蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

サイバーサロン(18) (bon)

2024-07-20 | 日々雑感、散策、旅行

 一昨日には、関東も梅雨明けしたと発表がありました。 明けてみるとすんなり
と、梅雨が終わった感じがしますが、なんと猛暑が目白押しに控えている状況は
何とも不気味にさえ思えてきます。昨年のあの暑さ、地球温暖化はますます進んで
いますから、更に暑いかもしれないとの心配もあります。

 そんな中、昨日(7/19金)の14時から、園芸友の会のオンライン例会がありまし
た。 前回(5/24)は、東京都薬用植物園の見学で屋外例会でした。薬用、染料
などの植物が身近に育てられ、観察と分析など地道な活動が続けられていることを
知りました。終了後には、ランチを共にし、植物園での話題やその他楽しいお話と
ともに活発な意見交換が行われました。

  サイバーサロン(18)        
  

 今回の、サイバーサロン(オンライン)では2件の発表がありました。 
洋ラン 日本の歴史」と「植物とは何か?」の2件で、いずれも少々お堅い
イメージのテーマですが、解説を聞くにつれて、ランの歴史と人々の関わりや、
植物の種の変遷などが分かると共にランの育成の繊細さと同時に、植物の生命力
のような神秘が感じられるのでした。

 この日、オンライン例会に関西からオブザーブ参加がありました。また、例会
メンバーが移動中に、オンライン参加が試みられ、一時は映像も確認できたものの、
接続がうまく行かず退席されました。サプライズ参加はうまく行きませんでした。
 当然のことではありますが、オンライン談話では、PCやスマホがあれば、電波
事情が許せばロケーションに無関係であり、場所を特定する必要がないことを実感
したのでした。

 では、発表内容に入ります。

〇洋ラン 日本の歴史  判明しているところでは、江戸末期にスコットランド
から来日したトーマス・グラバーが長崎に居を構えた折に、洋ラン(シンビジュ
ウム)を持ち込んだことに始まるようです。これが、三菱、旭硝子の創始者である
岩崎家に大きな影響を与え、東京青山の「鹿島蘭園」で大々的な洋ランの栽培が
行われた。温室に必須の板ガラスの開発に結び付いたそうです。
  目的などは明確ではありませんが、岩崎家の洋ランすべてが、当時環境が整って
いた北海道大学植物園に移譲されたのです。 一方、クラーク博士と共に開拓使
として来日した、園芸家ルイス・ベーマー(ボーマー)は、現在の札幌時計台の
付近に温室を作り熱帯系植物の栽培を始めていた。 しかし、その後、クラーク
博士により北大植物園に移築される(1878年、明治11年)とともに洋ランの栽培
が行われるのです。
 これが、日本にもたらされた洋ランのルーツと考えられています。 
北海道大学
植物園の役割は大変大きかったようです。

北大農学部植物園蘭科温室(当時)  温室内の様子(カトレア)
 

 開拓使ベーマーについては、後に竹鶴政孝で有名なニッカウヰスキー設立にあた
って、アメリカより輸入したリンゴ苗木を余市で栽培指導するなどにつながるの
です。

発表者宅の洋ラン栽培サンルーム  夏季には室外に・・(75%遮光シート)
  

 さらに今回の発表では、ちょっと変わった洋ランの紹介がりました。いずれも、
自家栽培で、このような変わり種を自ら栽培できることに、無上の喜びを感じられ
たそうです。

C.Granulosa ‘Burle Max'×self 1週間後の花の色(緑から赤色に変化)
  


‘Sanderiana’בHayashima’  Big Flower’בHayashima’
 

fma. coerulea                fma. semi-alba ‘Queen Emeraldas 
 

 

〇植物とは何か? こんな大きなテーマに、すぐにはどのように対応すればよい
か戸惑ってしまいますが、先ず地球上の生物は、一般に、5分類されています。
つまり、原生生物界(コンブ類、アメーバ、ゾウリムシなど)、原核生物界(細胞
核を持たない単細胞。細菌類)、菌類(キノコ類、カビなど)、植物界、動物界
の5つです。

 植物とは、つまり、真核生物で、多細胞生物、光合成によってエネルギーと栄養
を作り出す生産系であり、これを動物など消費系生物に提供しているという構図
です。そして、動かない植物にとって、どのような仕組みで成長し、花を咲かせ、
種子を作るのか、季節や光・温度などに対するいわゆる「環境応答」は、種々の
ホルモンによって行われているというのです。

 植物のホルモンに入る前に、植物と動物の違いについて概観を下表にまとめて
みました。

   

 いくつもの違いがありますが、決定的と思われるのは、植物には細胞壁があり、
葉緑体を持ち未分化細胞がある・・ことでしょうか。

 そして、環境応答としての種々のホルモンを列記すると主なものでも以下のよう
にたくさんあります。これらのホルモンは、光や温度などのセンサーに対応して
活性化され成長などに結びついているのです。

 ・発芽の調整には、アブシシン(休眠)、ジベレリン(発芽)

        発芽の仕組み
        (Amebaブログより)

 ・成長の調整には、オーキシン(先端成長)、ジベレリン(縦方向成長)、エ
  チレン(横方向成長、果実の熟成促進)、サイトカイン(頂芽停止で側芽成
  長促進)、フロリゲン(花成ホルモン)

 ・環境変化対応には、 フォトトロピン(気孔オープン)、アブシシン(乾燥
  で気孔クローズ)、ジャスモン酸(食害対応)、サリチル酸(病原体対応)

 かなり専門的な分野に入りますので、分かりにくいと思いますが、以上の代表的
なホルモ
ンについて述べました。それぞれの働きを詳細に見ると、植物の生長等
に係る作用が実に
うまくできているこの自然界におどろかされるのです。

 地球誕生から、何十億年という時間をかけて、変化(進化)を繰り返してきた
細胞などの営みが、
進化し、あるいは後退しながら現在の姿として存在している
のですね。これらの過程で生ま
れたものもあるでしょうが、環境に適合しないも
のは淘汰され、変化あるいは多様化しなが
ら進んで来たのですね。 現在の形が
すなわち永遠であるという保証はどこにもないのです
ね。

                

 何やら今回のサイバーサロンは、ややお堅いテーマでしたが、両者の発表後、
互いに両テーマの連携
する部分を感じながらの相乗効果があったかもしれません。
さらには、これらのホルモンや
センサーの特性を一層熟知することによって、より
良い花を咲かせるとか、上手な育成が出
来るのではないかなどの応用面にも考えが
及んだかもしれません。

 発表後の談話でも、それぞれの思いや経験からの指摘があるなど、活発な意見
交換が行わ
れました。
 14時に開始して、16時半までの長丁場となってしまいましたが、また次回を
楽し
みにお開きとなりました。

 

 

 

小さな竹の橋(大橋節夫)

 

 

 

 

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