永井荷風の日記(「断腸亭日乗」等)を中心に永井荷風の人生や当時の風俗を紹介した本。
昔の文体や漢語が苦手なもので永井荷風の作品は読んだことがないのですが、新書で軽めにまとめられているのでわりと手軽に読めました。
反骨、人嫌い、女好きの永井荷風の人柄が偲ばれます。
日記で反戦を書いていたのはともかく、金の国勢調査が来て国に取られるのなら捨ててしまえと金の口金付きのキセルを捨てに行った話(207頁)とか、かつてわいせつとして発禁になった永井荷風の「腕くらべ」が出征兵士の士気高揚のために贈るとかで5000部増刷になった話(212頁)とか、けっこう笑えます。
人嫌いの荷風ですが、全財産入りのカバンを落として(それは戻ってきたのですが)その報道を見て、そんなにお金があるのなら少しお恵みをという手紙やはがきが全国から舞い込んで荷風の人嫌いがひどくなったという話(175頁)は、さすがに同情します。いつの時代にもそういう信じられないほど厚かましい人っているんですね。
でも親の遺産と莫大な印税で生活に困ったことがないからやりたい放題やっているというところもあって、そのあたりはちょっと幻滅。
松本哉 集英社新書 2006年10月22日発行
昔の文体や漢語が苦手なもので永井荷風の作品は読んだことがないのですが、新書で軽めにまとめられているのでわりと手軽に読めました。
反骨、人嫌い、女好きの永井荷風の人柄が偲ばれます。
日記で反戦を書いていたのはともかく、金の国勢調査が来て国に取られるのなら捨ててしまえと金の口金付きのキセルを捨てに行った話(207頁)とか、かつてわいせつとして発禁になった永井荷風の「腕くらべ」が出征兵士の士気高揚のために贈るとかで5000部増刷になった話(212頁)とか、けっこう笑えます。
人嫌いの荷風ですが、全財産入りのカバンを落として(それは戻ってきたのですが)その報道を見て、そんなにお金があるのなら少しお恵みをという手紙やはがきが全国から舞い込んで荷風の人嫌いがひどくなったという話(175頁)は、さすがに同情します。いつの時代にもそういう信じられないほど厚かましい人っているんですね。
でも親の遺産と莫大な印税で生活に困ったことがないからやりたい放題やっているというところもあって、そのあたりはちょっと幻滅。
松本哉 集英社新書 2006年10月22日発行