伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

絶対、最強の恋のうた

2006-11-12 20:24:14 | 小説
 タイトルから想像できるように、若くて純真なカップルの恋愛小説です。
 主人公の大野君とその彼女の「ミート君」(またの名をカナリアA)の恋愛物語は、とんとんと進み39頁で半年後にHしよう(という言葉は出てこないんですが、そういう意味)と約束します。
 こうなれば、それがどうなるのかという興味で読み進めるのが普通の読者でしょう。でも、ここからとんと進みません。そこから後は大野君の友達の坂本君とその蛮カラの先輩木戸さんの話が延々と続き、それが終わったと思ったら「ミート君」の過去が始まり、100頁くらい間が開いてやっとミート君から見た大野君の話が始まります。主人公2人の恋愛小説としてみる限り、40頁からそのまま138頁(145頁でもいい)に跳んでも何の問題もありません。それでも進展もなくステディなデートを重ねて問題の半年後がようやく来たら、先送りにした挙げ句、最終章は坂本君の話でおしまい。大野君とミート君は一体どうなったの?
 大野君とミート君のデートの話は、確かにほんわかとしたり爽やかだったりしてその部分の読み味はいいんですが、恋愛小説で進展・行方を見せずに、じらした挙げ句に放り出されると、読み終えたときはやはり「何だこれ?」って言いたくなります。

 ミート君が大野君とつきあい始めるきっかけのところで「だって私はもみじ饅頭をもらったのだ。これがもし、ういろうとかだったら断ったかもしれない。きび団子だったら、私はサルでもキジでもないと抗議したかも知れない。だけど、もみじ饅頭をくれるような人の誘いを、断れるわけがなかった。」(146頁)という表現があります。私は、こういうのあまり好きじゃありません。名古屋人とか岡山人への差別じゃない?これ。もし作者が広島県民だったらこの本ぶん投げてやると思って作者のプロフィールを見たら岐阜県出身。岐阜県民の自己卑下だったのね。でもつきあわされる岡山県民は・・・


中村航 小学館 2006年11月20日発行
(この発行日付、ひどくない?)
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ラーマーヤナ3・4 聖都決戦 上下

2006-11-12 15:53:18 | 物語・ファンタジー・SF
 6月発売の「蒼の皇子」上下の続き、原作では第2巻です。タータカーを倒した後ラーマたちが、聖人の導きによりアヨーディヤにはまっすぐに戻らず、コーサラ国の王家と遠縁の王が治めるヴァイディーハ国の首都ミティラーに向かいそこで皇女シーターの婿選びに参加することになり、アヨーディヤ攻撃の前にミティラー攻撃に結集した阿修羅軍団の主力部隊を撃破することとなるまでの話。
 日本語版ではタイトルが「聖都決戦」とぼかされ、阿修羅軍団の第1攻撃目標がアヨーディヤと思わせぶりな記述が続いて終盤でミティラーが阿修羅軍団の第1攻撃目標と明かされるという趣向になっているように読めますので、こう書いてしまうのはネタバレと怒られるかも知れません。しかし、原書のタイトルは、SIEGE OF MITHILA(ミティラー攻囲)ですから、著者にはそれを隠す意図はないし、表紙にも原題は書いてありますので、気にせず書いておきます。

 第2巻では、ラーマたちの旅とラーマたちの留守中のアヨーディヤ王宮での陰謀、阿修羅側の動きが絡み合い、第1巻より複雑な進行になっています。お話の大部分は、よりおもしろく読み応えのあるものとなっていると言っていいでしょう。
 第1巻の感想として、指輪物語の愛読者ならきっとおもしろく読めると書きましたが、著者も意識しているんでしょうね。第2巻第2部のタイトルは「2つの塔」。そして・・・これこそ具体的に書くともろにネタバレですが、最後のクライマックスのあっけなさも指輪物語並み。それがちょっと、この長い本の読後感としては残念。
 原作は6巻までで最近完結したそうですし、アヨーディヤ王宮での陰謀はまだ未解決、阿修羅の王の従妹シュールパナカーのラーマへの歪んだ思いとか含みは残されていて続きを読みたいとは思いますけど、疲労感も強いですね。まあ次の日本語版がいつ出るか未定ですけど。


原題:THE RAMAYANA SERIES : SIEGE OF MITHILA
アーショカ・K・バンカー 訳:大嶋豊
ポプラ社 2006年10月10日発行 (原書は2003年)
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