元東京都主税局職員・現ヤフー官公庁担当の著者が、税金滞納者から差し押さえた物のインターネットでの公売を推進した経緯を紹介し、積極的展開を薦める本です。
税金(社会保険料も)というのは法律上最強の債権者で、滞納者に対しては裁判も裁判所の決定もなく、役所の一存で自宅や職場などに踏み込んで財産の差押えができます。
著者はその権限をどんどん行使することを推進し、ヤフーと提携してインターネット公売をすることで税収の確保をすることを推進してきたのだそうです。そのいきさつの話は、まあおもしろいと言えばおもしろいですし、税金を滞納するのが悪い、滞納者を放置するのはまじめな納税者に申し訳ないという著者の言い分は、もちろん正論です。
しかし、権力を持つ者が正義を振りかざしてやりたい放題に権力を行使する姿は、私にはとても共感できません。滞納者が協力しないからといって金庫を電気ドリルで破壊した(結局何も入っていなかった)話(52頁)や、差押え禁止財産以外は何でも持ってくる姿勢が重要だ(61頁)とか、差押え終了後は相手から何を言われても振り向かずに「何か言いたいことがあれば、明日、役所に来てください」と言って帰る(67頁)とか、ここまで言う?って思いますが。
それにインターネット公売にしたって、役所は宝石とか本物かどうかは保証しません。参加者は役所が出品するってことで信頼していると思うんですけど。そのことはもちろん参加前に文書を読んで「同意します」のボタンを押してから参加するわけですが、そういう文書ってまじめに読む人、一体何人いますかねえ。それから、著者自身が言うように「せり売り方式ですと、落札額は必ずと言っていいほど市場価格より高くなります。・・・特に終了間際になると、値段がぐんぐん上がっていくため、自分でも気がつかないうちに熱くなります。」(78頁)というのに、それで落札してやっぱりやめた人から著者は厳しく公売保証金を没収しています(36頁)。もちろん、手続上それは適法なのですが、熱くなって冷静な判断ができずにしたことだと判断していることを、行政がそれを利用して稼いで、冷静になってやっぱりやめたというのを全く認めないというのは、行政のやり方として、私はかなり疑問に思います。
掘博晴 ぎょうせい 2006年9月25日発行
税金(社会保険料も)というのは法律上最強の債権者で、滞納者に対しては裁判も裁判所の決定もなく、役所の一存で自宅や職場などに踏み込んで財産の差押えができます。
著者はその権限をどんどん行使することを推進し、ヤフーと提携してインターネット公売をすることで税収の確保をすることを推進してきたのだそうです。そのいきさつの話は、まあおもしろいと言えばおもしろいですし、税金を滞納するのが悪い、滞納者を放置するのはまじめな納税者に申し訳ないという著者の言い分は、もちろん正論です。
しかし、権力を持つ者が正義を振りかざしてやりたい放題に権力を行使する姿は、私にはとても共感できません。滞納者が協力しないからといって金庫を電気ドリルで破壊した(結局何も入っていなかった)話(52頁)や、差押え禁止財産以外は何でも持ってくる姿勢が重要だ(61頁)とか、差押え終了後は相手から何を言われても振り向かずに「何か言いたいことがあれば、明日、役所に来てください」と言って帰る(67頁)とか、ここまで言う?って思いますが。
それにインターネット公売にしたって、役所は宝石とか本物かどうかは保証しません。参加者は役所が出品するってことで信頼していると思うんですけど。そのことはもちろん参加前に文書を読んで「同意します」のボタンを押してから参加するわけですが、そういう文書ってまじめに読む人、一体何人いますかねえ。それから、著者自身が言うように「せり売り方式ですと、落札額は必ずと言っていいほど市場価格より高くなります。・・・特に終了間際になると、値段がぐんぐん上がっていくため、自分でも気がつかないうちに熱くなります。」(78頁)というのに、それで落札してやっぱりやめた人から著者は厳しく公売保証金を没収しています(36頁)。もちろん、手続上それは適法なのですが、熱くなって冷静な判断ができずにしたことだと判断していることを、行政がそれを利用して稼いで、冷静になってやっぱりやめたというのを全く認めないというのは、行政のやり方として、私はかなり疑問に思います。
掘博晴 ぎょうせい 2006年9月25日発行