専門的な表現ですと、キラリティー (chirality) は、3次元の図形や物体や
現象が、その鏡像(を180度回転した像)と重ね合わすことができない性質である。
(ウイキペディア) たとえば、右手を鏡に映すと、鏡像は左手になっていて、
それを180度回転させた左手の甲に右手の掌を重ねても一致しない‥これがキラル
であるというのです。3次元の分子でこれを見ますと、
3次元の分子
(ウイキペディアより)
鏡
このことを、直感的に理解しやすくする例として、黒田氏が説明に用いられて
いる例を以下にコピペします。
黒田氏の原理
(会報 黒田氏の投稿記事より)
分子レベルで生命世界におけるDNA、RNAはD型(右型)で、タンパク質はL型
(左型)のアミノ酸のみからできているというのです。地球上の全生物に共通して
いるとあります。どうして逆のキラリティ―からなる生物とならなかったのでしょ
うか? どちらも、鏡に映した形だから、普通は性質は同じはずなのにどうして、
すべてがD型、L型に区別されて共通なのでしょうか? 生命にかかわる根源的な
問題が潜んでいるというのです。
2001年のノーベル化学賞に、野依良治教授他2名が授与されたのは、これに関する
ことで、左右一方を選択的に作る不斉合成は医薬、農薬、食品添加物分野で大変
重要だとあります。
また、右型、左型の分子は、鏡像と実像の関係にあり性質が酷似しているため、
右型、左型の一方の分子だけを簡便に得る方法は、産業界において大きな課題で
あり、溶液中でキラル物質を作る方法やキラルな電磁波を用いた分光研究など多く
の大学や科学者が取り組まれているそうです。
まるで消化不良のままですが、極めて身近な事柄、事象について普段何気なく、
あるいは当然のこととしてやり過ごしていることにちょっと目を向けるだけで、
そこに想像もつかない不思議があることに気が付いた というより、気付かされた
のでした。
繰り返すことになりますが、『自然界には、右手と左手のように鏡像と実像が
別のものであるキラリティー(左右非対称性)と呼ばれる現象がある。 電磁波、
分子構造、結晶、生物個体など、ミクロレベル、マクロレベル、生命世界、物質
世界に普遍的に存在する基本的な現象である。生命世界は、DNA/RNAが右型の糖
のみ、タンパク質が左型のアミノ酸のみから構築されており、分子レベルにおいて
はキラリティーが完全に偏っている。そして、これは細菌、動物、植物等、地球上
の全生命体に共通している。』
なぜこうなのでしょうか? 遺伝子によって厳密にプログラムされているわけ
ですが、どのようにして1個の受精卵から、発生・分化して多細胞生物に成長する
のでしょうか? そして、分子が右型か左型かによって、生命体への作用は大きく
異なるというのですから・・。
チャットGPTならもっと滑らかに解説してくれるでしょうか?
近所に咲く皇帝ダリア(記事内容と関係ありません。)
Dark Eyes - André Rieu