3月31日土曜日の9時にPTA常任委員会を開催したため、担当の僕は朝から職場に急ぎました。その途中、豊田市小坂本町地内の県道交差点で、いすゞ117クーペに遭遇しました。
117クーペと言えば、70年代を代表する名車の一つに数えられています。カーデザインの巨匠ジウジアーロがデザインした流麗な外観にベレットGTに搭載されていた当時の高性能 なエンジンで、上品な高性能車としてあこがれのクルマとなっていました。リアのラインの一部を板金職人が手作業で作るなど製造コストがかかり、かなりの高価格が災いし、販売台数は少なかったのですが、後期モデルは1.8Lのベーシック・エンジンを搭載し、リア・デザインの一部も機械で製造できるようなやや直線的なデザインに変更し、価格を下げたモデルを発売したのです。ベース・モデルは、量販車のトヨタ・マークⅡの上級グレード並の価格まで下がったと記憶しています。
今回見かけたのは角目の後期モデルでした。クリーム色がかった濃いアイボリーのボディは、40年くらい経った今でも、美しさを保っていました。ただ、今のクルマに比べ、なんとなく線の細いデザインには感じました。今のクルマのデザインはどれもみなすごく塊感が強くなっているんだなあと思いました。美しいスポーツカーが売りだったはずの117クーペがどことなく弱々しく見えてしまいました。しかしそれは、古くささとは違います。もちろん、多少は古くささも感じましたが、それを上回る魅力をまだまだ維持していました。
実は、新任教師だった時、お金を使う機会がほとんど無いくらい仕事に追われて、数ヶ月分の給料袋が貯まったことがありました。とにかく、土曜日も勤務で午後は部活動、日曜日も午前中は部活動で午後は次週の授業の準備など、お金を使う時がなかったのです。しかも、 両親と同居でしたから、生活費はかかりません。そこで、貯まったお金を頭金にローンを組んで新任のくせにマークⅡを買ったのです。その時、117クーペも候補に入っていて、いすゞのディーラーに出向いたことがありました。かなり117クーペに傾いたのですが、僕のお金だけでは一番下のグレードしか買えず、また、父がトヨタ自動車で働いていたため、親の顔を立てなくちゃという意識も働いて、マークⅡの中間グレードを選んだのでした。
数十年経った今、117クーペを良い状態で維持するのは大変なことだと思います。なんと言っても、いすゞはとっくの昔に乗用車市場から撤退しています。当時の部品を探すのは、並大抵のことではないと思います。豊田ナンバーでしたから、また出会うこともありそうです。それを、楽しみにしています。
その日は3時半に美容院が予約してあったので、PTA常任委員会から帰ったあと、豊田市高上町の美容院に向かいました。イオン豊田高橋店付近の交差点で、新車と思えるくらいきれいな青いDAXホンダに出会いました。僕が高校生だった頃に大流行した原付バイクです。僕が見たのはたぶん50ccだったと思いますが、当時、70ccモデルもありました。僕の古 ~いスーパーカブと同じエンジンのバイクで、もし程度のいいDAX70があれば手に入れたいくらいのバイクなのです。兄弟車種のモンキーはまだ販売されています。リバイバルされれば、案外再び人気がでるかもしれません。
117クーペにDAXホンダ、個性的な2台に出会い、あの頃はクルマやバイクにとって、いい時代だったなあと思いました。僕のローバーミニもそうですが、どのクルマやバイクにも、「らしさ」があった時代だったんだなあと思いました。
なお、写真は個体が限定されないようにネットで公開されているものを使っています。僕が乗っていた茶色のマークⅡなど、写真のクルマのようにローダウンはしていませんでしたが、117クーペ同様に今見ても十分魅力的な気がします。