地球温暖化対策の国際会議、COP21が、この月末から12月11日まで、フランスパリ郊外の
国際会議場で開催されます。
パリといえば、先ごろテロによる暴動が起き、大きな戦慄が今なお止まない中、世界から100を超える
国の首脳が集まる会議ですから戦々恐々です。 会議場は、市の郊外で防備は万全とされていますが、
無事に終了してほしいです。
で、COP21というのは、正式には「気候変動枠組条約第21回締約国会議」というそうですが、
既に、1992年に地球温暖化対策について国際会議の場で検討がスタートし、先の第3回(1997年
COP3)では、「京都議定書」が採択され、温室効果ガスCO₂の規制を義務付ける画期的なもの
でしたが、これは先進国を対象とした規定で、この中には、新興国、途上国に対する規定がなく、
その後 中国などの新興国のCO₂排出量が急増し、排出量で今や世界一となり、インドも遠からず
中国を上回ると予測されているなどその効果は限定的となってしまっているのです。
すでに、産業革命以降、地球全体の温度は0.85℃上昇しているといい、この上昇を2030年頃に
2℃未満に抑えようとして進められています。 今般、既に約1/3の国は、2025~30年までの
削減目標を会議に提出しているとのことですが、この目標が達成されてもなお、3.5℃となると
試算されているため、なお一層の削減努力が求められているのです。 しかし、CO₂排出は、
これまでの産業構造からすれば、産業の発展、経済活動の進展とともに増大する方向にあり、
これを維持しながら、CO₂排出量を削減するためには、新たな技術開発や設備投資などの費用が
必要となります。 また、すでに起きている温度上昇による水面上昇や干ばつなどに対する費用も
待ったなしで必要となります。
先進国だけが排出削減しても、新興国、途上国の足並みがそろわなければ意味がなく、これら
新興国等の協力を取り付ける必要がありますが、新興国、途上国からみれば、現状既に問題が起こって
いるのは、先進国のなせる業であるから、先進国からの支援、援助が必須である・・と、これら両サイドの
国家間での激しい対立が起こっているのです。 2009年にコペンハーゲンで開催されたCOP15でも、
合意が得られませんでした。 地球全体のことを考えれば、各国すべてが一致協力すべきであり、
すべての国の責務であることは理解しつつも、自国の産業進展と財政負担を天秤にかけるとき、
この大義は影をひそめてしまうのですね。
何としても、今回のCOP21で合意が成立するよう期待するばかりです。(各国のCO₂排出削減目標が
達成されてもなお不満足ではあるのですが・・)
(JCCCA HPより)
CO₂排出量世界1位の中国やいずれそれを上回るであろうインドなどの新興国などが、今回は
自国削減目標が提出されていますから、大きな進歩ではありますが、これらを達成するための具体的な
方策や資金についてどのような議論がなされ、合意されるか予断が許されないところです。
3年前の「リオ+20」国際会議の場でも、地球温暖化防止のような、切迫している課題に対してすら、
“エコではなくエゴ”の張り合いで、ずるずると流れてしまっているのです。
もはや、他山の石ではないのに~。
以下には、このブログ“異常気象”(2014.8.11)に揚げました、気象上の問題点を再掲しました。
現状(観測事実)
・温暖化については「疑う余地がない」
・1880~2012年において、世界平均地上気温は0.85℃上昇
・最近30年の各10年間の世界平均地上気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温。
・海洋は人為起源の二酸化炭素の約30%を吸収して、海洋酸性化を引き起こしている。
・1992~2005年において、3000m以深の海洋深層においても水温が上昇している可能性が高い。
将来予測
・今世紀末までの世界平均地上気温の変化予測は0.3~4.8℃である可能性が高い
・今世紀末までの世界平均海面水位の上昇予測は0.26~0.82mである可能性が高い
・CO2の総累積排出量と世界平均地上気温の変化は比例関係にある。
・最終的に気温が何度上昇するかは累積排出量の幅に関係する。
・これからの数十年でより多くの排出を行えば、その後はより多くの排出削減が必要となる。
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