今から50年少し前の1964年に、米モンタナ州の約1億1千年前(白亜紀前期)の
地層から小型肉食恐竜の骨が発見されたのをきっかけに、従来の恐竜論を大きく変化
発展させ「恐竜ルネサンス」と呼ばれる華々しい展開を見せてきたのだそうです。
(アマゾンネットより)
昨年(2019年)7~10月には、上野の国立科学博物館で『恐竜博2019』開催されま
したが、冒頭の米モンタナ州で発見された恐竜の後肢部分の長さ13㎝の鋭い鉤爪と、
それらから「デイノニクス」(恐ろしい爪)と命名され 完全に復元された標本が
国外初の上野で展示されたのでした。
デイノニクス
(ネット画像より)
恐竜は、これまでの定説を覆し、大きな脳と高い代謝率を持つ恒温動物で、活発
に活動していたとの恐竜像に一新され、さらに鳥類の起源は恐竜であると発表された
のでした。
デイノニクスのような小型肉食恐竜が鳥類へ進化したとされているのです。そう
いう意味では、恐竜を広くとらえれば、「恐竜はまだ絶滅しておらず、一部の恐竜は
鳥に姿を変えて今も進化している」との説につながるのだそうです。
真鍋真(まなべまこと)氏(国立科学博物館標本資料センターディレクター、英
ブリストル大PhD)の講演録には、これらの興味深いお話が満載されています。
恐竜とトカゲなどの爬虫類の違いは、腰の部分にあるとあります。 トカゲやワニ
などの爬虫類は足が横に突き出てガニマタで、さらに腹が地面についているので歩く
というより地を這っていますが、恐竜は足が胴体の真下に伸びていて、ガニマタに
ならず、足を前後に振って前進するのです。
恐竜は骨盤のところに穴があって、大腿骨が深くはまって、膝が横に突き出さず
ガニマタにならないのだそうです。
なので、骨盤の穴の有無によって、恐竜か爬虫類かを分類することができるのだ
そうです。 ハト、ニワトリなどの鳥類の骨盤には穴がありますが、これは恐竜の
子孫だからだそうです。 一部の恐竜は鳥に進化しているのですね。
1996年には中国遼寧省に約1億3千慢年前(白亜紀前期)の地層からシノサウロ
プリテクスという羽毛恐竜の化石が発見され、さらに世界有数の化石発掘地、モン
ゴルのゴビ砂漠で、約7000年前(白亜紀末期)の地層から巨大な前肢が発見され、
これはデイノケイルスと命名され全長11m、推定体重 6.4tという巨大恐竜です。
シノサウロプリテクス
(ネット画像より)
2003年、北海道むかわ町で、約7200年前(白亜紀後期)の海の地層から、恐竜の
尾椎骨などが発見され、その後 ほぼ全身骨格が見つかったのです。 このむかわ竜
は、カムイサウルス・ジャポニクスと命名され、全長8m、体重4~5tと推定されて
います。
カムイサウルス・ジャポニクス
(ネット画像より)
6600万年前、中生代白亜紀から新生代古第三紀に移る時代、鳥類以外の恐竜が
絶滅しました。 5度目の大量絶滅と言われています。
当ブログの「大量絶滅」(2017.7.28)に記事アップしていますので、こちらも
ご参照ください。
もっとも有力視されている絶滅の原因は、巨大隕石の衝突で、ユカタン半島の地
中にその時のクレーターが残っているそうです。 隕石に多く含まれているイリジュ
ウムが広範囲にばらまかれて高温の大火災が起きたと考えられ、またその衝突で
大気圏に巻き上げられた砂塵によって太陽光が遮られ、温度が急激に低下し、2年間
にわたり植物の光合成が滞ったことによると推定されています。
さらに現在、6度目の大量絶滅期に突入していると2015年に論文発表がありました
が、通常、百年間で1~2種といわれる絶滅種が、1900年以降淡水生魚類、陸生脊椎
動物だけで198種も絶滅し、絶滅率が急上昇しているというのです。
上述の当ブログの「大量絶滅」記事から、小林快次氏(北海道大学総合博物館
准教授、恐竜博士)の深刻な記述を引用しますと、『生命が誕生した38億年前から
の「生命史」の中で、絶滅速度を計算して どの時期が最も絶滅速度が早いかをみる
と、上で述べた恐竜の絶滅時(6500万年前)でもなければ、90%絶滅した2.5億年
前でもなく、なんと! 絶滅速度が一番早いのは「現在」であるというのです。
(訳注:現在の絶滅スピードは、過去の1000倍以上といわれています。)』
そしてその原因は、『世間では、温暖化ということが注目されている。もちろん
それも環境破壊において大きな要因であることは間違いないが、それよりももっと
大きな原因は私たち人間にある。 72億個体という恐ろしい数に“繁殖”した人間
たち。地球が受け止められる許容量を超えてしまったのだ。 私たちの存在自体が
地球に負荷をかけ、その負荷に耐えられない地球が悲鳴を上げている。 今は何事
もない平和な時が流れているように感じるが、実は大量絶滅の真っ最中であり、
生態系は崩れ、私たち人間を含む生物たちは絶滅へと向かっている。 (訳注:
人間による環境破壊‥生息地の破壊、乱獲、汚染、外来種の侵入、温暖化が原因)』
直近の利益、自分の利益ばかりを追求するのではなく、国際社会は、その危機を
察して、ようやく大きな目標に向かって推進しようとしているのだから、大国とし
ての威厳とリーダーシップを発揮してもらいたいものです。
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